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PCV-MXS1L5

PCV-MXS1L5

2001年11月08日 00時00分更新

文● アスキーPC Explorer編集部・山崎 敦

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PCV-MXS1L5

ソニー

オープンプライス
29万9800円(SonyStyleダイレクト価格)

AVとPCの融合をうたい、PCとしては過剰とも言える高品質な音楽再生機能を搭載するAVパソコン「PCV-MX」がフルモデルチェンジした。新しくデビューした「PCV-MXS1」は、新筐体の採用をはじめとしたハードウェアを一新し、従来機種以上の高音質を追求すると共に、ブロードバンドインターネットの普及に合わせインターネットからの音楽配信サービスを積極的に利用するマシンへと進化している。

高音質再生に
徹底的なこだわりを見せる

PCV-MXS1L5前背面
こうして見ると、ちょっとずんぐりむっくりしている前面および背面。ボディ前面はクリアパネルが装着されたPCらしからぬ印象。FMアンテナと光オーディオ入出力端子は背面上部に、ライン入出力とスピーカ出力端子は背面右下に装備する。PCIスロットの下から2つめがTVチューナ内蔵MPEG2リアルタイムエンコーダカード。S-Videoと音声の入出力、アンテナ端子を備える。
 新しいボディは従来のメタリックなオーディオ機器を思わせるデザインからガラっと雰囲気を変え、フロントのほぼ全面に樹脂製のクリアパネルを備えるインテリア性の高いものに変更された。また、192(W)×382(D)×346(H)mmというボディサイズは従来モデルよりも横幅と奥行きが若干大きくなっているものの、FDDを外付けオプションとしたことで高さは約9mm低くなっており、PCV-MXS1L5にセットの15インチ液晶モニタと組み合わせて設置した場合の全体的なまとまりがよくなっている。



PCV-MXS1L5前面拡大
前面にはオーディオデバイスを操作するボタン類と、動作状態を表示する液晶パネルを装備する。HDD、コンボドライブ、MDデッキのアクセスインジケータも液晶内に表示される。
 フロントには従来どおり液晶パネルとオーディオ機能の操作ボタンが並び、キーボードやマウスを使わなくてもここから音楽再生が可能だ。ただし、従来機種ではオーディオ部とが単独で動作可能であったのに対し、PCV-MXS1ではオーディオ機能が完全にPCの一部として取り込まれているので、これまでのようにWindowsを起動せずコンポ感覚でCDやMD、FMラジオを聴くということはできなくなった。

 オーディオ機能が完全にPCと一体化したとはいえPCV-MXシリーズが目指す高品質な音楽再生機能を実現するために、サウンド機能は一般的なサウンドカードを利用するのではなく、PCV-MXS1専用に開発した「Sony Digital Audio System」と呼ばれるサウンド回路を搭載している。



PCV-MXS1L5前面端子部
フロントパネル下部のカバーを下げると、PCカード(TypeII)、MagicGate対応メモリースティックスロット、ヘッドフォン(ドルビーヘッドフォン対応)、マイク、i.LINK(4ピン)、USBの各種インターフェイスが顔を出す。
 PCV-MXS1はCD、MD、FMラジオチューナ、ライン入力、光入力などさまざまな音源ソースを持ち、出力先もスピーカ、ライン出力、光出力など複数に対応している。一般的なサウンドカードでこれらの多数のデバイスを扱う場合、A/D、D/A変換以外にデジタル信号をPCの動作周波数(FSBクロックの倍数)に同期するようにサンプリングレートを変換し、さらに出力信号に合わせて再サンプリングするなどの処理が必要になり、PCV-MXの目指す「原音に忠実な再生」が行えない。そのほかにもミキシングによって複数の音源ソースからの入力が混ざり合って出力されたり、ノイズの混入を避けることも難しい。



PCV-MXS1L5サウンドカード
オーディオ信号のルーティングを実現するサウンド回路「Sony Digital Audio System」。日立製CPU「SH-DSP」のほかXILINXのFPGA(ゲートアレイ)「XC2S50」、Analog Devicesのサンプルレートコンバータ「AD1895」などのチップも基板上に実装されている。
 Sony Digital Audio Systemでは「音声信号のルーティング」という概念を導入し、音源と出力先をダイレクトに接続して必要最低限のサンプリングレート変換とA/D、D/A変換のみを行い、そのデバイス間のみで音声データを伝送することを可能にしている。これにより、CDをMDにダビングしながらHDD上に保存した音楽データをスピーカから再生するといった複数の音声データの流れがある場合でも、お互いの音は完全に独立して混ざり合ったり干渉することなく処理できるようになっている。例えば、一般的なPCでライン出力を外部の機器で録音するような場合には、Windowsのエラー警告音なども一緒に出力されてしまうが、PCV-MXS1ならば警告音はスピーカからのみ出力され、外部の機器に録音されてしまうようなことはないわけだ。



PCV-MXS1L5アンプ
ノイズ対策のために別基板として開発された20+20W出力のオーディオアンプ。林立するコンデンサや金メッキされたライン入出力端子が音質へのこだわりを感じさせる。
 Sony Digital Audio System同様に、PCV-MXの音へのこだわりが現れているのが、オーディオアンプ部分だ。従来のPCV-MXシリーズでは10+10Wの出力を持つTripathの1bitデジタルアンプを採用していたが、今回は20+20W出力のアナログアンプに変更されている。アナログアンプはデジタルアンプよりも消費電力が大きくノイズに弱いという欠点があり、ノイズ源の塊のようなPCに内蔵するにはあまり適していないが、同社開発陣によると音質を追求した結果での採用ということだ。
 ノイズ対策としてはアンプ全体を別基板としてマザーボードとは独立して内蔵するほか、主なノイズの侵入経路となる電源ラインからのノイズ遮断に注力し、また必要なときだけアンプに電力を加えることで電源効率を上げ、アナログアンプの搭載に成功しているという。



PCV-MXS1L5スピーカー
アンプを内蔵しないパッシブタイプの付属スピーカは、1本あたり134(W)×219(D)×291(H)mm/2.8kgとPC用スピーカとしてはかなり大きめ。金属製のフロントグリルは取り外し可能だ。
 このアンプからの音声の出力先となるスピーカも、これまでのものから大幅な変更を受けている。従来のPCV-MXに付属するのはソニーのアンプ内蔵スピーカのハイエンドモデル「SA-PC5」に搭載されていた10cmフルレンジユニットを専用のエンクロージャに搭載してPCV-MX用にチューニングしたものだ。これもPCの付属スピーカとしては非常に高音質なものだが、PCV-MXS1ではSony Digital Audio Systemと高出力化されたアナログアンプに見合うよう一層の高音質を目指し、ワイドレンジ化のためのトィータを追加して、それに合わせた専用のウーファユニットを開発している。

 12cmのパルプコーンウーファは、防磁ケースの外形が88φと巨大なマグネットを採用しており、重量も単体で約780gと、PC用スピーカとしては異例のサイズを誇っている。また、このユニットを収めるエンクロージャは、フロントバッフルこそ樹脂製だがそれ以外の5面は木製で、容量も従来の3リットルから4.8リットルに大型化されており、PCV-MXS1の音楽再生能力を十分に引き出せるものだ。再生音は低音がたっぷりして高音の伸びもよく、PC用スピーカの軽くてシャリシャリとした音とは次元の違うものだ。CDやMDを再生するためのオーディオ機器として、もはやMDコンポは必要なくPCV-MXS1がその代わりを務めてくれる。さらにCV-MXS1ならMDコンポでは不可能なインターネットに接続しての音楽配信サービスを受けるなど、より幅広い音源を扱うことも可能だ。



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