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次世代通信ナビサービス支援団体“iフォーマットフォーラム”が設立――通信ナビ技術体系“iフォーマット”を開示

2001年10月16日 19時14分更新

文● 編集部 田口敏之

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インクリメントP(株)など5社を中心とするiフォーマットフォーラムは12日、地図ナビゲーション関連業者の意見交換や情報収集活動を促進して、位置情報事業・テレマティクス事業の発展を支援することを目的とした非営利団体“iフォーマットフォーラム”を設立したと発表した。同団体では会員向けに、インクリメントPが策定した通信ナビ向け技術体系“iフォーマット”を開示する。

iフォーマットとは、カーナビやPDA、携帯電話などの端末向けに、通信型ナビゲーションサービスを提供するためのサーバー技術体系。データをサーバーに格納し、地図表示用データや経路計算、経路誘導、地図検索機能を提供するというもの。インクリメントPの地図ソフト『MapFan.net』に対応した地図データ配信サービス“MapFan.net”には、すでにiフォーマットの一部が用いられている。iフォーマットフォーラム参加企業に開示する現段階の仕様“iフォーマット Ver.1.0”では、地図を含むデータフォーマットと、サーバーとクライアント間の通信プロトコル、およびクライアント側の物理格納フォーマットによって構成されている。

経路検索や、リアルタイムなナビゲーションを行なえる。写真は開発中のもので、Windows上で動作している
経路検索や、リアルタイムなナビゲーションを行なえる。写真は開発中のもので、Windows上で動作している

地図データのフォーマットには、ベクトル形式を採用。一般的にカーナビ上などで用いられている地図フォーマット“KIWI”よりも、地図のデータサイズを約3分の1から5分の1に小さくした。地図データは、メッシュ単位(320×240ドット)で管理するため、地図データを更新した際には、更新されたメッシュのみをダウンロードし、通信時間を短縮する。携帯電話の9600bps程度の通信速度でも、快適なナビゲーションを行なうことが可能だとしている。また、ベクトル形式のため、地図の回転や拡大をスムーズに行なえ、地図を拡大しても地図の表示品質を損なうことがないという。

PDA上に地図を表示し、経路案内を行なっている様子。使用端末は、カシオ計算機(株)のPocket PC『カシオペア E-707』
PDA上に地図を表示し、経路案内を行なっている様子。使用端末は、カシオ計算機(株)のPocket PC『カシオペア E-707』

iフォーマットを利用すれば、常に最新の地図データや、渋滞などを加味した経路情報などを端末に送信することができる。また、TCP/IPやHTTPといったオープンアーキテクチャーを採用しているため、既存のライブラリやハードウェアなどを活用することが可能。カーナビなどの専用端末だけでなく、PDAやノートパソコン、携帯電話などプラットフォームに依存しないナビゲーションサービスを提供できるようになるという。

iフォーマットフォーラムは、5社の幹事会社が運営し、年に1回以上の定期的な総会の開催を予定している。フォーラムは、分科会形式によるフォーマット・運用管理の検討、フォーマット利用システムの認識・管理、ウェブサイトなどによる広報活動などを行なっていく。会費は、幹事企業が年50万円、一般企業が年20万円。会費は、フォーラムの運用のために使用する。

iフォーマットフォーラムの幹事会社は、インクリメントP、クラリオン(株)、(株)ザナヴィ・インフォマティクス、三菱電機(株)、パイオニア(株)。また、(株)アクセス、アルパイン(株)、沖電気工業(株)、カシオ計算機(株)、(株)ケンウッド、鳥取三洋(株)、(株)バスコ、(株)日立製作所(社名は50音順)の8社が参加を表明している。また、自動車メーカーや端末メーカーを中心とした各企業に、今後も参加の呼びかけを行なっていくという。

iフォーマットフォーラム会長に就任した、インクリメントP取締役IT事業部長の須藤三十三氏
iフォーマットフォーラム会長に就任した、インクリメントP取締役IT事業部長の須藤三十三氏

同日開催されたiフォーマットフォーラム第1回総会において、会長に就任したインクリメントP取締役IT事業部長の須藤三十三氏によれば、「地図表示や経路計算、経路誘導や検索といったナビゲーションサービスの実現のためには、汎用的なフォーマットを提供することによって事業者のコストを削減するべきだと考え、iフォーマットを策定した。サービス内容そのほかは各社にお任せし、次世代型通信ナビゲーションを実現していきたい」という。

iフォーマットフォーラムは、10月末までに、地図表示・経路計算・誘導・検索といった基本的な機能のための仕様“iフォーマット Ver.1.0”を、フォーラム会員各社に開示する予定だという。また2002年の春には、サービス動作確認用のリファレンスサーバーサービスの提供を開始する。今後のiフォーマットの技術課題としては、音声認識や課金サーバーなどを挙げており、2002年の夏には、“iフォーマット Ver.2.0”をリリースするとしている。

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