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マニュジスティックス・ジャパン、CACや三菱総研など3社と戦略的提携を締結――“EPO”の普及で

2001年10月29日 21時37分更新

文● 編集部 田口敏之

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マニュジスティックス・ジャパン(株)は29日、(株)シーエーシー(CAC)と(株)三菱総合研究所(三菱総研)、およびエヌ・ティ・ティ・コムウェア(株)の3社と、それぞれ“SCM”の分野において戦略的提携を結んだことを発表した。

マニュジスティックスのEPO戦略図
マニュジスティックスのEPO戦略図

同社では従来、“SCM”と“PRO”、および“SRM”という戦略によって、企業の経営目標達成のために、ソフトウェアの提供やコンサルティングなどのサービスを提供してきた。“SCM”とは、情報システムを利用して、部品調達から生産・物流・販売まで即時性のある管理を行ない、コスト管理や在庫の最適化を図る“サプライチェーンマネージメント(Supply Chain Management)”のこと。また“PRO”とは、市場と顧客へのマーケティングによって価格や収益の最適化を図る“価格・収益最適化(Pricing and Revenue Optimization)”のこと。そして“SRM”とは、委託工場や原材料提供側などのサプライヤーとの協力によって、戦略的な物資調達や低コストによる開発を計る“サプライヤーリレーションシップマネージメント(Supplier Relationship Management)”のことである。

左端が米マニュジスティックス・インク社社長兼マニュジスティックス・ジャパン代表取締役社長のリチャード・F・バーグマン氏、右端がマニュジスティックス・ジャパン代表取締役副社長の稲井修次氏
左端が米マニュジスティックス・インク社社長兼マニュジスティックス・ジャパン代表取締役社長のリチャード・F・バーグマン氏、右端がマニュジスティックス・ジャパン代表取締役副社長の稲井修次氏

同社代表取締役副社長の稲井修次氏によれば、「SCMは、すでに多くの企業が導入し実績を上げており、これは導入すべきものと認識され、もはや議論の余地はなくなった」としている。そこで同社は、コスト削減と収益拡大を同時に行なうことによって、ビジネスの視野を広げ利益を拡大し、企業利益の最大化を図る戦略として、SCM、PRO、SRMの3つの戦略を組み合わせた“EPO(Enterprise Profit Optimization:エンタープライズ プロフィット オプティマイゼーション)”を提唱し、各業界に対して働きかけを行なってきている。

このEPOを、日本の企業により深く理解してもらうため、そして各業界からのニーズに応えて市場を拡大するために、マニュジスティックス・ジャパンは国内の3社と提携を結んだのだという。

CACとマニュジスティックス・ジャパンとは、4月にすでに基本的業務提携を結んでいるが、今回これを具体化し、10月より本格的に協業を開始したという。CACは、製薬・食品・消費財関連企業に対するコンサルティングやシステム構築・運用における実績を持っており、今回の協業によって、マニュジスティックス・ジャパンからは専門の技術者を投入し、同業界のSCMのニーズに幅広く、専門的に応えていくという。

三菱総研は、1970年の創立以来、PRO分野における研究を進めている総合シンクタンクであり、官民を問わず、クライアントの間で実績を上げ、信頼を得ているという。マニュジスティックス・ジャパンは今回の提携により、三菱総研に、PRO分野に関するソフトとサービスを提供し、三菱総研はこれを踏まえた経営コンサルティングや、ソフト導入のコンサルティングなどのサービスをクライアントに対して提供してゆくという。当面は、運輸業を中心のターゲットとして、三菱総研はマニュジスティックス・ジャパンが提供するPRO戦略への提案を行ない、やがてSCMへも展開してゆく予定だという。

NTTコムウェアとマニュジスティックス・ジャパンとは、“CPFR(Collaborative Planning,Forecasting and Replenishment)”を共同で提供してゆくという。“CPFR”とは、サプライチェーンを構成する複数の企業が情報を共有し、共同作業によってより正確な需要を予測し、それに適した生産計画を立てることで、適切な商品供給を行なえるというもの。たとえば、製造側は「雨が降ると製造量が数%アップする」、小売側は「この曜日に特別セールをすると、ある商品の売上げが数%アップする」というような、それぞれの企業が持っているデータを出し合うことで、従来の1社単独によるSCMから可能性を広げるものであるという。また、これによってNTTコムウェアはSCM分野のリーディングカンパニーを目指し、マニュジスティックス・ジャパンはこれをサポートすることによって、日本市場でのSCM製品シェアの向上を目指すという。NTTコムウェアは、2001年度には10億円、2003年度には50億円の売り上げを目指す。

リチャード・F・バーグマン氏リチャード・F・バーグマン氏

米マニュジスティックス・インク社長兼マニュジスティックス・ジャパン代表取締役社長のリチャード・F・バーグマン(Richard F. Bergmann)氏は「当社が他の会社よりも業績を伸ばしているのは、差別化できるだけの能力を磨いてきているからだ。当社は単なるソフトウェア会社ではなく、ビジネスパートナーとして、ソリューションプロバイダーとして、各企業のビジネスの目標を達成する手助けができる。それには、業種ごと、分野ごとの深い知識を持っていることと、事業上の問題を判断し、ソリューションを提供できる能力があってこそのことだ」と、マニュジスティックスが各業界に対して自社のソフトやサービスを提供できることを強調した。

また日本における戦略として、経験豊富なマネジメントチーム、および人材を育成するとともに会社の規模と人員を増加し、各業界に特化したソフトやサービスを迅速に提供して、SCM/SRM/PRO/EPOを普及させることによって、クライアントのビジネス上の目標を達成するための手助けを行なっていくという。同社ではこれを“スピード&プロフィット”と呼び、今年度は3億ドル(約366億8700万円)以上の売り上げを見込んでいる。

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