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【WPC 2001 Vol.13】Mac OS X 10.1が初公開――対応ソフトも増えクリエイティブ環境が充実

2001年09月20日 22時34分更新

文● 千葉英寿

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これまでのWORLD PCEXPOでは、Windows関連ベンダーに混じって展示ホールで巨大なブースを展開していたアップルコンピュータ(株)だが、今回は場所をイベントホールに移し、まもなくリリースになる『Mac OS X 10.1』を中心とした“Mac OS X Pavilion”を展開した。しかしながら、イベントホールへの道順がいまひとつ分かりにくいうえに入り口が展示ホールをつなぐモールになっており、残念ながら会場は閑散としていた。

“Mac OS X Pavilion”
アップルを中心にMac OS Xにフォーカスした“Mac OS X Pavilion”がイベントホールに展開された

それでも、中央に配された大きなステージでは、9月リリース予定とされるMac OS X 10.1をはじめ、秋から本格的な市場投入が始まるMac OS X対応ソフトウェアの数々が紹介されていた。

Mac OS X関連ベンダーが出展
中央のステージを囲むように、Mac OS X関連ベンダーが出展

中でも国内では初めて公の場に姿を現わしたMac OS X 10.1のセッションでは、ほぼ満席の状況となっていた。

Mac OS X 10.1は、10.0と比較して高速で動作するように改善されているようで、基本操作やアプリケーションなど、全般的に速くなったようだ。外観的な特徴にはほとんど変化がみられないものの、デスクトップの下部に表示される“DOCK”を左右の端に置くことができるようになっており、それだけでも随分イメージが変わった感じがした。

Mac OS Xの最新バージョン、『Mac OS X 10.1』とDVD作成ツールの最新版『iDVD 2』まもなくリリースされるMac OS Xの最新バージョン、『Mac OS X 10.1』とDVD作成ツールの最新版『iDVD 2』。まだプレビュー版とはいえ、日本語化された状態で展示されており、市場投入近しの感触を得た

なんといってもうれしいのは、やっと使うことができるようになったDVDプレーヤーだろう。特別な機能ではないが、自動的にコントローラーを消したり、Windowsの『WinDVD』などでしか観ることのできなかったPC Friendly対応のDVDビデオを観ることができるようになった。なお、発売日などについては明かされなかった。

このほか、アップルコンピュータは、DVD作成ツールの『iDVD 2』やジュークボックスソフトの『iTunes』など、Mac OS X対応の自社製ソフトウェアを紹介していた。

●またまた先送り? アドビはMac OS X Pavilionには出展なし

ステージの周囲では、Mac OS X関連ベンダーがブースを設置しており、さまざまなベンダーがMac OS X対応製品を出品していた。

アップル製品以外の定番としては、すでに発売されている日本語入力システムである(株)ジャストシステムの『ATOK 14』や(株)エルゴソフトの『EGBRIDGE 12』が出品されていた。マイクロソフト(株)はすでにMac OS Xにバンドルされているウェブブラウザー『InternetExplorlor for Mac OS X』やこちらも秋以降の登場が待たれる『Office 10 for Mac OS X』の紹介を行なっていた。

展示ホールの巨大なWindows XPのブースと比較したくはないが……
展示ホールの巨大なWindows XPのブースと比較したくはないが、マイクロソフトもしっかり出展しており、Mac OS X対応でまもなくリリースされる『Office 10 for Mac OS X』を出品していた

定番といえば、Photoshopなどのキラーソフトを抱えるアドビシステムズ(株)は、Mac OS X対応について明確になっていないことからか、Mac OS X Pavilionには小規模なブースすらも出展していなかった。しかし、展示ホールには巨大なブースを展開し、Adobe Photoshop ElementsやAdobe Acrobatなどの主にWindowsコンシューマーに向けた製品を紹介していた。

アドビシステムズは、展示ホールに出展
アドビシステムズは、展示ホールに出展し、Adobe Photoshop ElementsなどのWindowsコンシューマー向けの製品を紹介していた

(株)ドコモ・エーオーエルではMac OS X対応となった『AOL 5.0 for Mac OS X』のプレビュー版のCD-ROMを配布していた。同様に日本テレコム(株)はODNのウリの一つでもある『プーさんメール』がMac OS X対応となったことを紹介していた。

本格的に揃うのはこれからだろうか? 
夏には多くのMac OS X対応アプリが出てくるということだったが、本格的に揃うのはこれからだろうか? 日本テレコムはODNのウリでもある『プーさんメール』のMacOS X対応版を紹介していた

●ウェブアニメ制作に最適な『TOON BOOM STUDIO』は初お目見え

Mac OS Xが出ることで急速に対応が進んでいるのは、CGや動画系のソフトだろう。今回もエイリアス・ウェーブフロント(株)の『Maya for Mac OS X』や(株)ディ・ストームの『LightWave 3D』など出展が目立った。

ソフトウェア・トゥーは、エイリアス・ウェーブフロントの『Maya for Mac OS X』を紹介していた(株)ソフトウェア・トゥーは、エイリアス・ウェーブフロント(株)の『Maya for Mac OS X』を紹介していた

その中でもひときわ来場者の興味を引いていたのが、カナダのトゥーンブーン社(Toon Boom Technologies Inc.)が出品した『TOON BOOM STUDIO』だろう。ブースでは、混乱する航空事情の中、パリ経由でカナダから来日した同社のビジネスデベロップメント新製品担当ディレクターで日系二世のタクヤ・クサノ氏がマシンガンのようなトークで、それに呼応するかのように素早く動作するTOON BOOMを紹介していた。

toon boomの制作画面
toon boomの制作画面。Peg(ペグ)と呼ばれる軌跡に沿ってアニメのキャラクターを動かすことができる。左は実際の画面で、右に画面の構成が表示されている。線路のような表記がPegで、中央のPegはキャラクターの動線で、中央で下向けに湾曲しているPegはカメラの動線・グリーンの実線は、キャラクターや背景などのレイヤーの位置関係を示している

TOON BOOMはアニメーション作成ソフトとしては、ワーナーやディズニーといった主要なアニメ映画製作会社を顧客としており、米国アニメ業界において50%のシェアを獲得している製品だ。ペンタブレットとスタイラスペンを使って、絵コンテから色つけ、背景設定、動作設定などアニメーション作成のワークフローのほとんどを行なうことができ、素早くアニメ作成を行なえる。背景などの画像はさまざまなファイル形式を取り込むことができるが、取り込むと同時にベクター形式に変換されるので、大変扱いやすくなる。

TOON BOOMは、FlashとQuickTimeへ書き出すことができ、デモで見せてくれた、手前から画面一番奥のビルへ移動する数十秒のカメラワークの作品が56KBであることを確認したときには驚きを隠せなかった。このままウェブに掲載してもなんのストレスなくアニメーションを楽しむことができるだろう。

TOON BOOMはすでにWindows 98や2000に対応済みだが、Mac OS対応はこのMac OS X対応版が初。初のMac対応であることから、“Cocoa”で書かれており、十分なパフォーマンスを引き出しているようだった。クサノ氏は、「現在、日本での代理店を模索中ですが、年内には発売を開始したいと考えています」と語った。

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