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【VB 2001 Vol.2】専門家がLinuxのウイルスの危険性を警告

2001年09月28日 16時21分更新

文● 編集部 佐々木千之

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コンピューターウイルスに関する国際会議“Virus Bulletin(ウイルスブリテン) 2001”が27日(現地時間)、チェコのプラハで始まった。

開会式の様子。会場は数百人の参加者で埋まった
開会式の様子。会場は数百人の参加者で埋まった

初日には、会議を主催するVirus Bulletin誌編集者のヘレン・マーティン(Helen Martin)氏の開会宣言に続き、企業におけるウイルス対策などが中心の“Corporate Stream”と、技術的なテーマを取り上げる“Technical Stream”の2つのトラックに分かれて、14の発表が行なわれた。

Virus Bulletin編集のヘレン・マーティン氏
Virus Bulletin編集のヘレン・マーティン氏
最新号である“Virus Bulletin”誌10月号も配布されていた。内容はウイルスの分析やウイルス対策ソフトのレビューなど
最新号である“Virus Bulletin”誌10月号も配布されていた。内容はウイルスの分析やウイルス対策ソフトのレビューなど

以下、初日の発表の中から、いくつかをピックアップして紹介する。

米マイクロソフト社のランディ・エイブラムス氏
米マイクロソフト社のランディ・エイブラムス氏

Virus Bulletinの常連発表者という米マイクロソフト社のランディ・エイブラムス(Randy Abrams)氏は、“Changes In Retail Virus Scanning 1998-2001”と題して、同氏が'98年に行なった小売りソフトにおけるウイルスの検知に関するレポートのアップデートを行なった。エイブラムス氏によれば、この4年間にハードウェアの高速化が進み、より進んだ処理が可能になったが、その間にウイルスの発生量も増え、ウイルス情報の更新もより頻繁に行なうことが必要となっているという。ますます増加し、悪質化するウイルスに対して、それを検知して対策を行ない、ウイルスフリーのソフトウェアをリリースできるよう協力してほしいと呼びかけていた。

コンピュータ・アソシエイツ社(オーストラリア)のヤコブ・カミンスキー氏
コンピュータ・アソシエイツ社(オーストラリア)のヤコブ・カミンスキー氏

コンピュータ・アソシエイツ社(オーストラリア)のヤコブ・カミンスキー(Jakub Kaminski)氏は“Not So Quiet On The Linux Front: Linux Malware II”というタイトルで、Linuxプラットフォームにおけるウイルスの危険性についてレポートした。カミンスキー氏はまず、Linuxのバイナリー(ELF:Executable and Linkable Format)ベースのウイルスリストを示し、2000年6月には13であったものが、半年ごとに50%ずつ増加し、2001年1月には31になっているというデータを紹介した。続いてそのウイルスの中からいくつかを特徴とともに紹介し、Linuxのカーネルライブラリーに感染するものも登場しているとした。

また、バイナリ以外にも、27のファイルからなるパックしたシェルスクリプトを使った“Ramen”“Admw0rm”“Lion”“Adore”などいくつものワームが登場しているという。さらに、オフィスソフトウェアパッケージ『Applixware Office』などの高機能なマクロ機能の危険性も示した。Linuxのウイルスの多くは過去1年ほどの間に書かれたものだが、急速に数を増やし、より高度で危険になっており、注意が必要だと報告した。

米ボーイング社のジャネット・ジャービス氏
米ボーイング社のジャネット・ジャービス氏

米ボーイング社のジャネット・ジャービス(Jeannette Jarvis)氏は、企業のウイルス対策管理者としての立場から、企業においてどのような方針でウイルス対策を行なうべきかを発表した。

ジャービス氏は、“Products”“Processes”“Policies”“People”の“4つのP”がポイントであるという。製品(Products)では、ファイアーウォール、ゲートウェイサーバー、プロキシーサーバー、メールサーバー、ファイルサーバー、それにデスクトップパソコンという、企業内にあるすべてのプラットフォームにウイルス対策ソフトを組み込むことが必要という。また、ウイルスに関するポリシー(Policies)を明確にし、従業員(People)に対する教育も行なう必要がある。それらの対策すべてを、きちんと進めていく(Processes)ことが、企業をウイルスの被害から守るためのポイントだと発表した。

2日目は、(株)シマンテック“シマンテック・アンチウィルス・リサーチ・センター”の星澤裕二氏のJava対応携帯電話のウイルスに関する発表のほか、いくつかの発表について、発表者へのインタビューを交えて紹介する予定だ。

マーティン氏の開会宣言に続いて、キーノートスピーチの代わり(?)に行なわれた、ロシアのKaspersky Lab社による寸劇“Back to the Future-Again!”
マーティン氏の開会宣言に続いて、キーノートスピーチの代わり(?)に行なわれた、ロシアのKaspersky Lab社による寸劇“Back to the Future-Again!”。映画のパロディー風に、バベッジのDifference Engineからコンピューターの歴史を振り返るというもの。やっと元の時代に戻ったと思ったら、そこはMac OSではなく、Windows全盛の世界になっていた、というオチがついていた

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