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ボーダフォン、日本テレコム株式を公開買い付け――21.7%を獲得し筆頭株主に

2001年09月21日 03時22分更新

文● 編集部 田口敏之

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英ボーダフォングループ社(以下ボーダフォン)、日本テレコム(以下日本テレコム)、東日本旅客鉄道(株)(以下JR東日本)の3社は都内で会見を開き、ボーダフォンの100%子会社であるオランダのボーダフォンインターナショナル・ホールディングス社(以下VIHBV)が、日本テレコムの普通株式の公開買付けを21日に開始すると発表した。

(右から)日本テレコム代表取締役会長の坂田浩一氏、ボーダフォングループ南北アメリカ・アジア地域統括社長のウィリアム・キーバー氏、東日本旅客鉄道代表取締役社長の大塚陸毅氏、後ろが、衛星中継で参加したボーダフォン代表取締役社長サー・クリストファー・ジェント氏
(右から)日本テレコム代表取締役会長の坂田浩一氏、ボーダフォングループ南北アメリカ・アジア地域統括社長のウィリアム・キーバー氏、東日本旅客鉄道代表取締役社長の大塚陸毅氏、後ろが、衛星中継で参加したボーダフォン代表取締役社長サー・クリストファー・ジェント氏

同公開買い付けでは、日本テレコムの発行済み株式の最低10%の応募が条件となっており、21.7%に相当する最大69万3368株までの取得を目的としている。公開買付価格は日本テレコム株式1株あたり45万円。VHIBVは最大3120億円(17億7000万ポンド)をボーダフォングループ内の手元資金で調達する予定。 買い付け期間は10月11日までの21日間で、買い付けの決済完了は、10月26日を予定している。

この公開買い付けに際して、日本テレコムの設立母体の1社であるJR東日本は、同社が所有する日本テレコム株式15.2%のうち、10%に相当する31万9524株以上を応募する意向を示している。またJR東日本は、同公開買い付け後3ヵ月間は、日本テレコム株式を売却しないという。

VHIBVが、今回21.7%の日本テレコムの発行済み株式を取得することにより、ボーダフォンの保有する日本テレコム株は、現在の45%から、66.7%にまで増加し、11月1日付けで合併する、ジェイフォン(株)、ジェイフォン東日本(株)、ジェイフォン東海(株)、ジェイフォン西日本(株)の4社からなるJ-フォングループ(以下J-フォン)への経済的な持ち分比率が現在の60%から最大69.7%へと増加する。これによって、ボーダフォンは日本テレコムおよび、J-フォンの筆頭株主となり、経営権を握ることとなる。

会見中の模様
会見中の模様
なお、ボーダフォンは日本テレコムの東京・大阪両証券取引所への上場を継続し、日本テレコム株式を66.7%以上取得する意向はないものとしている。

同記者会見に、衛星中継を使用して参加した、ボーダフォン代表取締役社長のサー・クリストファー・ジェント(Sir Christopher Gent)氏は「ボーダフォンが日本テレコムの経営権を握ることによって、当社の、日本テレコムグループと日本市場に対しての決意を理解していただけると考えている」と述べた。 続けて「日本の移動通信体事業は、普及率は西欧に比べれば高くないものの、“J-SKY”などモバイルデータ通信サービスの普及率と技術力が非常に高いことなどが魅力的。日本テレコムとのパートナー関係を結ぶことによって、ボーダフォンは3G事業の開発に深く関わり、J-フォンの業績向上に貢献し、同時に3社でメリットを享受したいと考えている」と買い付けの目的について語った。

衛星中継で参加したジェント氏
衛星中継で参加したジェント氏

なおJ-フォンの3Gサービスについては、以前発表したように2002年の6月に東京・川崎・横浜で試験サービスを開始し、2002年10月に本サービスを始めることで確定しており、この件に関しての変更はないということだった。

日本テレコムとJ-フォンの具体的な経営改善策については詳しくは語られなかったが、「ボーダフォンは、法人顧客市場という分野に関しては西欧でリーダーの地位にいる。日本のマーケットにおいてJ-フォンがこの市場を拡大してゆけるよう、協力して事業にあたっていきたいと考えている」と述べた。

日本テレコム代表取締役会長の坂田浩一氏は、「ボーダフォンの経営方針については素晴らしいと思っている。今後、ボーダフォンからの継続な指示を得て、顧客に対して価値のあるサービスを提供しつづけ、今後も通信市場における主要なプレイヤーであり続けたい」と述べた。

日本テレコムの経営人事について、社長は未定だが、すでに合意のもと新たな人物を指名しているという。坂田氏と、日本テレコム代表取締役社長の村上春雄氏は、ボーダフォンが新社長を任命するまで、日本テレコムにおける職務を継続し、新社長が就任した後にも、上級職として日本テレコムの事業発展のために役割を果たすことに合意しているという。

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