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エントリーサーバの攻防

2001年11月20日 14時48分更新

文● 渡邉 利和(toshi-w@tt.rim.or.jp)

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Sun Fire V880は、製品の性格としてはワークグループサーバとして好評だったSun Enterprise 450の上位後継機種となる。一方、その上位に展開するSun Fireシリーズは3800、4800、4810、6800、15Kというラインナップだ。そして、名称が他のシリーズとは異なり、“V”という文字がつけられていることからも分かるように、V880は上位のサーバとは異なるシリーズと位置づけられる。

Sun Fire 15Kがリリースされたときに、この機種のメリットとして「下位のSun FireシリーズのCPUボードを流用できる」という点が紹介されていた。PCを基準に考えると想像しにくいが、Sunのサーバは、PCで言うところのマザーボードを次々と追加して拡張する構造になっている。CPUボードと呼ばれるが、ここにはCPUやメモリが乗っているので、PCで言うところのマザーボードのイメージである。Sun Fireの3800から15Kまでの機種の違いは、単純化してしまえば「最大何枚のCPUボードをセットできるか」という点になる。つまり、機種ごとの筐体の違いは、CPUボードを挿すためのスロットがいくつあるか、という問題だと言えるわけだ。1枚のCPUボードには最大4個のCPUがセットされるので、3800は2枚、4800/4810は3枚、6800は6枚、そして15Kでは最大で18+9の計27枚のCPUボードをセットできる、ということになる。そして、このCPUボードが共通化されており、流用可能だということは、上位機種への移行の際には有利に働く。

しかし、V880では最大2個のCPUが乗るCPUボードを最大4枚セットして8CPU構成まで拡張できるようになっている。上位のSun Fireシリーズ用のCPUボードとは仕様も大きさも異なるCPUボードを採用したわけで、この点ではV880とその他のSun Fireサーバとの間にはギャップがあることになる。これが、わざわざ「エントリーレベルの最上位機種」という表現をする理由だろう。憶測になるが、多分この先V880と同じCPUボードを採用し、その枚数が3/2/1枚の機種が順次追加され、Vシリーズとしてラインナップされるのではないかと思われる。

もちろん、CPUボードの物理的な大きさや仕様が異なっていても、アーキテクチャは共通で、ソフトウェア的には完全な互換性を保っている。そのため、Vシリーズとその他のSun Fireサーバの間での移行に際して障害があるというわけではない。単に、過去のハードウェア資産を流用できるかできないか、というコスト面に限定された話である。

CPUボードの仕様が異なる理由を想像してみると、基本的にはコストダウンを狙ったものだと考えられる。上位の機種で使われている4CPU搭載可能なボードでは大きすぎて筐体自体も大型化することになるし、CPU数があまり多くなくてもよい場合に柔軟に対応できなくなる、というところではないだろうか。

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