アップルコンピュータ(株)とエイリアス・ウェーブフロント(株)は2日、両社の主催による、プロフェッショナル向け3DCGツール『Maya for Mac OS X』を紹介するイベント“Maya on the Mac~Maya for Mac OS X Roadshow@Tokyo~”を開催した。
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会場となった東京・有楽町の東京国際フォーラムには大勢のクリエーターが詰めかけた |
Maya on the Macは2D/3Dのグラフィックスデザイナー、インダストリアルデザイナー、クリエーターをはじめとして、広くMacintoshとMayaに興味を持つユーザーを対象に行なわれた無料イベント。アップルコンピュータの原田永幸代表取締役社長、エイリアス・ウェーブフロントのアレックス・ケリー(Alex Kelley)代表取締役社長らの挨拶に続いて、Maya for Mac OS Xの紹介が行なわれたほか、Mayaを使って映画『FinalFantasy』の制作に関わった元スクウェアUSA社の林田宏之氏、アップルのデモCG『A.R.M.O.R.』やゲーム『サクラ大戦』のCGクリエーターの永田太氏らがMayaの魅力について語った。
![]() | アップルコンピュータの原田永幸社長 |
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原田社長は、挨拶の中で「アップルは、プロフェッショナルマーケットを重点ターゲットとして、4月から新しい販売施策である“Apple Solution Experts”を開始した。プロマーケットといっても、最もアップルにとって大事なのは、2D、3Dのデザイン、音楽などのクリエーティブなマーケットだ。世界市場での統一戦略として力を入れていく」と2D/3DCG市場への取り組みについて述べた。
![]() | エイリアス・ウェーブフロントのケリー社長 |
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エイリアス・ウェーブフロントのケリー社長は「Maya for Mac OS XはOS Xに合わせて開発したもので、自信を持って提供する製品。Mayaで作られる、Macintoshユーザーの優れたクリエーティブな作品が今後数多く登場することを考えると、興奮を抑えることができない」と挨拶し、Macintoshユーザーへの期待を覗かせた。
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Mayaで作られた亀のキャラクター。ロケットモーターを背負っており、炎を吐いて飛び上がるアニメーションを使って機能をデモした |
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Mayaでは、3ボタンマウスとショートカットキー(いずれもカスタマイズ可能)によって、プルダウンメニューをほとんど使わずに作業ができるという |
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このようなキャラクターの表情は、顔の動きを定義することによって、右上のスライダーを動かすだけで作り出すことができる |
エイリアス・ウェーブフロントのスペシャリストによるMaya for Mac OSのデモでは、ロケットモーターを背負った亀が空を飛ぶというアニメーションを題材に、Mayaの機能を紹介したほか、同社の社内で研究しているという、Mayaを自動車デザインに使う試みを紹介した。
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エイリアス・ウェーブフロントはMayaを自動車デザインに使うという試みを紹介。まずは2Dで自動車のデザインを決める |
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次に2Dから3Dにする |
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3D化したオブジェクトを、デジタルカメラで撮影した実写画像と合成する |
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レイトレーシングによってレンダリングするとこのとおり。さらにビデオ画像にアニメーションを組み合わせて、道路を走らせるというデモも行なった |
林田氏は、Maya for Mac OS Xについて「MayaはMEL(Maya Embedded Language)という高機能なスクリプト言語によって、ユーザー自身がメニューや自分に必要な機能までも追加できることが魅力。また、Maya for Mac OS Xでは、Mac OS XがUNIXをベースにしているということで、これまで(SGIのIRIXなど)ほかの仕事で作ってきた、PerlスクリプトなどのUNIX上の資産をそのまま使えることが嬉しい。Windows 2000にもPerlの処理系はあるが、UNIXといろいろ違って動かすのに手間がかかる」などと、Mayaの環境としてのMac OS Xのメリットを述べた。
![]() | 映像・グラフィックコンテンツアーティストの林田宏之氏 |
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林田氏の作品 |
また、永田氏は「Mayaはクリエーターの要求に対してリアルに答えてくれるソフトウェアだ。また、Macはデザイナーがデザイナーの仕事に没頭できるプラットフォームだ。まだ少ししか使ってみていないが、Maya for Mac OS Xはこれまでに私が触れた中でも最も優れたCGソフトだと確信している」と絶賛していた。
![]() | CGクリエーターの永田太氏 |
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永田氏の作品。あるCGツールで作ったが、細部の仕上げにはMayaを使ったという |
4時間近い長時間のイベントだったが、会場には最初から最後まで数百人のクリエーターが詰めかけて聞き入っていた。講演会場の外には、Maya for Mac OS Xの販売代理店である(株)エヌ・ジー・シー、(株)トゥー、住商エレクトロニクス(株)が展示を行なっていたが、大きな人だかりができ、細かい機能などについて熱心に質問する姿が目についた。
