(株)スタジオブルテリアは4日、同社のグラフィックスツール『FARLUX(ファーラックス) 3』向けに、PS2やニンテンドー ゲームキューブ(GC)、ゲームボーイアドバンス(GBA)に対応するプラグインを発表した。同時に、PDAや携帯電話などの液晶ディスプレー搭載機器用の、デジタルコンテンツ制作環境のコンセプト『FARLUX ICE(アイシーイー)』も発表した。
『FARLUX 3』 |
同日開催した記者発表会で、阿川弘己代表取締役は、数値で表わされたものを可視化する、目で見えるようにすることが自分たちの役目だと語った。同社では、今後は“スケーラブルメディア”への対応が重要だとし、低解像度から高解像度まで、静止画および動画、2Dあるいは3Dと、あらゆるメディアへ対応するツールを開発していくという。
阿川弘己代表取締役 |
今回発表した家庭用ゲーム機向けのプラグインは、PS2用が『FARLUX プレビューア for PlayStation 2』、GC向けが『GAMECUBE プレビューア』、GBA用が『マップエディター・モジュール』となっている。このうちPS2用とGC用の『プレビューア』は、開発中のゲームの画像を実機を通して見ることができるという製品。これによって、開発者・デザイナーは実際のテレビ画面上で、色表現やキャラクターの動きを確認することができる。また。『マップエディター・モジュール』は、メモリー搭載量の少ないGBA向けに、画像を圧縮することが可能。
また、これら3つのプラグインは、同社の発表したコンセプト『FARLUX ICE』に対応する最初の製品になる。『FARLUX ICE』で同社は、それぞれ発色数や画面解像度の異なる機器向けのアプリケーションでも、共通の環境での開発を可能にするという。
『GAMECUBE プレビューア』 |
PS2用とGC用の『プレビューア』は、パソコンとPS2およびGCの開発機とを接続し、それらに繋いだテレビ上で、実際の画面表示を確認できるプラグイン。特にPS2とはIEEE1394で接続できるため、高速な動作が可能だという。また、“alfa 減色機能”により、アルファチャネルの情報を保持したまま減色することができる。これによって、たとえば透過色などを、減色しても維持できるという。
『FARLUX プレビューア for PlayStation 2』 |
価格はどちらも5万円で、9月中に出荷を開始する。ただし、購入する際には、(株)ソニー・コンピュータエンタテインメント、任天堂(株)とのライセンス契約を締結していることが条件となる。
『マップエディター・モジュール』は、GBA用のゲームを開発する際、限られた色空間とメモリー空間でを有効に活用するために画像の圧縮などを行なう。圧縮方法は、色の配列が繰り返されている部分をひとつのパターンとして記録し、bit単位で情報を記録するよりも容量を節約するという。
『マップエディター・モジュール』の価格は8万円で、出荷開始は9月。GBAの開発実機およびエミュレーターへの情報の転送には、任天堂とのライセンスによる無償のプラグインが、別途必要になる。
『マップエディター・モジュール』 |
発表会では、実際にPS2、GC、GBAの開発実機を使ったデモンストレーションが行なわれた。同社のスタッフが『FARLUX 3』の機能である約6万5000のカラーパレットを使い、昼間の画像をパレットを変更することで夕方や夜に変えたり、キャラクターの色を簡単に変更したりした。また、テクスチャーを簡単に貼り付けるデモや、減色機能のデモも行ない、フルカラーの画像を16色まで減色しても、画質の悪化を最低限に抑えていることを強調した。
16色まで減色 |
ただし、開発実機はすべてプレスには見えないように覆われ、写真撮影も行なえなかった。