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人材育成をサポートするNPO“インターネット・ラーニングアカデミー”が設立

2001年11月12日 19時41分更新

文● 編集部 田口敏之

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インターネット・ラーニングアカデミー(ILA:アイラ)は12日、都内に報道関係者らを集め、1日付けで東京都より特定非営利活動法人(NPO)の正式な認可を受け、同団体の設立と、今後の活動方針について発表した。

ILAは、学校教育でのIT技術者の育成や、そのための学校支援、またIT技術の導入による新しい学習環境を提示するための研究や実証実験などを、自治体や企業、学校および教員などと協力して行なう非営利団体。理事長には慶應義塾大学教授で慶應義塾幼稚舎長の金子郁容氏、副理事長には東京大学教授の市川伸一氏が就任し、後援として三重県と福岡県、(財)インターネット協会と(社)日本教育工学振興会が参加している。また特別協賛企業として、沖電気工業(株)、サン・マイクロシステムズ(株)、シスコシステムズ(株)、日本オラクル(株)、日本ヒューレット・パッカード(株)、マイクロソフト(株)の6社(50音順)が参加し、そのほか一般協賛企業として12社が参加している。

ILAは、これらの協賛企業と協力して、学校教育におけるIT技術者の育成を行なうカリキュラムの作成、および教員のトレーニングなどを行なう。また、インターネットやIT技術を学校現場に導入することによって、新しい教育手法や学校環境が可能になると考えており、これを想定した教授法を研究・提供するとともに、ハードウェアやアプリケーションを導入した場合の実証実験などを行なっていくという。

さらに生涯教育として、誰もが、いつでもIT技術などについて学べる環境を自治体や地域と連動して作り、IT技術者を養成する裾野を広げる啓発活動なども行なっていく。

当面の具体的な活動内容としては2つ挙げている。1つは、マイクロソフトの技術者養成専門学校“マイクロソフト認定アカデミックトレーニングセンター”や、シスコシステムズの技術者育成プログラム“シスコ・ネットワーキングアカデミ”など、すでにIT教育、および技術者養成を実践している企業からのプログラムの提供を受けて、技術者育成プログラムを作成すること。もう1つは、沖電気工業の教育関連システムおよびVoIPなどといった技術の提供、サン・マイクロシステムズや日本オラクル、日本ヒューレット・パッカードのプロダクトの提供によって、ITを応用した学習システムを開発すること。2002年3月までをこの準備期間としており、4月から実際に自治体や学校などに、このプログラムなどを提供し、実証実験を行なっていく予定となっている。

ILA理事長で、慶應義塾大学院教授の金子郁容氏ILA理事長で、慶應義塾大学院教授の金子郁容氏

理事長の金子氏は、「ITバブルははじけたが、豊かな社会を作るためにIT技術は欠かせない。しかし、技術者が不足するのは目に見えている。中学や高校でも情報化教育が始まるが、ネットワークを管理する人材などが完全に不足している。また、企業においては、技術者を求めて雇用の形態も変わってくるだろう。この技術者の育成、ひいては世界に通用する技術者の育成を、企業などと一体となってサポートしてゆくのが目的だ。小さなNPOなので、できることからコツコツやっていくつもりだが、学校教育だけでなく、一生学べる環境を作っていきたい」と述べた。

ILA副理事長で、東京大学教授の市川伸一氏
ILA副理事長で、東京大学教授の市川伸一氏

また副理事長の市川氏は、「ハードウェアやソフトウェアの整備は整っている。あとはこれを運用する人間と、生徒自身の自主性が重要だ。つまり、ハードウェアとソフトウェア、そしてヒューマンウェアとアクティビティー。この4つが揃わなければ教育にITは生かされないが、ILAには、これらを一体にした学習支援ができるのではないかと思って期待している。現在は、IT技術をどのように教育したらよいのか模索状態ではあるが、企業や自治体の実践例などに基づいて、いろいろな活動をサポートしていきたい」と述べた。

6日付けで開設されたILAのウェブサイト
6日付けで開設されたILAのウェブサイト

ILAでは、同団体の目的や趣旨に賛同し、活動を支援する会員を随時募集しているという。年会費は正会員の場合、個人で1万円、団体で5万円。補助会員の場合は、個人/団体ともに、1口10万円となっている。

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