クリスタルディシジョンズ(株)(※1)は27日、報道関係者を集めてプレスミーティングを開催し、事業の状況や7月4日に発表したオンライン分析ツール『Crystal Analysis Professional』の機能などについて説明した。
※1 クリスタルディシジョンズ(株)は4月1日に、日本シーゲイトソフトウェア(株)から社名変更した。米本社であるSeagate Software社は3月5日(現地時間)にCrystal Decisions社に社名変更している。クリスタルディシジョンズの北條丈巳代表取締役社長 |
クリスタルディシジョンズ代表取締役社長の北條丈巳氏は、同社の事業状況や今後の製品計画について説明した。
まず社名変更について、「(クリスタルディシジョンズの親会社の)シーゲイトはHDDで(米国)シェア6割のトップベンダー。それでも知名度を調査すると28~29%で高くない。それと比較すると当社の主力製品『Crystal Report』は知名度は90%と高い。またシーゲイトは製造業というイメージが強く、革新的なイメージがない」といったことを理由とした。
'96~2000年まで年率50%の成長をしてきたという。主力のCrystal ReportはOEMを含めて750万ライセンス以上を出荷しているという |
業績については「ここ5年間、年率50%の成長を続けてきた。景気状況は良くないが、2001年の4~6月期の売上げは前年比40%増の4629万ドル(約57億円)となった」と、不景気下でも好調だとアピールした。ただ「開発人員を多数抱えているのと、大きな投資をしてきた関係で、利益については昨年やっと黒字になったばかり」という。
さらに「企業向けのレポーティングツールを出していくのが基本戦略。当社のレポーティングツールは、ほぼすべての企業において使っていただける製品だ。米国の上位1000社の85%で使われており、スタンダードといっていい。こうしたレポーティングツールは今後もさらに大きく伸びると考えている」と述べた。
現在は製品群を整理する途上で、製品のバージョンがすべて8.5ないし9になったときに“crystal report”“analysis”“applications”“enterprise”の4製品にまとまるとしている |
日本での販売について、具体的な数値は明かさなかったが、「米国企業の多くは、1万人社員がいれば1万ライセンス購入するが、日本では1万人規模の企業でも、まずは100クライアントから導入、というところが多い。ただ、ERPシステムを導入した場合、エンドユーザーが自分で直接データを見ないと仕事にならない。そういう意味で日本でこれから急速に需要が増えると考えている」と、期待を見せた。
続いて『Crystal Analysis Professional 8日本語版』の販売戦略や機能について説明した。Crystal Analysisは、売上高や財務データ、ウェブログ分析などのデータの多次元分析をウェブベースのレポートに変換する、オンライン分析プロセッシング(OLAP)製品。レポートデータはDynamicHTMLのみで出力し、JavaやActiveXなどを使用しないことも特徴。
『Crystal Analysis Professional 8日本語版』を使って、レポートの画面を設計しているところ。Excelの“シート”のように、左下のタブを使ってページをめくるように見せることができる |
同製品が対応するOLAPデータソースは『Microsoft SQL Server 7.0 OLAP Services』と『SQL Server 2000 Analysis Services』に限られているが、今後はクリスタルディシジョンズ自身の『Holos Analytic System 8.0』、米ハイペリオン・ソリューションズ社の『Essbase』、米IBM社の『DB2』、ドイツのSAP社の『SAP Business Information Warehouse(SAP BW)』に対応する予定としている。
米国の景気低迷の影響を受け、日本企業も業績が落ちているが、業務効率化のためのERPシステム導入などのIT投資には積極的なところが多いという。クリスタルディシジョンズでは、そうした効率経営や顧客分析に力を入れる企業に向けて、レポーティングツールの一層の販売増を狙う。