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F5、SSLアクセラレーターを内蔵したIPトラフィック管理装置を発表

2001年09月13日 22時10分更新

文● 編集部 佐々木千之

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F5ネットワークス ジャパン(株)(以下F5)は12日、大規模なインターネットシステム向けのトラフィック管理装置『BIG-IP 5000 IPアプリケーションスイッチ』を発表した。同種の機器としてSSL(Secure Sockets Layer)アクセラレーターを初めて内蔵した。価格はシングルシステムが759万円で、2台の冗長構成システムは1299万円。9月下旬に出荷開始予定。

『BIG-IP 5000 IPアプリケーションスイッチ』
『BIG-IP 5000 IPアプリケーションスイッチ』。11日に米ジョージア州アトランタで開幕した“NetWorld+Interop 2001 Atlanta”で大々的に発表予定だったが、ニューヨークのテロの影響で発表会は中止になったという

F5では、BIG-IP 5000について、負荷分散(広域負荷分散機能を含む)、コンテンツスイッチング、トラフィック管理、Gbit Ethernetスイッチ、SSLアクセラレーションの機能を1つの筐体に収めた、“オール・イン・ワン型のITM(インターネットトラフィック管理)装置”と呼んでいる。本体にはGbit Ethernet×4ポートと、100BASE-TX×24ポートを備えるが、これだけのポート密度を持つITM製品はほかにないとしている。

本体のサイズは幅43.2×奥行き55.1×8.5cmで重さは12.9kg。CPUにはPentium III-1GHz×2を採用、256MBのフラッシュメモリーと、1GB(最大2GB)のRAMを搭載している。HDDなどの回転部分のある記録デバイスは使っていない。

F5によると、ITM装置にはIPベーストラフィックに対して“割り込み”“分析”“変換”“ダイレクト(振り分け)”の4つのタスクが要求されるが、BIG-IP 5000ではこれに特化したレイヤー7のアーキテクチャーを備えており、他社製品の3~4倍の処理能力があるとしている。BIG-IP 5000によって、ファイアーウォール、キャッシュ、ウェブサーバー、アプリケーションサーバー、VPN(Virtual Private Network)ゲートウェイ、WAP(Wireless Application Protocol)ゲートウェイ、SIP(Session Initiation Protocol)ゲートウェイなどのデバイスが効率よく接続できるという。

BIG-IP 5000の内部
BIG-IP 5000の内部。SSLアクセラレーション部分には米Broadcom社のチップを採用している

SSLアクセラレーション機能は、他社のシステムではアプライアンス製品によって提供されていたが、これを内蔵することでコスト削減と省スペース化、SSL処理能力の効率化が見込めるという。BIG-IP 5000のSSLアクセラレーション機能は、毎秒100SSL新規トランザクションだが、最大毎秒800トランザクションまで拡張できる。SSLアクセラレーション機能を内蔵した点については、システムインテグレーターなどから高い評価を受けているという。

F5ネットワークス ジャパン代表取締役社長のティム・グッドウィン氏
F5ネットワークス ジャパン代表取締役社長のティム・グッドウィン氏

F5ネットワークス ジャパン代表取締役社長のティム・グッドウィン(Tim Goodwin)氏によると、「F5ネットワークスの集中管理ソリューションは市場で高い評価を受けており、レイヤー4-7スイッチ製品としては日本市場でシェア1位、世界市場でも2位のポジションを得ている。BIG-IP 5000はF5にとって歴史的な新製品であり、これまでの製品群のトップに位置づけられる」という。

シングルシステムが759万円、2台の冗長構成システムが1299万円という価格については「アプライアンス製品としては一番安いわけではないが、SSLアクセラレーションをはじめ多くの機能を統合したものであり、同じ機能のためにシスコシステムズやノーテルネットワークス(アルテオンウェブシステムズ)など他社の製品では、複数の機器を用意する必要がある。トータルで考えればかなり安いはず。他社はしばらくこの製品に対抗することはできないだろう」とBIG-IP 5000のコストパフォーマンスに自信を見せた。日本市場だけで、発売後の1年に500台以上の販売を見込むとしている。

米F5ネットワークス社プロダクトディベロップメントディレクター、ダン・マット氏
米F5ネットワークス社プロダクトディベロップメントディレクター、ダン・マット(Dan Matte)氏

F5では現在、VoIP分野や、モバイルコンピューティング分野について研究中であり、さらに次世代のインターネットコンテンツ管理を視野に入れて技術開発を行なっているという。米調査会社のDell'Oro Groupの発表によると、2001年第2四半期の世界市場におけるトラフィック管理製品のシェア(売り上げベース)は16.5%で、カナダのノーテルネットワークスを抜き、米シスコシステムズに次いで2位、レイヤー4/7負荷分散装置ではシェア63%と、2位以下を引き離しつつある1位になったという。今回のBIG-IP 5000の発表によって、F5の市場でのポジションは、ますます強固なものになりそうだ。

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