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ミラポイント、自社のメールアプライアンス製品をiモード対応させるソフトを発表

2001年10月16日 13時53分更新

文● 編集部 佐々木千之

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メッセージアプライアンス製品の開発・販売を行なうミラポイントジャパン(株)は16日、メールアプライアンス『M300インターネットメッセージサーバ』をiモード対応にするソフトウェア『i-mode Direct』を発表した。

ミラポイントジャパンは2000年4月に、米ミラポイント社の100%出資の子会社として設立された。本社は東京都世田谷区で、資本金は1000万円。米ミラポイントは'97年8月設立の非公開企業で、カリフォルニア州サニーベールに本社をおく。Eメールを中心に音声や映像も含めたインターネットメッセージングサービスに特化したアプライアンス製品の開発、製造、販売を手がけている。

ミラポイントが現在提供しているメッセージングアプライアンス製品は、SMTP/POP/IMAPなどのプロトコルに対応し、メッセージの保管と配信に特化した“Message Server”と、Message Serverとインターネットの間、およびMessage Serverとクライアントの間に設置して、ウイルススキャンやSPAMメールのフィルタリング、ポリシーの管理、メッセージルーティング、クライアントからのさまざまなメッセージアクセス方法を提供する“Message Director”の2種類がある。このほかにクライアントのユーザー認証に特化し、分散ネットワーク環境における多数のユーザー管理を一括して行なう“Internet Directory”も提供する。

ミラポイントのMessage Server製品の1つ『M300 Internet Message Server』
ミラポイントのMessage Server製品の1つ『M300 Internet Message Server』

インターネットのメッセージングサーバーでは、UNIXやWindowsなどの汎用のOSを搭載したサーバーに、“sendmail”や“qmail”といったメール配信ソフトウェアをインストールして利用することが一般的となっている。これに対し、ミラポイントのアプライアンス製品では、FreeBSDをベースにメッセージングに最適化したOS『MOS(Mirapoint OS)』と、MOSに組み込まれてSMTP、POP、IMAP、HTML、WAP、iモードなど多様なプロトコルによる一元的なアクセスをサポートする“MessageBase”技術によって、通常のメッセージサーバーと比較して、パフォーマンス、信頼性、堅牢性、拡張性が優れるという。管理面においても、例えばsendmailは各種の設定が複雑で、管理には専門的知識が要求されるが、Message Server、Message Directorでは、メッセージ専門の管理者でなくとも管理できるよう開発したとしている。

ゲートウェイサーバーが不要なi-mode Direct

今回ミラポイントが発表したi-mode Directは、Message Serverにインストールし、iモード端末が利用する“cHTML(Compact HTML)”を使ったメッセージサービスの利用を可能にするソフトウェア。iモード端末からEメールサービスを利用可能なシステムは、すでに各社が発表しているが、それらの製品ではEメールサーバーから、IMAP/cHTTPプロトコル変換ゲートウェイサーバーを介してiモードセンターに接続する仕組みになっている。i-mode DirectではMessage Serverが直接cHTTPをサポートするため、ゲートウェイ用のハードウェアが不要になるほか、Eメールサーバーによって比較的重い処理である、IMAPを利用しないため、ゲートウェイサーバーを使う場合と比べて8~10倍のiモード端末ユーザーをサポートできるという。

i-mode DirectをインストールしたMessage Server製品と、通常のゲートウェイサーバーを利用したiモード対応メッセージングシステムとの違い
i-mode DirectをインストールしたMessage Server製品と、通常のゲートウェイサーバーを利用したiモード対応メッセージングシステムとの違い

i-mode Directを追加することで、ミラポイントのMessage Serverは、SMTP、POP、IMAP、HTTP、XMLに加えて、iモードからのアクセスも可能になる。ユーザーは、EメールをパソコンやPDA、携帯電話などさまざまな端末から1つのメールアカウントによってアクセスできるというメリットがある。i-mode Directの価格は、システム構成によって異なるが、25万ユーザー以上の場合で、1ユーザーあたり40円から。同社の販売代理店は、兼松エレクトロニクス(株)、シーティーシー・エスピー(株)、住商エレクトロニクス(株)、日商エレクトロニクス(株)、(株)ネットワールドの5社となっている。

iモード対応携帯電話でi-mode Directを利用してEメールサーバーにアクセスしたところ
iモード対応携帯電話でi-mode Directを利用してEメールサーバーにアクセスしたところ
メールを読んだ後、パソコンなどと同様の処理がiモード対応携帯電話で可能になっている
メールを読んだ後、パソコンなどと同様の処理がiモード対応携帯電話で可能になっている

メッセージングシステム市場でナンバーワンを目指す

ASCII24ではi-mode Directに関連して、今後の日本でのビジネスについて同社代表取締役社長である山口一郎氏に尋ねた。

[編集部] ミラポイント社の売り上げの規模などはどのくらいですか。
[山口社長] ミラポイントは非公開企業なので、日本、全世界を含めて売り上げの数字は出していません。売り上げに占めるおよその割合としては、昨年度で米国が2分の1、日本が4分の1となっています。
[編集部] 日本市場のビジネスはどのような状況ですか。
[山口社長] いま官公庁や教育学校現場などでは、政府の“e-ジャパン構想”などによってIT投資熱が高まっており、キャンパス内のネットワークや公共サービスをより使いやすいものにしようという流れがあり、そういったものにも取り組んでいきたいと考えています。

また、企業ではゼネコン系や製造業系の企業から引き合いが多くなっています。これは、従来のメールサーバーは、スキルを持ったユーザーでないと管理できないという面があったのですが、すでにミラポイントのシステムを導入したユーザーが運用管理が容易ということから、ほかの企業や学校に推薦していただくなどの評価をいただいています。
山口一郎代表取締役社長
山口一郎代表取締役社長
[編集部] 今回のi-mode Directによって、どのくらいの売り上げ増加を見込んでいますか。
[山口社長] 具体的な数字は申し上げられませんが、私どもの売り上げ目標を20%押し上げるような原動力になればと考えています。
[編集部] iモード以外のアクセスに関する取り組みについて教えてください。
[山口社長] ミラポイントは携帯電話やPDAなど、いろいろなアクセスを広くサポートする戦略です。携帯電話関連では、2000年末からWAPについてサポートしています。ただ、WAPはプロトコルをサポートすればすぐにメッセージサービスが使えるようになるわけではないため、利用はあまり多くないのが現状です。

ミラポイント本社でも、NTTドコモとAT&Tとの提携などを見て、iモードが今後世界でも標準になる可能性があると考えており、グローバルな展開をにらんで注目しています。今回のi-mode Directの発表も、単に日本市場でユーザーが多いということだけということではありません。なお、WAPの日本語化については現在作業中で、年内にはサポートできる予定です。
[編集部] ウェブベースのEメールサービスを可能にするソフトウェアは、他社からもいくつも出ていますが、それとミラポイント製品との差別化のポイントは何ですか。
[山口社長] 確かに多くの企業から、さまざまな製品が発表されていますが、セキュリティーやアンチウイルスなど、メッセージサービスに必要なすべての機能をサポートしているかというと、必ずしもそうではないと考えます。ミラポイントはメッセージングサービスそのものに関しても、セキュリティーなど関連する機能についても、専業メーカーとしてどこにも負けないという自負を持っています。
[編集部] 今後の目標がありましたら教えてください。
[山口社長] ミラポイントはメッセージングに特化したアプライアンスメーカーとして、いつでも誰でもどこでもアクセスできるということにフォーカスしており、また、インターネットの標準プロトコルはすべてサポートする方針です。

パソコン、携帯電話など既存の端末から、メッセージングサービスが同じように利用できるようサポートしていきます。特にこれからは、携帯電話でも画像やボイスメッセージをメールとして扱えるようになるなど、それぞれの端末が進化し、それらをすべてメッセージサービスとしてまとめて扱う“ユニファイドメッセージング”環境が進んでいくと考えられます。ミラポイントはそうした研究を米国で行なっていますが、そこで開発した技術は、積極的にローカライズして日本でも提供していきたいと考えています。

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