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【IDF Fall 2001 Vol.2】“3GIO”“Hyper Threading”など将来技術を披露

2001年08月30日 00時20分更新

文● 塩田紳二

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次世代拡張バス“3GIO”の詳細が判明

今回のIDFの目玉の1つは、米インテル社が開発中の次世代I/Oアーキテクチャーである“3GIO(スリージーアイオー)”の詳細の発表である。この3GIOは、“Arapahoe(アラパホ)”というコードネームがあり、2月の“IDF Spring 2001”で最終日に発表されたプロジェクトである。

すでにニュースなどでも報じられているように、米AMD社の“Hyper Transport”のグループ化に対応するように、“PCI-SIG”や、米国パソコンメーカーがこの3GIOを共同開発するグループを結成している。

その中でも最も大きいグループがPCI-SIGである。PCIは、現在のほとんどのパソコンに搭載されている拡張バスであり、米IBM社やインテル、米コンパックコンピュータ社などの業界大手がすべて参加しているグループでもある(ちなみにAMDも参加している)。

“3GIO”とは仮の名前である。まだ、正式な名はない。意味は第3世代目(Third-Generation:ISA、PCIに続いて)のI/Oアーキテクチャーということである。

最大の特徴は、信号をシリアル転送するシリアルバスであるということだ。データを伝送する場合、複数のビットを並列に送るパラレルバス(従来のISAやPCIバスはパラレルである)よりも、一列に送るシリアルのほうが高速化しやすい。というのは、パラレル転送では各ビットの信号の遅れなどを揃えないといけないが、それは高速になるほど難しいからである。これに対して、シリアル転送ではその必要がなく、高速化しやすい。

さて、この3GIOだが、基本は4本の信号線で構成されるようだ。実際には、ディファレンシャル(2本のラインの電圧差で1、0を表現する)の1方向のシリアルリンクが2つ(4本)で一組となって動作する。この信号線のクロック、転送速度は明らかにはなっていないが、クロックは10GHz程度でデータ転送速度としては毎秒1GB程度ではないかと言われている。

3GIOを採用するデスクトップ機の構成例
3GIOを採用するデスクトップ機の構成例。グラフィックスデバイスの接続にもAGPに代わって3GIOが使われるようだ
こちらは3GIOを採用するサーバー機の構成例
こちらは3GIOを採用するサーバー機の構成例

3GIOは、この4本一組のリンクを複数使用することで、より大きなデータ転送速度を実現する。4本一組のものを標準速として“1x”と呼び、2組使う場合を“2x”、4組使うものを“4x”などと表わす。例えば2xの信号線は8本となり、1つのリンクが毎秒1GBだとすると毎秒2GBを実現できる。このとき、各リンクに転送するデータをバイト単位に順番に割り振っていく。8xなら、最初の8バイトを8つのリンクで同時に転送する。最初の1バイトを8つのリンクに1ビットごとに分割して転送することはしない。

4xでは、先頭から4つのバイトを各リンクに割り振って転送し、転送先で組み立て直す
4xでは、先頭から4つのバイトを各リンクに割り振って転送し、転送先で組み立て直す

では、3GIOを採用するパソコンの内部構造(実際には3GIOに対応するチップセットの構成)はどうなるのかというと、内部にも3GIOがそのまま使われる。チップセットのノースブリッジから3GIOの信号が出力されサウスブリッジやビデオカードと接続するようになるらしい。

また、アダプターカードと接続する部分には、“スイッチ”と呼ばれる回路が入り、複数のカードで何組かの3GIO信号ラインを共有する。簡単にいうとEthernetのスイッチングハブのような働きをするものが、アダプターとサウスブリッジの間に入るのである。

3GIOは、このようにマザーボード上のデバイス間接続に使われるほか、コネクターを使ったアダプターカードとの接続(いわゆる拡張スロット)、およびパソコンの外部にケーブルまたはコネクターで接続する外部接続も想定されている。たとえば、ノートパソコンのドッキングステーションや、本体と入出力部分を分離したデスクトップ機器という構成にも利用可能なのである。

さて、実際のデバイスの接続では、信号線以外に電源ラインやコネクター、カード形状といったさまざまなスペックを決めなければならない。それはどうなるのか? それについてはPCI-SIGが絡んでくるのである。

3GIOは、PCI 3.0の一部

PCI-SIGは現在のPCIバス規格“PCI 2.2”の後継として、従来のPCIや“PCI-X”(PCIのバスクロックを33MHzから66/133MHzに引き上げたもの)、PCI-X DDR(PCI-Xのデータ転送レートを倍にしたもの)を含む“PCI 3.0”という仕様を策定中である。そして3GIOは、“PCI-3GIO”(これもまた仮の名称である)として、このPCI 3.0に含まれるのである。PCI 3.0では、すべてのカードは、3.3Vで動作できる必要があり、コネクターを拡張する形で従来のPCI 2.2カードとの共有スロットを実現する。

一般デスクトップなどに使われる3x程度までのPCI-3GIO拡張コネクター
一般デスクトップなどに使われる3x程度までのPCI-3GIO拡張コネクター

そして、3GIOも3x程度までなら、小さなコネクターをPCIコネクターと直列に並べた共有スロットが可能。おそらくこれが一般のデスクトップで採用される拡張スロットの形になるであろう。

高速転送を必要とする4x以上のPCI-3GIOでは、PCIコネクターの隣に3GIOコネクターが配置される
高速転送を必要とする4x以上のPCI-3GIOでは、PCIコネクターの隣に3GIOコネクターが配置される

では、4x以上の場合はどうするのかというと、専用のコネクターが使われ、従来のPCI/ISA共有スロットのISAバスがあった位置に3GIOのコネクターが設置されるようだ。つまり、サーバー用マザーボードなどでは、1つのスロットが8x 3GIOカードか3x 3GIOカードのどちらにも対応するように作ることができるわけだ。

また、カードの形状だが、3GIOカードはPCI 3.0規格に準拠したものになる。これは、今のPCIカードとそれほど変らない(もっともカードエッジ部分は違ってくるが)ものになるであろう。

サーバーのPCI-3GIO製品登場スケジュール
サーバーのPCI-3GIO製品登場スケジュール。2004年にはPCI-3GIO搭載マシンが登場する予定

3GIOに対応した製品の出荷スケジュールだが、2004年の上半期には、ノートパソコンなどの拡張スロット(現在のmini PCIが使われているようなところ)に採用され、デスクトップでは、2004年の下半期に製品が登場する予定だという。

モバイルPCのPCI-3GIO製品登場スケジュール
モバイルPCのPCI-3GIO製品登場スケジュール

PCI-SIGでは以前、“シリアルPCI”というシリアルバスを策定していたが、それを放棄して3GIOを取り込んだ。インテルにしてみれば、カード形状など3GIOの性能とは直接関係しない部分の主導権をPCI-SIGに渡すことで、PCI-SIGをグループに取り込んだのである。こうすれば、PCI-SIGはこれからも拡張バスについての取りまとめ団体として生き残ることができる。まあ、お互いの利害が一致した動きとも言えるだろう。なお、PCI-SIGには、先に述べたようにAMDも参加しており、PCI-SIGの資料では、ノースブリッジとサウスブリッジの接続にHyper Transportが使われることが想定されている。

こちらも、暗黙の決着がついてしまったのではないかと思われる。AMDの64bit CPU“Hammer”シリーズのプロセッサーバスに使われる予定のHyper Transportは、AMDとしてはなんとしても生き残らせないとならないものだが、おそらく汎用の拡張I/Oアーキテクチャーとして普及させるまでの力はない。せいぜい、サーバーなどのハイエンド機器での利用がせいぜいである。しかも、インテルのCPUとAMDのCPUでは、チップセットが違う。ノースブリッジ、サウスブリッジ間接続は、方式が違っていても困らない。AMDが死守したいのは、“プロセッサーとノースブリッジ間の接続で、Hyper Transportを採用するチップセット”の存在、つまりサードパーティー製チップセットの存在である。逆に拡張スロット側やノースブリッジ、サウスブリッジ間接続は、Hyper Transportを使ってくれればありがたいという程度なのである。

バス戦争とも言われていた3GIO対Hyper Transportだが、実際には、あっさり棲み分けが行なわれて、サードパーティーが代理戦争をする程度なのではないかと思われる。

3.5GHz動作のPentium 4をデモ

IDF2日目の基調講演では、ポール・オッテリーニ(Paul Otellini)上級副社長兼インテルアーキテクチャーグループゼネラルマネージャーが登場。恒例とも言えるCPUの高速動作デモでは、Pentium 4を3.5GHzで動作させた。また、将来的には10GHzまでクロックを上げる予定だという。また、モバイル専用に設計されるというCPUである“Banias(バニアス)”についても、初めて公式に名前を出した。また、サーバー系のCPUでは、1つのCPUが論理的には2つのCPUのように見える“Hyper Threading(ハイパースレッディング)”技術の採用を発表した。これは、簡単にいえば、2つのプロセッサーがCPUバスを共有して1つのコアになっているもの。ハードウェア的には1つのCPUだが、ソフトウェアから見ればデュアルCPUのように見える“バーチャルマルチプロセッシング”だ。

モバイル専用IA-32プロセッサーである“Banias”が初めて公式に登場
モバイル専用IA-32プロセッサーである“Banias”が初めて公式に登場
サーバー用CPUには、“Hyper Threading”の採用を発表
サーバー用CPUには、“Hyper Threading”の採用を発表

明日はIDF3日目の様子をお伝えする。

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