アドビシステムズ(株)は27日より、同社が重要なマーケットと位置づける教育市場分野における新たな戦略のひとつとして、教育機関、教職員、学生等を対象としたアカデミックパッケージの販売を開始するとともに、同社ウェブサイトに同ユーザーを対象とした“アドビの教育向けソリューション~Adobe in Education”の展開を開始した。
今回、アドビシステムズの教育分野への本格的な進出にあたって、同分野のマーケティングを担当する同社エデュケーションマーケティングマネージャーの北川久一郎氏にお話を伺った。
エデュケーション分野を担当するマーケティングマネージャーの北川久一郎氏。「外資系にあって、海外の仲間とのコミュニケーションの中で、学んださまざまな事を生かしたい」と語った |
北川氏は「アドビ製品は人と人とがコミュニケーションするための製品です。ますます国際化する社会にあって、子供たちにとってもコミュニケーションは大変大事なものだと考えます。いまや小学校をはじめとする初等教育から、大学・専門学校といった教育機関には180万台ものパソコンは導入されているといいます。そうした中にあって、パソコンを上手に活用したコミュニケーションを豊かにするための教育“情報教育”が注目されています。私どもは、アドビ製品やソリューションを提供することで、“情報教育”をお手伝いする新たなプログラムを用意しました」としている。
そのプログラムの1つが、これまでのアカデミック対象の価格と構成を見直した新しい“アカデミックディスカウントプログラム”だ。同プログラムは、小・中・高等学校から大学・専修学校などにいたる幅広い教育機関とその教職員、児童、生徒、学生に対し、『アカデミックパッケージ』として、手頃な価格で提供する。販売は同社のオンラインストア“アドビストア”をはじめ、一般のアドビ製品取り扱い店でも取り扱う。
アカデミックパッケージは、ほぼ全製品を対象とするが、下記はその一部だ(※1)。
製品名 | アカデミックパッケージ | 通常版価格(参考) |
---|---|---|
Adobe Acrobat 5.0日本語版 | 9800円 | 2万8310円 |
Adobe Photoshop 6.0日本語版 | 3万9800円 | 9万6100円 |
Adobe Photoshop Elements日本語版 | 5800円 | 9800円 |
これまで一般の販売店店頭でアカデミックパッケージを購入する際には、所属する教育機関の確認印が捺印された購入申込書を準備する、といった手順が必要だっが、アドビストアではサイト内に掲載されている専用申込用紙を使用した、より簡単な購入手順を導入している。
なお、アカデミックパッケージは、全国のアドビ製品取扱店においても、従来の購入手順で販売される。また、全国の大学生協では、学生証などの身分証明書で購入できる。
さらに販売だけではなく、さまざまなケアプログラムも検討されているという。そのひとつとして今回、同社ウェブサイト内に開設されたのが、“アドビの教育向けソリューション~Adobe in Education”だ。
このサイトでは、“教育支援ツール”や“情報教育ソリューション”といったコンテンツを用意している。教育支援ツールでは、教職員が情報教育指導を行なう上で役立つ製品の活用情報や関連図書などを紹介している。
北川氏は「今回は小学生向け教材として私どもが制作しました“ホームページ作成学習ガイド”を掲載しています。ここでは子供たちが画像処理やホームページ作成を通じて、コミュニケーションのやり方を学べます」としている。
また、情報教育ソリューションでは、一般教育を対象としたPhotoshopを中心とした“画像処理”、GoLiveやLiveMotionを中心とした“Webぺージ制作”、Premierを中心とした“動画編集”といったカテゴリーが用意されている。また、専門学校を対象にInDesignを中心とした“専門教育”、論文などでPDFが広く普及している大学を対象にAcrobatを中心とした“教育の情報化”といったコンテンツを揃ろう。
北川氏は「内容的にはまだまだスタートしたばかりでこれからですが、今後は“どうやって授業を作り上げるか”といった課題に対し、授業案をご提案させていただくといったサポートを実現していきたいと考えています。そのためにすでに一部の先生方とディスカッションさせていただいております。先生方との意見交換の場は、いずれ同サイト内にも作る方向で検討しております。また、アドビだけでは実現しない部分も多くあり、現在、ご協力いただけるパートナー企業と検討に入っております」としている。
北川氏の言葉通り、まだスタートしたばかりではあるが、北川氏の発する教育市場へ向けた熱い思いが、どんどん実現することを期待したい。