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スリーディ.コム、15インチの裸眼立体視液晶ディスプレーを発表

2001年10月16日 23時58分更新

文● 編集部 佐々木千之

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スリーディドットコム(株)(スリーディ.コム)は16日、都内で記者発表会を開催し、メガネなしで3D画像を見ることのできる3D裸眼立体視液晶ディスプレー『3DTFT-15V』を発表した。11月1日発売予定で、価格はオープン。予想実売価格は39万円程度。

『3DTFT-15V』
『3DTFT-15V』

スリーディ.コムは、'98年11月に、3D放送事業を手がける“スリーディテレビジョン株式会社”として設立、2000年6月にスリーディ.コムに社名変更した。本社は東京都新宿区で、資本金は3億6253万円。2000年5月末まで、スカイパーフェクTV・774chにおいて、3D動画放送の実験放送を行なったほか、2000年4月に29インチの立体デジタルTV『3D Vision』、2D画像を疑似3D映像にする変換装置『3D Box Super』、家庭用ビデオカメラのレンズ部に取り付けて3D画像の撮影を可能にする『Nu-View(ヌー・ビュー』、3D画像変換器を内蔵した17インチの『3D PCモニター』などを製品化して、国内発売している。9月には、コンシューマー用ゲーム機(機種は選ばない)の画像を、立体映像に変換する『3D TV Game Adapter』を発売した。

スリーディ.コム代表取締役社長の戸越久丈氏
スリーディ.コム代表取締役社長の戸越久丈氏

記者発表会で挨拶したスリーディ.コム代表取締役社長の戸越久丈氏によると「これまでにも三洋電機(株)などをはじめとして、裸眼立体視ディスプレーシステムは複数発表されているが、ユーザーが立体画像を見ることのできる画面との位置が限定されていて、事実上1人でしか見ることができなかったり、300万~1000万円と高価だったりと、一般家庭で使用できるようなものではなかった」という。

裸眼立体視液晶ディスプレーの原理
裸眼立体視液晶ディスプレーの原理

同社が今回発表した3DTFT-15Vでは、“レンチキュラー”式と呼ぶ、特殊なレンズフィルターを液晶表面に取り付け、立体画像を見ることができる範囲を大幅に拡大したほか、実売約39万円という“一般消費者が購入できる価格”に抑えた。画像表示は最大1024×768ドットで1600万色表示。入力はアナログRGBと、Sビデオ端子を持つ。パソコンに接続した場合は、“Direct3D”、米Win3D社の“WINx3D”、米Metabyte社の“Wicked3D”といった3Dドライバーソフトウェアによる立体画像にも対応するという。

戸越社長は「PDPディスプレーの搭乗時の価格と比べても非常に安価。立体視テレビの時代が来た。メガネ無しでハイクオリティーな立体視ができれば、21世紀のテレビモニターができあがると考えているが、今回の製品はその第1弾だ」と述べた。

3DTFT-15Vの仕様
3DTFT-15Vの仕様

開発責任者の中田耕市取締役によると、米、欧、アジア・オセアニアといった世界各地で3D立体視を研究している企業・団体と連絡を取り、情報を集めた結果、各社の技術を統合できれば、低価格で立体視範囲の広い裸眼立体視ディスプレーはすでに可能なのではないかと考え、1年をかけて製品として作り上げたという。3DTFT-15Vは、スリーディ.コムがすべての特許を持つ製品ではなく、売り上げからは特許のライセンスを受けた企業に相応分を支払う。

3DTFT-15Vで、立体画像を得られる範囲が広い理由は、液晶の2ピクセルごとに8角形の超小型レンチキュラーレンズを付けるという技術(※1)による。液晶のピクセルと、レンズフィルターをずれることなく高精度に取り付けることが可能になったことがポイントの1つで、韓国の企業に製造を委託しているという。

※1 レンチキュラー方式では、レンズで光の反射方向を変えることで、右目用の画像と左目用の画像を分ける仕組み。2ピクセルの片方が右目用、もう片方が左目用の画像を表示する。

9月に発売した『3D Game Adaptaer』の2D/3D画像変換アダプター
9月に発売した『3D Game Adaptaer』の2D/3D画像変換アダプター。『3D Game Adaptaer』には液晶シャッター式のメガネが付属しているが、3DTFT-15Vを使えば、メガネは不要という

スリーディ.コムでは、一般消費者が買える価格での世界初の裸眼立体視ディスプレーとしており、年内に数千台を販売、2002年からはスピーカーなどを一体化した壁掛け立体TVとして数万台の販売を見込むとしている。また、戸越社長によると「現時点では社名は明かせないが、大手家電メーカーを通じて販売する計画がほぼ決まっている。来年は裸眼立体視液晶TVが広く販売される年になる。まず日本から販売するが、2002年後半からは海外市場にも販売していく」という。

販売は同社のウェブサイト経由のオンライン販売と、同社がこれまでに開発したメガネ式の立体視製品の販売代理店を通じて行なう予定。

市販のビデオカメラのレンズ部分に装着して立体画像を撮影可能にする『Nu-View』
市販のビデオカメラのレンズ部分に装着して立体画像を撮影可能にする『Nu-View』

なお、記者が見た範囲の立体画像のクオリティーは、発色は鮮やかだが解像感は低めで、長時間視聴するならフリッカーが気になる、という印象だった。ただし、以上は2Dのビデオ画像を同社の2D/3D変換アダプターによって、疑似3D画像として表示させた場合で、パソコンのCG画像を表示させた場合、解像感はかなり改善する。また、フリッカーに関しては、同社は画像の表示周波数を高速化する装置も開発して別の製品には組み込んでいる。これが3DTFT-15Vにも組み込まれれば、フリッカーは気にならなくなる可能性もある。いずれにせよ、表示クオリティーはオリジナルの映像ソースにかなり左右されるという印象を得た。

39万円という実売価格は、一般家庭に普及するには高価だが、同社が開発したメガネ式の立体視製品が、ホテルや各地の展示施設などで使用されているということから、企業や自治体から普及が始まることも考えられる。また、特殊用途になるが、精密な手術用に、立体視ディスプレーが使われているという。今回の裸眼立体視ディスプレー普及への第一歩と言えるようだ。

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