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マックストアとアダプテック、Ultra320 SCSI対応HDDとコントローラーなどを発表

2001年10月31日 00時34分更新

文● 編集部 佐々木千之

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日本マックストア(株)とアダプテックジャパン(株)は30日、都内で記者説明会を開催し、データ転送速度が最大毎秒320MBの“Ultra320 SCSI”インターフェース規格に対応したHDDとSCSIコントローラーチップなどを発表した。

日本マックストアの『Atlas 10K III』
日本マックストアの『Atlas 10K III』。右の18.4GB製品が1プラッター、左の73.4GB製品では4プラッターとなっている
アダプテックジャパンが会場に展示していた、開発用のUltra320 SCSIインターフェースカード
アダプテックジャパンが会場に展示していた、開発用のUltra320 SCSIインターフェースカード

米マックストア社と米アダプテック社は米国時間の23日に、Ultra320 SCSIに関して、マックストアのHDD『Atlas 10K III』と、アダプテックのUltra320 SCSIカードおよびRAIDカードの間で、完全な相互運用性の確立に向け協力していく、と発表しており、今回の日本での説明会はその発表を受けて行なわれたもの。米マックストアのServer Products Group Vice Presidentのジョン・ジョセフ(John Joseph)氏と、米アダプテックのOEM SCSI Marketing Directorのライナス・ウォン(Linus Wong)氏が、自社製品と市場の状況について説明した。

「Atlas 10K IIIはクラス最高のパフォーマンス」

Atlas 10K IIIは、回転速度毎分1万回転、平均シークタイム4.5ms、8MBのキャッシュメモリー、最大サステインドデータスループットは毎秒56MB。Ultra160 SCSIおよびUltra320 SCSIインターフェースに対応し、記憶容量が18.4GB、36.7GB、73.4GBの製品がある。Ultra160 SCSIインターフェースを発売済みで、Ultra320 SCSI製品も間もなく発売の予定としている。

米マックストアのServer Products Group Vice Presidentのジョン・ジョセフ氏
米マックストアのServer Products Group Vice Presidentのジョン・ジョセフ氏

ジョセフ氏の説明によると、マックストアのAtlasシリーズは同社のハイエンドシステム向けHDDで、Atlas 10K IIIはSCSIインターフェース搭載のHDDとして最初に1プラッターあたり18.4GBの記録容量を実現した製品。『Atlas V』で実績を持つメカニズム設計と『Atlas 10K II』で実績を持つASICアーキテクチャーとファームウェアを採用し、容量によらない単一のプラットフォームによって、高信頼性と高性能を得たという。

マックストアのストレージ製品ラインアップ(右端はNAS製品)
マックストアのストレージ製品ラインアップ(右端はNAS製品)

ジョセフ氏は他社の毎分1万回転のSCSI HDDとのベンチマークテスト結果(※1)を示し、同クラスで最も高い性能だと述べた。また、動作音についても3.1ベル以下で、毎分7200回転のHDD並みの静かさであるとした。

※1 HDDに関連するベンチマークテスト情報やレビューを掲載しているStorageReview.comからの情報。

Atlas 10K IIIと他社HDDの性能比較テスト
Atlas 10K IIIと他社HDDの性能比較テスト

Ultra320 SCSIインターフェース部分に関しては、Quick Arbitration and Selection(QAS)、Packetization、Adaptive Active Filtration(AAF)(※2)といった信頼性およびパフォーマンスを向上する機能を提供するとしている。

※2 QASは、SCSIデバイス同士がSCSIバスの制御を受け渡す際のオーバーヘッドを削減する機能。Paketizationは、SCSIコマンド、SCSIステータス、データをパケット化して高速転送することでオーバーヘッドを削減する。AAFは、信号がSCSIケーブルによって伝送される際の高周波減衰を補償し、余分な高周波ノイズを除去して、信号のSN比を高めるというもの。

Ultra320 SCSI製品は2002年第1四半期に出荷開始

ジョセフ氏に続いて登壇したウォン氏は、アダプテックが24日に発表した小型のSCSI RAIDカード“ゼロチャネルRAID”と、Ultra320 SCSI製品について説明した。

米アダプテックのOEM SCSI Marketing Directorのライナス・ウォン氏
米アダプテックのOEM SCSI Marketing Directorのライナス・ウォン氏

ウォン氏は、「2年前、サーバー全体に占めるラックマウントの割合は10%ほどだったが、現在では37%にまで増加した」と、サーバーのフォームファクターがスタンドアローンからラックマウント、そして1枚のカード上にすべての機能が搭載されたブレードタイプへと、省スペース化・小型化が進んでいることを示し、RAIDシステムにも小型の製品が必要だとした。

アダプテックは小型化に対応するため、2チップでSCSI RAIDシステムを構築するマザーボード向けの製品を持っているが、さらに1チップとする製品を開発中であるという。また、24日に発表したゼロチャネルRAIDは、SCSIチップを搭載しているマザーボード向けにRAIDチップを搭載した小型のカードを追加するだけで、RAID対応マザーボードにする、というもの。その最初の製品である『Adaptec SCSI RAID 2000S』は、81×96mmという小型サイズのカードで、ノート用のメモリーコネクター規格であるSO-DIMMを利用してマザーボード上に実装する。現在20種類以上のマザーボードで採用されることが決まっているという。

『Adaptec SCSI RAID 2005S』
『Adaptec SCSI RAID 2005S』
ゼロチャネルRAIDカード(SCSI RAID 2005S)対応のマザーボードの例
ゼロチャネルRAIDカード(SCSI RAID 2005S)対応のマザーボードの例

Ultra320 SCSI製品については、2002年の第1四半期に、シングル/デュアルチャネルASIC、シングル/デュアルチャネルSCSIカードを順次発売予定という。これらのUltra320 SCSI製品では、標準でハードウェアミラーリング機能、ホットプラグ/ホットスペアに対応し、RAID 0、1、10をサポートするとしている。また、Ultra320 SCSI対応のRAID製品としてゼロチャネルRAIDカード、シングル/デュアル/4チャンネルRAIDコントローラーカードも同時期に発売の予定。発表会場には、Ultra320 SCSIチップ『AIC-7902』を搭載したUltra320 SCSIインターフェースカードのサンプルを展示していた。

Ultra160からUltra320への移行は6ヵ月

説明会の最後に両氏に対して行なわれた質疑応答では、Ultra320 SCCIへのサーバーメーカーからの要求は強まっており、米コンパックコンピュータ社や米デルコンピュータ社など大手のOEMが使い始めれば、現在主流のUltra160からUltra320への移行は6ヵ月ほどで終了して、来年はUltra320がシステムにとって必要な機能になるという見通しが示された。また、HDDの高速インターフェースとしてのSCSIの優位性については、信頼性とパフォーマンスが高いこと、下位互換性があることなどを挙げた。ウォン氏によると、Ultra640 SCSIは2004年に登場の予定とのことだ。

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