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NECなど、カーボンナノチューブ電極採用の携帯機器向け燃料電池を開発

2001年08月30日 18時12分更新

文● 編集部

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日本電気(株)、科学技術振興事業団、(財)産業創造研究所は30日、カーボンナノチューブの一種である“カーボンナノホーン”を電極に採用した携帯機器向けの小型燃料電池を開発したと発表した。

カーボンナノチューブを用いた燃料電池
カーボンナノチューブを用いた燃料電池

燃料電池は、水素などの燃料と酸素とを電気化学的に反応させて化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換するもので、エネルギー密度がリチウム2次電池の10倍など、高効率な次世代エネルギーとして注目されている。今回開発した燃料電池は、電池の出力が従来より約2割向上することを確認しており、将来的にはノートパソコンの数日間の連続使用などが可能になるという。

カーボンナノチューブ
カーボンナノチューブ

開発した電池は、“カーボンナノチューブ”の一種である“カーボンナノホーン”を利用している。カーボンナノチューブは1991年にNECの主席研究員である飯島澄男博士(科学技術振興事業団/名城大学/独立行政法人産業技術総合研究所にも所属)が発見した炭素系材料で、“カーボンナノホーン”は、1998年に飯島博士を含むグループが、科学技術振興事業団・国際共同研究事業“ナノチューブ状物質プロジェクト”において発見したもの。

カーボンナノホーン
カーボンナノホーン

カーボンナノホーンは、ホーン(角)状の不規則な形状を持ち、通常のカーボンナノチューブと同様に黒鉛構造の炭素原子面で構成され、多数のナノホーンが集まり100nm程度の大きさの凝集体(2次粒子)を形成している点が特徴。表面積が非常に大きく、気体や液体が内部まで浸透しやすい利点があるという。また、レーザー蒸発法で製作され、通常のカーボンナノチューブに比べて高純度大量合成が容易で、コストも低く抑えられるとしている。今回試作した小型燃料電池は、電解質の陽イオン交換膜に固体高分子電解質“フッ素系ポリマー”を利用する固体高分子型で、カーボンナノホーンの表面に白金系触媒を付着(担持)させたものを電極材料に採用したという。

NEC、科学技術振興事業団、(財)産業創造研究所は今後、小型燃料電池の実用化を目指して、カーボンナノチューブの作製条件や触媒担持工程などを含めた研究・開発を積極的に展開していくとしている。

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