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MIT宮川教授、富士ゼロックスの協力で講義要旨のストリーミング配信を開始

2001年08月27日 21時29分更新

文● 編集部 中西祥智

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マサチューセッツ工科大学(MIT)の宮川繁教授は27日、富士ゼロックス(株)の協力により、同日、講義の要旨を実験的にストリーミング配信すると発表した。配信するのは9月に開始する宮川教授の講義「Media,Education,and the Market Place(メディア、教育とその市場)」で、宮川教授のホームページ上で無料で公開する。

Media,Education,and the Market PlaceMedia,Education,and the Market Place

宮川教授は理論言語学やニューメディアに関する研究を行なっている。今回の「Media,Education,and the Market Place」は最新のメディア論の研究に焦点をあてるもので、Dr.Robert Metcalfe(Ethernetの発明者で、米3Com社の創始者)やMs.Bonnie Bracey(クリントン政権の教育とデジタルディバイドについての大統領顧問)といった著名なゲストスピーカーも講義を行なう。

そして、それらの講義を事前に10分程度の映像として収録・編集し、富士ゼロックスが日本とアメリカにそれぞれ設置したサーバーから配信する。富士ゼロックスは、今回の宮川教授の取り組みに必要な配信用のサーバーや技術サポートなどを、すべて無償で行なう。映像のフォーマットはASF方式で、Windows Media Player 6.4以上が必要になる。帯域は、56kbps程度で十分だという。

宮川繁教授宮川繁教授

ウェブサイト上には宮川教授以下各ゲストスピーカーの画像が並び、再生ボタンをクリックすれば、新しいウィンドウが開いて映像の再生を開始する。“Slider”によって、映像を望む位置から開始することや、“Detailed Display”ボタンを押して映像のサマリーを表示することが行なえる。また、キーワード検索も可能で、スピーカーが入力したキーワードを発言した部分を表示する。

講義では、将来のブロードバンドが普及した社会を、

  • ブロードバンドでのメディアはどのような存在になるのか
  • 学校だけでなく、広い意味での教育はどう変化するのか
  • ビジネスにはどういったチャンスが出てくるのか

以上の3つの観点から考察する。

映像サマリー表示
宮川教授が“Manga Summary”と呼ぶ映像サマリー表示

宮川教授によると、最近の子供たちは、メディアを単に見るものではなく、自分たちで作っていくものだと認識している。ビデオゲームで育った世代は、メディアに対して何らかの行動を起こすことに慣れているという。宮川教授は今まで米国の若者を相手に話をしてきたが、今回の取り組みを通じて、今後は日本の若者とも話していきたいとしている。

また、MITは4月に、今後10年間で約2000のすべての講義をインターネット上で配信するオープンコースウェア構想(Open Course Ware:OCW)を発表している。OCRは2002年の秋に開始する予定。今回の宮川教授の試みはそれに先行する形となるが、OCRの一部として行なうものではないという。なお、OCWのプラットフォームなどは、現時点では未定。

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