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米IBM、“AFCメディア”を採用した120GBの3.5インチHDD『Deskstar 120GXP』などを発表

2001年11月08日 22時42分更新

文● 編集部 中西祥智

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米IBM社は現地時間の7日、“AFC(AntiFerromagnetically-coupled:反強磁性結合)メディア”を採用した容量120GBの3.5インチデスクトップ用HDD『Deskstar 120GXP』および60GBの2.5インチノート用HDD『Travelstar 60GH』などを発表した。これらの製品は、日本アイ・ビー・エム(株)の藤沢事業所が開発したもの。

120GBの3.5インチHDD

Deskstar 120GXPは、AFCメディアを採用することで、1平方インチあたり約30Gbitの高記憶密度を実現したHDD。

『Deskstar 120GXP』
『Deskstar 120GXP』

AFCメディアは、2つの磁性層の間に、厚さが原子3個分のルテニウム(Ru:元素番号44)の層を挟んだメディア。従来、磁気ディスクの記憶領域が1平方インチ(6.45cm2)あたり20~40Gbit以上になると、記録データを維持できなくなるとされていた。“スーパーパラマグネティック効果(superparamagnetic effect)”と呼ばれるこの問題を、IBMの技術陣はルテニウムの層によって解決したという。このルテニウム層のことを、IBMでは“ピクシー・ダスト(pixie dust:妖精のホコリ)”と呼んでいる。

AFCの技術概念図
AFCの技術概念図

ルテニウムの層を挟んだことによって、上下の磁化方向が反対になり、高記憶密度でも磁化方向を維持できるという。詳細については、以下の記事を参照。

Deskstar 120GXPは、120GBと80GB、40GBの3モデルをラインアップする3.5インチHDD。回転速度は毎分7200回転で、平均シーク時間は8.5ミリ秒、1平方インチ当たりの記憶密度は、29.7Gbit。ガラスプラッターの枚数は、容量順に3/2/1枚で、GMR(Giant MagnetoResistive)記録ヘッド数は、順に6/4/2個。消費電力は、アイドリング時で6.7W。Ultra ATA/100インターフェースを採用する。

11月中にサンプル出荷を開始する予定で、IBMでは2002年中に出荷するデスクトップパソコン『NetVista』に搭載するという。

60GBの2.5インチHDD

Travelstar 60GHも、AFCメディアを採用した、1平方インチあたりの記憶密度が28Gbitの2.5インチHDD。

『Travelstar 60GH』
『Travelstar 60GH』

容量は60GBで、回転数は毎分5400回転。平均シーク時間は12ミリ秒。ガラスプラッターの枚数は4枚で、GMR記録ヘッドは8個搭載している。厚さは12.5mm。

また、回転数が毎分4200回転の『Travelstar 40GN』は、40/30/20/10GBの4モデルで構成する3.5インチHDD。なお、Travelstarシリーズには、1ヵ月当たりの“パワーオン時間(HDDが実際に駆動している時間)”を732時間(標準機種は333時間)、ドライブの平均寿命を3万パワーオン時間(標準は2万時間)に強化した、薄型サーバー用の“Travelstarアベイラビリティー強化モデル”も加えた。

Travelstarシリーズは、ディスクを回転させるスピンドルモーターに流体軸受け(FDB)を採用し、またヘッドを動かすモーターのダンパーを強化することで、騒音を低減し、耐衝撃性の向上させたという。

Travelstar 60GHおよびTravelstar 40GNは、すでに出荷を開始している。IBMでは、ノートパソコン『ThinkPad』シリーズに採用する予定だという。

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