アイ・オー・データ機器の「NP-BBR」はエントリユーザー向けのxDSL/CATV用ブロードバンドルータで、1万6800円と非常にリーズナブルな価格設定がセールスポイントの製品だ。
価格も機能も文句なし
すべてのユーザーに対応
左端はシリアルポートで、コンソールからルータの設定が可能。コンパクトな筐体で設置場所を取らないのも便利なところだ。 |
インターフェイスはWAN側が10BASE-Tを1ポート、LAN側が10BASE-T/100BASE-TX×4ポートのスイッチングハブを備えるほか、コンソール用にシリアル(RS-232C)ポートを持つ。WAN-LAN間のスループットはメーカー公称が約7.1Mbpsで、NATを有効にした状態でftpによるファイル転送を行なった場合890KB/秒の実効帯域を確保できるという。編集部で行ったテストでは、約5.5Mbpsの実効スループットを確認しているが、いずれにしても現在のCATV/ADSLのブロードバンド常時接続サービスで利用するならば、十分な性能と言える。
設定画面。ユーザーID欄が見にくいなど細かい不満もあるが使い勝手はまずまず。ただ、動作がかなり重いため設定項目の多いヘビーユーザーはストレスがたまるだろう。 |
設定はWebブラウザ上で行うため、ドライバやツール類は一切付属していない。設定画面の見やすさ、使いやすさは現在の一般的なブロードバンドルータとほぼ同等だが、表示が非常に重く、メニューからメニューへの移動などでも約10秒程度待たされるのが残念なところだ。付属マニュアルは初心者向けのセッティング手順と設定の簡易説明程度とシンプルな内容で、ヘビーユーザーには不満に思えるかもしれないが、メーカーのサイトには、パケットフィルタなどの機能を利用するための高度な設定方法を記した上級者向けのオンラインマニュアルがPDF形式で用意されている。200ぺージ近くにもおよぶ非常にボリュームのあるもので、ルータをガンガン使いこなしたい人には重宝するだろう。
NATやフィルタの設定項目はかなり充実している。グローバルIPアドレスを取得しているユーザーはいろいろ楽しめる。 |
ルータとしての機能は、NATやIPマスカレードといった基本機能のほか、VPNと呼ばれるデータに暗号化を施して、インターネットを通じてセキュリティを保った通信を行うのに必要な「PPTP機能」、「ローカルルータ機能」をサポートする。また、複数のグローバルIPアドレスを複数のLAN側IPアドレスに変換するマルチNAT機能を持つなど充実した機能を誇る。セキュリティ機能はWANからLAN、LANからWANとそれぞれにポート番号、プロトコル種類、IPアドレスでパケットフィルタを設定可能だ。パケットフィルタは最大32エントリ、NAT/IPマスカレードは最大128エントリと登録できる数が多いのもうれしい特徴である。
また、「NetMeeting」など、NAT/IPマスカレード環境で正常に通信できないソフトウェアについてはマニュアルにNATの設定方法が記載されている。これ以外にも「ICQ」や「DIABLO(battle.net)」などのメジャーソフトが利用するポート番号も同じくマニュアルに記載があるので、悩んだり、メーカーに問い合わせたりするケースは非常に少ないはずだ。
本製品には「iモード対応」という非常にユニークなセールスポイントもある。これは、グローバルIPアドレスが提供されているケースに限り、iモード対応携帯電話からルータのサービスの停止/再開、ルータの再起動を行うことができるというものだ。つまり、状況に応じてどこからでもサーバを手軽に解放/停止することができる。また、不正アクセスの形跡が残されるsyslogデータを指定のメールアドレスに転送する機能も持つなど、サーバ運用を手軽かつ低コストで行うための管理機能も充実した製品している。
本製品はプライス的にはローエンドユーザー向けの製品だが、ハイスピードのスループットやグローバルIPアドレス利用時のiモードによる操作、マルチNAT機能などヘビーユーザーにも満足できる機能を数多く備えている。どんなユーザーでも選択候補に入れることができるコストパフォーマンスの高い製品としてお勧めできる1台だ。
メーカーサイトにあるオンラインマニュアルはかなりの質と量だ。ヘビーユーザーはもちろん、初心者も機能解説には目を通しておきたい。 |
製品名 | NP-BBR |
---|---|
価格 | 1万6800円 |
販売元 | アイ・オー・データ機器 |
WAN側インターフェイス | 10BASE-T |
LAN側インターフェイス | 10BASE-T/100BASE-TX×4 |
設定方法 | Webブラウザ、telnet |
本体サイズ | 156(W)×117(D)×35(H)mm |