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インテル、“Pentium 4プラットフォーム・デイ”で『Intel 845』製品を展示

2001年09月13日 13時16分更新

文● 編集部 佐々木千之

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インテル(株)は11日、報道関係者を対象にPentium 4プラットフォームの戦略について説明するイベント“インテルPentium 4プラットフォーム・デイ”を開催した。米国で10日(現地時間)に発表した『Intel 845』チップセットの日本でのお披露目の場となった。

Pentium 4プラットフォーム・デイは、“インテルPentium 4プロセッサ メインストリーム・プラットフォームへ”と題されたプレゼンテーションと、Pentium 4搭載パソコンやPentium 4の機能を生かしたソフトウェアなどの展示を行なうショーケースからなるイベント。

これまでの主張を繰り返したプレゼンテーション

インテル第一営業本部本部長の坂野勝美氏はプレゼンテーションにおいて、ビジネスコンピューティング環境の進化によるクライアントパソコンの負荷増大や、ブロードバンドインターネット時代の到来による高画質・高音質なストリーミングビデオへの対応の必要といった、パソコンの利用形態の変化や技術革新の状況などを踏まえ、これらに対応するためにはPentium 4プロセッサーの高いパフォーマンスが必要だということを説明した。

第一営業本部本部長の坂野勝美氏
第一営業本部本部長の坂野勝美氏
'99~2002年のビジネスコンピューティング環境
'99~2002年のビジネスコンピューティング環境

Pentium 4をサポートするチップセットが、『Intel 850』とIntel 845の2種類となったことで、幅広い価格帯のパソコンをカバーできるようになり、これまで『Intel 815』『Intel 815E』とPentium IIIという組み合わせが占めていた、コストパフォーマンスを重視するビジネスデスクトップパソコン市場や、個人向け市場の“メインストリームセグメント”は、Pentium 4プラットフォームに置き換わるとした。Intel 845自体の発表は大々的にアナウンスすることなく、Pentium 4プラットフォーム・デイ開催のリリース中に掲載された。日本での1000個ロット時の価格は5280円となっている。

クライアントパソコンにかかる負荷の増大
クライアントパソコンにかかる負荷の増大
2001年後半はメインストリームセグメントもパフォーマンスセグメントもPentium 4が占めるという
2001年後半はメインストリームセグメントもパフォーマンスセグメントもPentium 4が占めるという

また、年末商戦に向けてこれまでPentium 4では難しいとされてきた省スペースパソコン(※1)が、各社で計画されていることや、Pentium 4のSSE2命令を生かしたソフトウェアが開発中であることなども紹介していた。

※1 インテルはこうした小型のパソコンについて、SFF(スモールフォームファクター)PCと呼んでいる。

用途別にせよフォームファクター別にせよ、広範囲にPentium 4プラットフォームがカバーする
用途別にせよフォームファクター別にせよ、広範囲にPentium 4プラットフォームがカバーする

プレゼンテーションの中身は、これまでインテルがさまざまな場所で主張してきたことであり、特に目新しいことはなかったが、プレゼンテーション後の質疑応答では興味深いものもあった。主な内容を以下に示す。

[質問] 台湾のVIA Technologies社とインテルの間で、Pentium 4プロセッサーのバスとチップセットに関する特許に関連して、お互いに提訴するという事態に発展しているが、インテルの方針はどのようなものか?
[回答] VIA TechnologiesのPentium 4向けチップセットに関して、インテルはPentium 4バスのライセンスを供与していない。これはインテルの持つ5件の特許を侵害している。米デラウェア州において提訴した。インテルの知的財産を守ることは、インテルにとっても株主にとっても重要と考え、このような状況に至った。VIA Technologiesからの提訴については、訴状を吟味していないためコメントは控える。
[質問] Intel 845ではコスト重視の立場からSDRAMをサポートしたということだが、DDR SDRAMのサポートについてはどうなっているのか?
[回答] 今回のIntel 845の発表はSDRAMについてのみの発表だが、近々DDR SDRAMについてサポートする予定である。そう遠くない時期を考えている。
[質問] 同じPentium 4を搭載した場合、Intel 850+RDRAMのシステムとIntel 845+SDRAMのシステムでは、どの程度パフォーマンスに差があるのか?
[回答] 使うアプリケーションにもよるので一概には言えないが、数%~10数%の差がある。
Windows XPとPentium 4のシステムに、旧システムからの買い換えが加速するという
Windows XPとPentium 4のシステムに、旧システムからの買い換えが加速するという
[質問] Pentium IIIなどからPentium 4への買い換え需要が起きるということだが、どのくらいのクラスのシステムからの買い換えを想定しているのか?
[回答] Pentium III-500MHzとPentium 4-2.0GHzでは、3倍以上の性能差がある。およそ2年間でこのくらいの差になる。この間が3年ほどになると、家庭ユーザーに「このくらいの性能差なら買い換えたいな」と思ってもらえると考えている。企業においては、償却期間の関係から多少長めになるが、Pentium IIのシステムからの買い換えということになるのではないか。
[質問] Socket 423のPentium 4はいつまで供給することを考えているか?
[回答] Socket 423からSocket 478への変化は速いペースで進むと考えているが、少なくとも来年の半ばくらいまでは供給することになるのではないか。

省スペースデスクトップ試作品を各社が展示したショーケース

プレゼンテーション後に別室で行なわれたショーケースでは、メーカーやパソコンショップがPentium 4搭載パソコンを、ソフトハウスがPentium 4対応のソフトウェアを展示していた。注目されたのは、プレゼンテーションでも少し触れられた、Pentium 4を搭載した省スペースデスクトップパソコンで、アキア(株)、(株)イーヤマ、日本IBM(株)、コンパックコンピュータ(株)、日本ヒューレット・パッカード(株)、デルコンピュータ(株)の6社が展示していた。

11日に発表した、アキアのPentium 4搭載省スペースパソコン『Micro Book Giga GM510/515』
11日に発表した、アキアのPentium 4搭載省スペースパソコン『Micro Book Giga GM510/515』
イーヤマが参考出品した『FP17GCB』
イーヤマが参考出品した『FP17GCB』
日本IBMが参考出品していた『NetVista M41 Slim』。10月に発表予定というPentium 4とIntel 845を採用する
日本IBMが参考出品していた『NetVista M41 Slim』。10月に発表予定というPentium 4とIntel 845を採用する
コンパックコンピュータが参考出品した省スペースビジネスパソコン。“Evo Desktop”ファミリーの製品と見られる。Pentium 4とIntel 845を採用する。この秋に発表予定としている
コンパックコンピュータが参考出品した省スペースビジネスパソコン。“Evo Desktop”ファミリーの製品と見られる。Pentium 4とIntel 845を採用する。この秋に発表予定としている
日本ヒューレット・パッカードが参考出品していた、家庭向け“hp pavilion”シリーズのPentium 4+Intel 845採用モデル
日本ヒューレット・パッカードが参考出品していた、家庭向け“hp pavilion”シリーズのPentium 4+Intel 845採用モデル
デルコンピュータが参考出品していた省スペースパソコン。Pentium 4とIntel 845を採用する。来週に発表予定か
デルコンピュータが参考出品していた省スペースパソコン。Pentium 4とIntel 845を採用する。来週に発表予定か
インテルが展示していたIntel 845搭載のmicro-ATXサイズのマザーボード『D845HV』
インテルが展示していたIntel 845搭載のmicro-ATXサイズのマザーボード『D845HV』

省スペースパソコンではサイズと共にコストパフォーマンスも重要な要素になることもあってか、展示されていた製品(参考出品含む)はすべてIntel 845チップセットを採用していた。性能を追求するならもちろんIntel 850+Pentium 4の組み合わせだが、企業も含めエンドユーザーの買い換え需要を喚起するのはIntel 845を搭載した廉価なシステムということになる。少なくとも日本においてはPentium 4の省スペース製品が、この冬商戦の目玉となりそうだ。

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