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富士通、ドキュメント検索システムの開発を行なう“アクセラテクノロジ株式会社”を設立

2001年08月27日 22時27分更新

文● 編集部 佐々木千之

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富士通(株)は27日、社内のドキュメント検索システム開発グループを分離・独立させ、“アクセラテクノロジ株式会社”を7月3日付で設立したと発表した。

サンブリッジのアレン・マイナー代表取締役社長、アクセラテクノロジの進藤達也代表取締役社長、富士通の前山淳次常務取締役
(左から)サンブリッジのアレン・マイナー代表取締役社長、アクセラテクノロジの進藤達也代表取締役社長、富士通の前山淳次常務取締役

アクセラテクノロジは、富士通でドキュメント検索システム『IntelligentSearch(インテリジェントサーチ)』を開発したグループが独立した企業。代表取締役は、開発グループで担当部長を務めた進藤達也氏が就任。資本金は1億25万円で社員は現在8名。設立に当たっては、同社経営陣のほか富士通とサンブリッジが出資しており、出資比率はアクセラテクノロジ経営陣47.6%、富士通40.5%、サンブリッジ11.9%。本社は東京都渋谷区のサンブリッジのベンチャー向けオフィスに置く。

IntelligentSearchは、(株)リクルートの情報サイト“ISIZE”、ニフティ(株)のオンラインショッピングモール“Shopping@Nifty”、(株)ブックワンのオンライン書店“bk1”をはじめとして、300社以上で利用されているという。

アクセラテクノロジでは、富士通からIntelligentSearchに関するライセンスを受け、IntelligentSearchにビジネスシステム向け機能を付加するアドオンシステム『eAccela BizSearch(イーアクセラ ビズサーチ)』を、同社初の製品として27日に販売開始した。eAccela BizSearchは、検索対象としてHTMLのほかXML、Microsoft Word/Excel/PowerPoint、Lotus Notes、一太郎、OASYS for Windowsなどの各種ドキュメントに対応した。

eAccela BizSearchは、イントラネット向けのWorkgroup Edition、中規模インターネットサイト向けStandard Edition、大規模インターネットサイト向けEnterprise Edition、開発キットなどを用意する。対応するプラットフォームはWindows NT Server 4.0、Windows 2000 Server/Advanced Server、Solaris(2.6/7/8)。アクセラテクノロジは製品の直販を行なわず、富士通をはじめとした販売チャネルを通じて販売するため、詳細な価格については明らかにしていないが、Workgroup Editionでおよそ300万円程度としている。

富士通の前山常務が示したビジネスのフレームワーク
富士通の前山常務が示したアクセラテクノロジにおけるビジネスのフレームワーク

アクセラテクノロジでは、検索システムの売り上げ目標として2003年度20億円を掲げており、同年に単年度黒字化、2004年に新規株式公開を計画している。

アクセラテクノロジの分離・独立は、富士通が2000年10月に開始した“富士通スピンアウト・プログラム”の一環として行なわれた。このスピンアウト・プログラムは、富士通グループ内の優れたプロジェクトやグループを、同社から分離・独立させ、て世界的に通用する企業を育成することを目的としている。これまでにインターネットビジネスコンサルティング事業を行なう彼方(株)、ビジネス運用管理システム開発の米Lucida社などを設立しており、アクセラテクノロジで5社目となる。

アクセラテクノロジの事業拡大予測(売り上げ)
アクセラテクノロジの事業拡大予測(売り上げ。2000年度は富士通内のIntelligentSearchの売り上げ)

発表会で挨拶した富士通常務取締役の前山淳次氏は「富士通グループの中だけでやっていては、富士通の持つシェアまでしか取れない。もっと伸びるはずのビジネスはどんどん独立させて伸ばしていきたい」と述べた。独立後は富士通も1ビジネスパートナーという位置づけで、日本電気(株)、(株)日立製作所、日本IBM(株)などの富士通のライバル企業とも積極的にビジネス展開することを望んでいるという。

富士通のスピンアウト・プログラムで、ベンチャー系のインキュベーターとして初めてパートナーとなったサンブリッジ代表取締役社長のアレン・マイナー(Allen Miner)氏は「これまで10数件のベンチャーに投資してきたが、アクセラテクノロジは、技術、人材、マーケットの成長性、経営陣の情熱など、われわれの投資基準すべてをクリアする初の案件だ。また、富士通のスピンアウト・プログラムは高く評価しており、富士通の枠を超える会社にという意志を強く感じる。こうすれば日本でもグローバルベンチャーが生み出せるんだというモデルになればと考えている」と、アクセラテクノロジの成功に期待を寄せた。

アレン氏によると、日本では、優秀な人材は大企業に集中する傾向があり、なかなか世界に通用するような優れたベンチャー企業が生まれづらいという。これまでも大企業が有望な技術を持つグループなどを独立する動きはあったが、富士通のスピンアウト・プログラムは、出向ではなく転職させるもので、出資比率も経営陣よりも低く抑えて、ベンチャーの独自性を尊重するユニークなものという。IT市場の冷え込みが取りざたされる現在の状況下でも成長を続けられるような、強いベンチャーが登場するための1つの方法として、注目される。

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