透過原稿(ポジ/ネガフィルム)にも対応するフラットベッドスキャナの低価格が進み、フィルムスキャナにはいっそうの高解像度化、高画質化が求められている。35mm(135)/APS(IX240)フィルムに対応するキヤノンの「CanoScan FS4000US」(以下FS4000US)は、最高4000dpiの高解像度の取り込みに加え、ゴミ傷除去機能も搭載するなど、10万円を切る低価格ながらワンランク上の製品に匹敵する機能を装備したフィルムスキャナだ。
高画質化のためのスペックを満載
USB1.1とSCSI-2のデュアルインターフェイスを搭載し、幅広いユーザー環境に対応できる。SCSIインターフェイスはハーフピッチ50ピンの端子を2つ装備しておりSCSI機器のデイジーチェーンも可能。 |
インターフェイスはUSB1.1とSCSI-2の2種類を搭載。本体底面のスイッチを切り替えることで排他的に利用でき、幅広い環境に対応可能だ。
また、赤外光を利用したフィルム上のゴミ&キズ除去機能「FARE(Film Automatic Retouching and Enhancement)」の搭載はユーザービリティに大きく貢献している。これは、まず赤外光によるスキャンを行うことでフィルム上のゴミとキズの位置を検出し、次に白色光で実際にスキャンを行った後で画像処理によりゴミとキズを除去する機能だ。機能的にはニコンやミノルタのスキャナに搭載されている「Digital ICE」によるゴミ&キズ除去と同じものであり、フィルム上にホコリが載っていても多少なら気にすることなく綺麗なスキャン画像が得られる。後からフォトレタッチソフトで手作業で処理する手間もかからず、ゴミ&キズ除去による不自然さもほとんど気にならない。現在のフィルムスキャナには必須の機能と言って過言ではないだろう。
底面にはSCSIとUSBのどちらを使用するかを切り換えるスイッチと、SCSI ID設定用のロータリースイッチが並ぶ。 |
画像の取り込みを行うドライバソフト「FilmGet FS」は、Windows版はTWAINドライバとして、Macintosh版はフォトレタッチソフトのプラグインとして動作する。今回はWindows版でレビューを行ったが、どちらも機能的にはほぼ同一となっている。
FS4000USではスライドマウントだけでなくスリーブもホルダにセットして取り込みを行う。スリーブをそのまま取り込めるニコンのCOOLSCANシリーズのほうが手軽だが、フィルムを送るためのローラーが直接フィルムに接するのを嫌うならFS4000USがお勧めだ。ただしホルダを装着するためにスキャナ本体の手前に35cm程度の空間が必要。 |
FS4000USにはAPSフィルムホルダも標準で付属し、最大40コマの連続読み取りが可能だ。35mmフィルムだけでなくAPSフィルムも利用するユーザーにとってFS4000USは非常に利用価値が高い。 |
TWAINドライバソフト「FilmGet FS」のメインウィンドウ。画像調整やスキャン設定部分のインターフェイスがシンプルにまとめられているのに対し、プレビューウィンドウが大きく取られているのが特徴。 |
そのほかのソフトウェアは、フォトレタッチソフト「Adobe Photoshop LE」、画像管理ソフト「ArcSoft PhotoBase」、アルバム作成ソフト「Canon PhotoRecord」が付属しており、画像の取り込みから加工、管理までこなすことが可能だ。