富士フイルムの「FinePix A201」は、FinePixシリーズでは入門機にあたる低価格デジタルカメラながら、有効200万画素CCDと液晶モニタを搭載するなど、本格的な撮影を気軽に楽しめる製品だ。
シンプル機能のコンパクトカメラ
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正面中央は丸いモールドがなされている。レンズ部の下にあるのはマクロ/標準の切り換えスイッチ。 |
FinePix A201は“単焦点パンフォーカス”というシンプルなレンズを搭載する入門機だ。装備重量(バッテリ/メモリカード込み)でも約200gと軽量なボディは、98.5(W)×40.5(D)×64.5(H)mmと、タバコの箱よりも一回り大きい程度だ。サイズ的にはキヤノンの「IXY DIGITAL 200」よりも体積比で1.9倍大きいが、オリンパスの「CAMEDIA C-1」と比べると約90%の容積。前面や背面は中央部が膨らんだ形状となっているものの、実際に手に持つとかなりコンパクトに感じる。
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上面のスイッチをONにすると、レンズカバーがスライドするとともに電源が入る。シャッターボタンのところのレバーで再生モードにした状態でも電源ONにするにはレンズカバーを開く必要がある。 |
機能は非常にシンプルで、本体上面の電源レバーをスライドさせれば連動したレンズカバーが開いて電源が投入される。シャッターボタンの周囲にあるダイヤルで撮影/再生/動画撮影を切り換える。
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背面のスイッチ類も少なく、操作の多くはメニューを表示させておこなう。決定/キャンセルの細長いボタンはFinePix 50iに似たデザインだ。 |
背面には液晶モニタとカーソル、3つのスイッチボタン(モニタON/OFF、メニュー/OK、キャンセル)があるだけで、フラッシュのON/OFFやセルフタイマなどの機能はメニューを呼び出して設定する。デジタルズームも備えており、カーソルキーの上下ボタンにより、VGAモード(640×480ドット)では最大2.5倍、1Mモード(1280×960ドット)で最大1.25倍の拡大が可能だ。ただし、撮影時にはデジタルズーム倍率よりも設定した記録画素数が優先されるので、最高記録画素数である2Mモード(1600×1200ドット)にしているとズームボタンがまったく効かず、その旨がモニタに表示されないのは最初は少々戸惑う。初心者向けのモデルであることを考えれば、デジタルズームを押せば自動的に低記録画素モードに移行するようにしていても良かっただろう。なお、光学ファインダは倍率固定でデジタルズームとは連動しないため、液晶モニタOFFで撮影する場合にはデジタルズームはキャンセルされる仕様になっている。
液晶モニタは5.5万画素のD-TFD(※1)なので、多くのデジタルカメラで採用されている11万画素前後のTFTに比べるとさすがに見劣りするが、低価格機ということを考えればやむを得ないだろう。
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底面のフタを開けると単3×2本のスロットとスマートメディアスロットが現れる。なお、フタに隠れているが底面には三脚孔も備わっている。 |
本体前面のスライド式レバーを操作することにより、通常撮影とマクロ撮影モードを切り換える。レバー操作でレンズの焦点距離を機械的に動かすのはトイデジカメを含む入門機によくある方式だが、A201ではマクロモードにすると液晶モニタにもマーク(チューリップのアイコン)が表示されるため、マクロにしたまま遠景を撮るという撮影ミスが防げる。ただし、通常撮影(約80cm~無限遠)とマクロ(約8~約13cm)の中間距離ではピントが甘くなってしまい、A4の文書をメモ的に撮影する際に多用する30cm前後が撮影範囲から外れているのは気になる。
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撮影サンプル1。撮影は1600×1200ドットだが、掲載用に640×480ドットにリサイズしている。 |
背面のメニューボタンを押せば液晶モニタにメニューが表示されて各種設定が行える。撮影時は「オート」と「マニュアル」の2つのモードがあり、オートではセルフタイマとフラッシュモード(自動発光/発光禁止/強制発光/赤目防止発光)程度しか設定できないが、マニュアルでは、露出補正(-1.5EV~+1.5EV、約0.3EVステップ)やホワイトバランス(オート/晴天/曇天/蛍光灯×3種類/白熱灯)が変更できるなど、細かな設定が可能だ。また、液晶モニタ上にメッシュ(3×3分割)を表示させる機能があり、風景を撮るときに水平を出しやすいので重宝する。ただし、夜景モードやスローシャッターといった凝った撮影機能は装備しておらず、シャッター速度(自動のみ)も最大1/2秒であることを考えれば暗いところでのスナップには向いていない。
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撮影サンプル1の中央部を640×480ドットにトリミングしたもの。 |
