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MZ-M5015D

MZ-M5015D

2001年10月23日 18時41分更新

文● 伊藤

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MZ-M5015D

日本マランツ

5万9800円(キャンペーン価格4万9800円)

今回紹介する15インチXGA液晶モニタ「MZ-M5015D」は、オーディオ機器メーカーとして知られる日本マランツが、PC周辺機器分野への参入第1弾として発売した製品だ。

フィリップス製液晶モニタをマランツが販売

 ところで、オーディオファンならずとも「あの“マランツ”が、どうしてPC周辺機器を?」と思われる方は多いだろう。背面に大きく「PHILIPS」ロゴが入っていることからもわかるように、製品そのものは、同社のグループ会社であるヨーロッパの総合家電メーカー「フィリップス」のOEMである。フィリップスは、海外ではTFT液晶の分野で、大手メーカーとして広く知られている。
 つまり、本製品は、日本マランツの新たな市場を開拓するとともに、フィリップスの「PCの周辺機器メーカー」としての認知度を国内で高めるという側面も担っているわけだ。現在のところ、販売チャネルは「eStore@marantz」による直販のみとなっているが、Web販売ならではの戦略的な価格付けを期待したい。

背面
背面には大きな「PHILIPS」のロゴが凸モールドで刻まれている。スタンド下部の端子は左から、オーディオIN、オーディオOUT、電源端子。接続ケーブルは本体直付けとなっている。
右側面
MZ-M5015Dの右側面。チルト機構により前方に5度、後方に25度傾けられる。スタンド下部に配置されているのは、左からボリュームつまみ、BASSブーストスイッチ、ヘッドフォンジャック。本体の奥行きは206mm。

 大きさ393(W)×206(D)×364.8(H)mm(画面を最下端にスライドした状態)、重さ5.3kgの筐体に搭載される液晶パネルは、1024×768ドット/フルカラー表示が可能な15インチの高視野角タイプ。光学特性は、コントラスト比350:1、最大輝度250cd/m2、応答速度40ms以下で、視野角は上下方向140度、左右方向160度となっている。インターフェイスはDVI-I×1系統で、付属の変換コネクタを介してアナログRGBとDVI-Dに接続可能。このほか、2+2Wのアンプ内蔵ステレオスピーカ、マイクのほか、オーディオ入力、ヘッドフォン出力、マイク出力(いずれもミニプラグタイプ)に加えボリュームつまみ、BASSブーストのON/OFF切り替えスイッチがスタンドに搭載されている。ただし、USBハブ機能はない。

 一見してわかるように、直線と曲線を織り交ぜたスタイリッシュな外観が本製品の特徴のひとつだ。デザイン上のアクセントでもある「カラーサイドパネル」は、付属の3色(ブラック、ピンクシルバー、玉虫色)に交換可能だ。中でも玉虫色は見る角度によってメタリックなブラウンにもグリーンにも見えるが、全体に落ち着いたシックな色合いで、ウッディな部屋のインテリアとのマッチングも良さそうだ。



スライド式画面位置調整機構は意外に便利

スライド機構の動作例
スライド機構で画面を上下に6.5cmの幅で動かせるのが本製品最大の特徴だ。実際に机上で上下に動かしてみると、わずか6.5cmといっても上端と下端では大きく目線が変わる。スタンド最前部の突起はマイクだ。

 前方に5度、後方に25度傾けられるチルト機構に加えて、画面の位置を上下に6.5cm移動可能なスライド機構を設けているのが本製品の最大の特徴だ。
 上下の調整がチルト機構のみのモニタでは、机上の作業スペースを確保する目的でキーボード収納台などを置いて、ディスプレイを一段高い場所に設置すると目線が不自然になりがちだ。しかし本製品ならば、チルトのほかに画面を上下にスライドして高さを調整できるため、自然な目線により近い状態で利用できる。
 実際に動きを確かめてみたところ、スライドさせるには少し力がいるが、止めたいところでピタリと止まる無段階調節が可能で、自重でいつの間にか下がってくることもない。なお、スイベル(左右の首フリ)機構は持たない。

 画面は若干コントラストが弱い印象を受けるが、安価な製品にありがちな青みがかった発色傾向は見られない。輝度は100段階に調整可能で、最低輝度でもPCの操作に支障ないレベルの明るさを確保している。なお、夕暮れの砂浜や街灯が並ぶ夜の街角などの風景画像を10枚程度表示させて、暗部の色ツブレが起こらないか比較してみたところ、最低輝度でも暗い部分の微妙な階調が「黒一色」になってしまうことはなく、暗部の表現力は良好だ。解像度が800×600ドット以下の場合は自動的に拡大表示されるが、スムージングが有効に機能しており、ジャギーはほとんど見られなかった。
 目視での視野角はほぼスペック表どおりで、上下140度、左右160度程度だ。この角度を超えても極端な暗転や色の反転はなく(若干画面が暗くなる)、上下・左右ともに水平に近い角度からでも表示要素が楽に読み取れる。



OSD操作部のアップ
OSD操作部。左からAUTO、左/右カーソル、メニュー、上/下カーソルのボタンが並ぶ。メニューボタンはOSDメニュー操作時のOKボタンを兼用しており、上下ボタンは単体でプッシュすると、OSDメニューを表示しなくても明るさの調整が可能。

 本体前面には、OSD(On Screen Display)のメニューボタンが中央に、その左側に左右ボタン、右側に上下ボタンを配置し、最左端に自動調整を行う「AUTOボタン」を設けている。OSDメニューでは表示位置調整/明度とコントラスト/ビデオノイズ(フェイズとクロックの調整)/色調整などが可能だ。
 ただ、液晶モニタの標準的な機能となりつつある“プリセット表示機能”(リフレッシュレートと解像度を検出して、あらかじめ用意された最適な設定に変更する機能)がないため、アナログ接続では解像度を変更する度に、AUTOボタンで再調整する必要がある。ゲームなどで解像度を頻繁に変更する人は注意しよう。



OSD操作部のアップ
OSDメニューは、言語/位置の調整/明度とコントラスト/ビデオノイズ/色の調整/OSD設定(OSDの表示位置調整)/製品情報/工場設定値に戻す/入力選択となっている。

 とはいえ自動調整の精度は高く、いくつかのデスクトップ、ノートPCに接続しても、ボタン一発で左右のズレやノイズのない最適な表示になった。面倒なマニュアル調整は、多くの場合必要なさそうだ。
 万一、自動調整では不十分な場合でも、「カラーパターン表示ユーティリティ」(英語版)が付属し、マニュアルでの厳密な調整が可能だ。ユーティリティが日本語化されていないのは残念だが、操作自体は「CONTRAST」「VIDEO CLOCK」といった平易な英単語の指示に従って、カラーバーの濃淡などを手動調整するという簡単なものなので、さほど苦もなく調整できる。



主な付属品
製品には写真の電源ケーブル、ACアダプタ、DVI-D変換コネクタ、カラーサイドパネル2色のほか、アナログRGB変換コネクタ、ミニプラグタイプのオーディオケーブルとマイクケーブル、カラーパターン表示ユーティリティを収録したCD-ROMが付属する。ACアダプタのサイズは120(W)×57(D)×32(H)mmで、若干厚みがあり、サイズも大きめだ。

 スピーカーの音質はややこもり気味で、音楽を鳴らした際の音質もラジカセ程度といったところだが、耳につく高音域の金属的な響きはない。個人的な聴取感では、BASSブーストをOFFにした方が低音のボコつきが少なく、“長時間聴いても疲れない音”になるようだ。
 ちなみに、ACアダプタはスタンド部に内蔵せず、別途接続するタイプで、実測値は120(W)×57(D)×32(H)mm。若干厚みがあり、サイズも大きめだ。

 インテリアとのマッチングにも考慮したスタイリッシュな外観と、非常に珍しい“画面の上下スライド機構”を搭載しながらも、10月19日現在、本製品は4万9800円で購入できる。
 なお、「eStore@marantz」ではこの価格を「10月末までのキャンペーン価格」としているが、メーカー担当者によると、キャンペーン終了後もしばらくは価格据え置きで販売していくとのことだった。“どうせ買うならSXGAクラスの解像度が欲しい!”という向きには、2系統入力を備える17インチ液晶ディスプレイ「MZ-M7017D」もラインナップされている(標準価格8万9800円、キャンペーン価格7万4800円)。いずれにしろ、食指が動いたならば、本レビュー記事を参考に、「eStore@marantz」にてそちらも併せて検討していただきたい。


MZ-M5015Dの主なスペック
メーカー名 日本マランツ(株)
製品名 MZ-M5015D
価格 5万9800円(キャンペーン価格4万9800円)
パネルサイズ 15インチ
表示解像度/色数 最大1024×768ドット/フルカラー
最大輝度 250cd/m2
コントラスト比 350:1
入力端子 DVI-I×1(付属コネクタにより、アナログRGB、DVI-Dにも対応可能)
サイズ 393(W)×206(D)×364.8(H)mm(画面を最下端にスライドした状態)
重量 5.3kg

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