中華民國対外貿易発展協会(CETRA)の日本事務所である(財)遠東貿易サービスセンターは25日、「台湾モバイル&ブロードバンド産業」記者懇話会を開催した。
この記者懇話会は、来日中のモバイル製品およびブロードバンド関連製品を製造する台湾メーカー7社の担当者が、日本のプレス向けに製品や事業の説明を行なうもの。
遠東貿易サービスセンター東京事務所の呂 昌平所長 |
懇話会の冒頭、挨拶に立った遠東貿易サービスセンター東京事務所の呂 昌平所長は、「台湾は米日韓に続く、世界で4番目のハードウェアの製造力を持っている。日台の企業間のパートナーシップを強化するために、台湾の産業の状況、力強さをもっと知ってもらいたい」と語った。
続いて、今回のミッションの団長である宏傳電子(股)有限公司(Well Communication社)の楊 啓適副総経理が台湾のモバイルおよびブロードバンド関連産業の現状について説明した。
宏傳電子(股)有限公司の楊 啓適副総経理 |
楊副総経理は、台湾でのシンクライアントやSTB、SHD(Smart Handheld Device)の市場は、2002年には約23億ドル(約2700億円)の規模になると説明した。2000年の市場規模は約12億ドル(約1400億円)であり、2年で約2倍に成長することになる。そして、その中でも最も成長率の高い分野がSHDだという。
台湾の情報機器の市場 |
SHDの2000年の市場規模は約2億2500万ドル(約260億円)で、2001年には前年比約137%増の5億3300万ドル(約620億円)、2002年には約8億ドル(約930億円)になると楊副総経理は見込んでいる。このSHDの分野における主な製品はPDAで、そのほとんどを中国大陸に輸出しているという。
SHDの市場 |
台湾は現在、世界のパソコンの供給基地だが、「情報機器の分野でも、強力なサプライヤーになりたい」と楊副総経理は語った。
PDAで株価情報を
今回来日した企業の中で、神乎科技股●(人べんに分)有限公司(TelePaq社)は、PDAを生産するメーカー。現在の主力商品である『TelePDA II(神乎奇機 II)』は、中国大陸を中心に10万台以上を出荷したという。中国のPDA市場は、すでに年間2~300万台という規模に達している。ただし、中国ではPDAとしてさまざまな用途に利用しているユーザーは全体の10%に過ぎず、残りの90%のユーザーは、株価情報を得るための端末として使っているという。
『TelePDA II(神乎奇機 II)』 |
TelePDA IIは同社の独自開発のOSを搭載した“無線ポケットベルPDA”。ポケットベルの周波数を利用して配信される、株式・金融情報、一般のニュース、生活情報などを24時間受信できるという。価格は1台約200ドル(2万3400円)。
『TeleWin』 |
また、同社はまもなく新機種『TeleWin』を発売する。TeleWinはGSM携帯電話機能も内蔵しており、TelePDA IIと同様のPDA機能のほかに携帯電話としても使用できる。本体部のモジュールが交換可能で、Bluetooth、GPS、PCカードスロット、カードリーダーなど、さまざまな周辺機器モジュールを装着できる。インターネットへの接続も可能。
本体下部のモジュール部分。スタイラスペンは、側面に下側から差し込むようになっている |
価格は400ドル(4万6800円)程度を予定している。また、現在はモノクロ液晶だが、将来的にはカラー液晶に換装すること、内蔵するGSM携帯電話機能をIMT-2000対応のそれにアップグレードすることを検討している。
日本側のパートナー企業次第だが、中国市場で鍛えられた台湾製PDAが日本市場に登場する日も、そう遠くないかもしれない。