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【WPC 2001 Vol.11】Windows XPはブロードバンド常時接続に最適──マイクロソフト基調講演

2001年09月20日 16時17分更新

文● 編集部 佐々木千之

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千葉県の日本コンベンションセンター(幕張メッセ)で開催中の“WORLD PC EXPO”において19日午後、マイクロソフト(株)の阿多親一代表取締役社長が基調講演を行なった。午前中にWindows XP日本語版の詳細の発表会を行なったこともあり、講演内容はWindows XP一色となった。

マイクロソフト(株)の阿多親市代表取締役社長
マイクロソフト(株)の阿多親市代表取締役社長

インテル(株)の基調講演をバレット社長兼CEOの代わりにアントン社長が行なったのと同様に、この講演も米マイクロソフト社のリチャード・ベルーゾー(Richard Belluzzo)社長兼最高執行責任者が来日できなくなったことから、阿多社長が代役を務めた。講演冒頭にはベルーゾー氏のビデオが流され「Windows XPは本当にすばらしい製品。日本の人たちとWindows XPを立ち上げていくことができればと考えている」というメッセージを伝えた。また、米国のテロの被災者救済と復旧活動に関して、米マイクロソフトが現金500万ドル(約5億9000万円)を含む総額1000万ドル(約11億7000万円)の援助を行なったことに関連して「ニューヨークの惨事から被災された企業が早く立ち直れるようにお手伝いしていきたいと考えている」とビデオの中でコメントしていた。

マイクロソフトが推進する“.NET”の概要
マイクロソフトが推進する“.NET”の概要

阿多社長は「テクノロジーが進化によって'70年代や'80年代に考えられてきたコンピューターの姿とは全く異なる状況になっている」と切り出した。「ハードウェアについては、CPU能力は5年で10倍、10年で100倍に高まる“ムーアの法則”がまだ今後も続き、ソフトウェアではデジタル技術の汎用化が進み、ネットワークを経由して、紙ベースではとうてい提供できないような膨大なカタログデータが提供されている。スマートデバイスの処理能力は過去の大型システムの能力を超え、しかもこれらを扱うための専門的知識は不要となっている。ネットワークはブロードバンドが本格的に普及しはじめ、インターネットがビジネスインフラとして広まっている」という。

そして、こうした状況において「これからのビジネスには急速に変化するデジタル世界において、俊敏性(アジリティー)が必要となる。それをもたらすのが、マイクロソフトが昨年発表した“.NET(ドットネット)”だ。.NETによってインターネットを通じて、個人個人のプロファイルにあったビジネスや家庭向けの一連のサービスを、プライバシーを確保しつつ提供できる。これまでの“ワン・トゥ・ワン・マーケティング”は実際にはワン・トゥ・ワンではなかったが、.NETは本当のワン・トゥ・ワン・マーケティングを実現する。21世紀は画一的な情報の元で埋もれていくのでなく、一人ひとりに有用な情報を得ることができる世界だ」と.NETによるビジョンを紹介した。

“タブレットPC”のプロトタイプを日本で初公開した
“タブレットPC”のプロトタイプを日本で初公開した
タブレットPC上でVisioを動かしているところ
タブレットPC上でVisioを動かしているところ。図の拡大などの操作がペンで行なうことで簡単になると説明した

次に現在開発中のWindows XP搭載のハードウェア“タブレットPC”のプロトタイプを紹介し、デモンストレーションを行なった。このタブレットPCはキーボードのないペン操作パソコン。PDAのように機能の制限を受けず、デスクトップPCと同じソフトウェアが利用でき、かつ、ペンで操作することによってアプリケーション活用の可能性が広がると説明していた。

また阿多社長はパソコンの売れ行きが停滞していることに関して「国内は1300万台、米国では4800万台のPCが普及した。現状踊り場にきていることは否めないが、世帯数はもっと多く、日本でも米国でもこれでとどまるはずはない。もっと増えていくだろう。昨年から“ポストPC”という言葉がでてきたが、PCはあくまでも中心であり、家庭の中でも個人が情報機器を使うためのハブとしての機能を持つ。デジタルカメラで撮影した画像をプリントサービスに出す、デジタルオーディオ機器に音楽をダウンロードするといったことをPCが行なう。かつて、将来の“ホームPC”の機能、とされたことがWindows XPによって標準機能として提供される」と述べた。

Windows XPのWindows Messengerを使った、テレビ電話のデモ
Windows XPのWindows Messengerを使った、テレビ電話のデモ

ここでWindows XPとその機能のデモンストレーションを行なったが、インターネットで接続された遠隔地のWindows XPパソコンをコントロールしたり、インスタントメッセージングソフト“Windows Messenger”を使ったテレビ電話機能、3Mbpsの高画質ストリーミング映像の再生など、ブロードバンドをインフラとして利用するような、ネットワーク関連の機能を中心に紹介し、「ブロードバンドに常時接続する環境を、Windows XPが実現する」とした。

ネットワークで接続されたパソコンを、別のパソコンからコントロールして見せた
ネットワークで接続されたパソコンを、別のパソコンからコントロールして見せた

講演の最後に「本日最後のアナウンス」とし、イー・アクセス(株)の小畑至弘取締役が登壇し、同日発表した、イー・アクセスとマイクロソフトの提携による、Windows Messengerを通じて公衆回線電話に対してパソコンから電話がかけられるVoIPサービスの開始(サービス提供はWindows XP発売後)について明らかにした。

“隠し球”(?)として紹介された『Microsoft Plus! for Windows XP』
“隠し球”(?)として紹介された『Microsoft Plus! for Windows XP』
イー・アクセス(株)の小畑至弘取締役
イー・アクセス(株)の小畑至弘取締役

IT景気の停滞をうち破る役目を期待されるWindows XPだが、阿多社長の基調講演ではビジネスでもホームでも、Windows XPを使うことで、これからのブロードバンドサービスに対応でき、いち早くその恩恵を受けられる、というメッセージを徴収に強くアピールするものとなった。約1100席用意された椅子はいっぱいとなり、会場は通路まで講演を聴こうという聴衆が座り込む盛況、さらにマイクロソフトブースも人気で、Windows XPへの関心の高さが伺われた。

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