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【WPC 2001 Vol.18】アジレント、PDA市場向けCPUを発表

2001年09月25日 03時11分更新

文● 編集部 佐々木千之

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アジレント・テクノロジー(株)(以下アジレント)は19日、システムオンチップ(SOC)製品(※1)への参入と、その第1弾として英アーム社の『ARM920T』コアに、USBやIrDA、ポインティングデバイスなどの周辺インターフェースを統合したPDA/インターネット機器市場向けの1チップCPU『Agilent AAEC-2000』を発表し、“WORLD PC EXPO 2001”の会場で展示した。『Palm OS』、『Pocket PC』などのOSを搭載するPDA向けに、2001年12月に量産出荷を開始する予定としており、価格は10万個ロット時15ドル(約1750円)。

※1 CPUなどのロジック回路と高周波処理などのアナログ回路、メモリーが1チップとなった半導体デバイス。

アジレント・テクノロジーがブースで展示していた『Agilent AAEC-2000』のパネル
アジレント・テクノロジーがブースで展示していた『Agilent AAEC-2000』のパネル

アジレントの本社である米アジレント・テクノロジーズ社は、米ヒューレット・パッカード社から分社・独立した企業で、計測器事業部門、分析機事業部門、半導体事業部門を事業の柱としている。日本法人は'99年11月1日に日本ヒューレット・パッカード(株)から独立した。

AAEC-2000の開発キット『AAED-2000 Development System』
AAEC-2000の開発キット『AAED-2000 Development System』
AAED-2000 Development System基板上のAAEC-2000
AAED-2000 Development System基板上のAAEC-2000

WORLD PC EXPOの会場で話を伺ったアジレントの半導体部品本部モバイルビジネス部マーケットディベロップマネージャの山井正敏氏によると、アジレントはヒューレット・パッカード時代からこれまで、ヒューレット・パッカードのプリンターや電卓、ワークステーション向けにSOC製品を供給しており、これまで1億個のSOC製品の出荷実績があるという。今回、そうして蓄えた技術やノウハウを元に、今後大きな成長が見込めるモバイル情報端末にターゲットを絞ったSOC製品を開発して市場投入することにしたという。

AAEC-2000の概要
AAEC-2000の概要

第1弾となったAAEC-2000は、33~200MHz動作のARM920Tコアに、フルカラー対応の液晶ディスプレーコントローラー、フレームバッファー、メモリーコントローラー、不揮発性メモリーマネージャー、およびキーボード、ポインティングデバイス、シリアル、USB 1.1、IrDA、10BASE-Tの各インターフェースを備えた1チップCPU。0.18μmプロセス技術で製造され、トランジスター数は550万個で、コア電圧は通常時1.8V(最小1.6V、最大2.0V)となっている。200MHz動作時の消費電力は380mW。パッケージサイズは17×17mmで厚さは1.76mm。『Palm OS』、『Windows CE』、『Pocket PC』、『Linux』、『EPOC』などのOSに対応するという。

アジレントのSOC製品のロードマップ
アジレントのSOC製品のロードマップ

アジレントは現在、SOC製品の第2弾として250MHz動作のARM-926EJコアを使い、マルチメディア処理用DSP、インドアGPS(※2)、ワイヤレス通信機能を搭載した、次世代PDAやスマートフォン向けCPU“SOC2”(コードネーム)を開発中としている。SOC2には、アジレントが5月に買収したベルギーのSirius Commmunications社(※3)の技術も投入するとしている。さらに、第3弾として300MHz動作のARMコアを使い、SOC2にデュアルモード2.5G/3G(※4)機能を追加した“SOC3”も計画中であるという。

※2 インドアGPS:微弱な電波に対応し、室内においてもGPS衛星による自機位置の特定が可能な技術。

※3 Sirius CommunicationsはCDMAとCDMAベースバンドASIC(特定用途向けIC)に関するIPを持つ企業。

※4 2.5G、3Gの両方の携帯電話方式をサポートし、提供されている環境によってどちらの方式でも利用できるというもの。

アジレントでは、これまでに培ったSOCの実績をベースとして、マルチメディア機能、音声/データ通信機能などの技術を積極的にCPUに統合し、採用を検討する企業に対しても充実したサポートを提供することで、短期間に市場に浸透させるという。目標として、2002年に日本国内向けにSOC製品500万個を出荷し、2003年にスマートフォン市場でシェア20%を目指すとしている。

アジレントが得意とするIrDA通信モジュールの新型『HDSL3210』。1.152Mbpsの通信に対応する
アジレントが得意とするIrDA通信モジュールの新型『HDSL3210』。1.152Mbpsの通信に対応する。国内のある携帯電話キャリアーの端末に採用される見込みで、2002年にはこのチップの載った携帯電話端末が登場するという

従来は携帯電話の高周波部品やCMOSイメージセンサー、IrDAモジュールや発光ダイオードなど、パソコンやPDAなどの周辺コンポーネントを供給してきたアジレントだが、今後ますます高機能化が進むPDAと携帯電話市場にフォーカスし、マルチメディアや高度な通信機能を備えたSOC製品で一気にシェアを獲得する構えだ。AAEC-2000のサポートOSにも含まれているが、米パーム社は次世代の『Palm OS 5』で、CPUをARMコアに移行すると発表しており、マルチメディア機能や通信機能の強化を図る計画。『Pocket PC』やスマートフォン向けWindows CE『Stinger』を開発する米マイクロソフト社はもちろん、スマートフォン向けOS『EPOC』を開発する英シンビアン社なども、マルチメディアと2.5G/3G、音声/データ通信機能のサポートを充実させようとしており、アジレントのSOC市場参入の発表は、これらOSメーカーの動きに合わせたもの。2002年の後半にはAAEC-2000を搭載した製品が登場してきそうだ。

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