ビデオの再生で気になる点が
GENIO eには高精細な液晶とモノラルスピーカが搭載されている。そこで、100kbps程度のWindows Media Video(WMV、圧縮形式はMPEG4)ファイルを作成し、Windows Media Playerで再生してみたが、多少コマ落ちが見られる。同じ動画ファイルはiPAQではスムースに再生できるのだが。CPUはGENIO eもiPAQも同じため、メモリからのデータ読み込み速度が遅いのかと考え、ベンチマークソフト「WisBench1.00」を使って調べてみると、ほぼ同等でむしろCFカードのランダムアクセスではGENIO eの方が高速という結果が得られた。どうやら転送速度に起因する問題ではなく、MPEG1のデータ処理に問題があるようだ。そこで東芝に聞いてみると、iPAQに搭載されている液晶が4096色表示なのに対し、GENIO eでは6万色のため、動画再生処理に時間がかかってしまうのではないかとのことであった。
音声は、内蔵スピーカで聞くと高音部が弱いものの、iPAQの搭載するスピーカよりも音質がよい。ヘッドフォン端子を使うと高音部もはっきりと聴くことができる。
バッテリ駆動時間は、公称で約8時間(フロントライトオフでToday画面の連続表示)だが、実際に同じ条件で測定すると10時間以上も持ち、PDAとして1回の充電で丸1使う分には差し支えない。ただし、音楽再生時には、フロントライトオフの状態で3時間50分しか保たず、iPAQでは6時間程度の長時間再生ができることを考えるとちょっと短く感じる。
WisBench1.00によるベンチマークテスト結果
テスト(1) CFカードのランダムアクセス(CFカードはLEXARの8倍速タイプを使用) |
テスト(2) CFカードのシーケンシャルアクセス(CFカードはLEXARの8倍速タイプを使用) |
テスト(3) 内蔵メモリのランダムアクセス |
テスト(4) 内蔵メモリのシーケンシャルアクセス |
WisBench1.00の入手先は「WindowsCE FANサイト」。(c) Walkers Internet Service & WindowsCE FAN
SDとCF TypeIIの2スロットが用意されている。SDカードに入れた音楽を再生しながら、P-in Comp@ctなどを使って通信することも可能だ。 |
東芝は、このGENIO eをビジネス向けのモバイルソリューション用と位置付けているが、オプションにコントローラ付きヘッドフォンを販売するなどコンシューマユースでも十分活用できる。GENIO e550はオープンプライスで、予想実売価格は7万円前後と、Pocket PCとしては高価は部類に入るが(ライバルのiPAQはメモリ64MB搭載の上位モデルが7万9800円に値下げされた)、価格以上に携帯性・拡張性に価値を見出すユーザーにはお勧めできる製品だ。また、9月下旬に登場する「GENIO e550/MD」は10万円前後で、差額の3万円で1GBのマイクロドライブが付いてくることを考えればこちらのほうが割安感がある。
製品名 | GENIO e550 |
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CPU | StrongARM-206MHz |
メモリ | 32MB |
モニタ | 240×320ドット/4096色反射型TFT |
拡張スロット | CF TypeII/SD |
バッテリ | アドバンストリチウムイオン充電池 |
駆動時間 | 約8時間 |
インターフェイス | USB(クレードル)、IrDA、ヘッドフォン |
本体サイズ | 77(W)×125(D)×17.5(H)mm |
重量 | 約180g(バッテリ含む) |