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ノベル、“BrainShare Japan 2001”を開催──キーワードは“one Net”

2001年07月24日 19時53分更新

文● 編集部 佐々木千之

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ノベル(株)は24日、東京・新宿の京王プラザホテルにおいて、同社の製品やサービスを紹介するビジネスカンファレンス“BrainShare Japan 2001”を開催した。

BrainShare Japanは今年で10周年を迎えたが、この記念として参加費無料での開催となった。会期は本日1日のみ(例年は2日間)。およそ2000名弱が参加したと見られる。

ノベル(株)代表取締役社長のフィリップ・ウェルチ氏
ノベル(株)代表取締役社長のフィリップ・ウェルチ氏

午前中に行なわれた基調講演では、ノベル(株)代表取締役社長のフィリップ・ウェルチ(Philip Welch))氏、米ノベル社日本地区代表の吉田仁志氏、米ノベルのバイスプレジデント兼ジェネラルマネージャーのポール・スマート(Paul Smart)氏、およびスペシャルゲストとして、伊藤忠テクノサイエンス(株)(CTC)特別顧問の佐武廣夫氏がスピーチした。

米ノベルの日本地区担当に就任した吉田仁志氏
米ノベルの日本地区担当に就任した吉田仁志氏。吉田氏はケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ(株)代表取締役社長でもある

ノベルの各氏のスピーチは、前日23日に開かれた“NDS eDirectoryソリューションプログラム”発表会での挨拶とほぼ同じもので、同社のディレクトリーサービスソフト「『NDS eDirectory』が全世界で1億6300万人に使われている」(ウェルチ社長)といった話のほかは、米ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ社の買収によって生まれ変わった“新生ノベル”が話題。eDirectoryのユーザー数以外、ノベルが提供している製品群の宣伝などはほとんどされなかった。

米ノベルのバイスプレジデント兼ジェネラルマネージャーのポール・スマート氏
米ノベルのバイスプレジデント兼ジェネラルマネージャーのポール・スマート氏

ノベル各氏のスピーチを総合すると、新生ノベルが目指すのは、“one Net(ワン ネット)”ビジョンに基づいた、サービスやシステムの提案。one Netとは、企業のITシステムにおいて、バラバラに運用されているサーバーやネットワークシステムをeDirectoryによって一元的に統合管理することで、ビジネスの効率化や経費削減といったメリットが得られるというコンセプトだ。企業ITシステムのコンサルティングの経験を持つ、ケンブリッジがノベルに加わることで、ノベル自身がソリューションプロバイダー/システムプロバイダーとしての性格を持つようになる。また、SIパートナーを含む顧客企業に対するサービスも迅速に行なえると、新生ノベルへの期待を訴えた。

伊藤忠テクノサイエンス(株)(CTC)特別顧問の佐武廣夫氏
伊藤忠テクノサイエンス(株)(CTC)特別顧問の佐武廣夫氏

ゲストスピーカーの佐武氏は、“今後の日本におけるIT産業に期待するもの”というタイトルでスピーチした。佐武氏はシリコンバレーのベンチャー企業とのつきあいが長く、10数年前にまだ駆け出しだった米サン・マイクロシステムズ社を見いだし、日本でサンの関連製品やサービスも含めて年間2000億円を売り上げるまでにしたことで知られる。スピーチでは、サンのスコット・マクネリ会長やビル・ジョイといった人物から“オープンシステム”や“ネットワークこそがコンピューターになる”という考え方を初めて聞いたときのエピソードなどが語られた。

また、現在に本が置かれた状況について「日本のインターネットはアメリカはもちろん、アジアでも韓国やシンガポールに遅れている。しかし、ネットワークやシステムの進歩は早く、現在遅れている分、(まだほかの国が導入していない)新しい第3世代のネットワークを構築するチャンスではないか。このネットワークによって効率の良いビジネスが生まれるだろう。幸い、インターネットの経験をした欧米という先生がいるわけで、これらの経験を日本に合わせていけばよい」などと述べ、「日本のインターネットには夢と希望を持った明るい見通しを持っている」と結論づけた。

BrainShare Japanの昨年の基調講演では、ノベルの製品の機能や、それを使うことでのメリットなど、どちらかというとノベルディレクトリーサービス(NDS)の啓蒙といった感があった。しかし、ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズを得たことで、製品を売ることから、コンサルティングやサービスも含めたシステムを売ることへの戦略転換が行なわれたことがはっきりと感じられるBrainShareとなった。

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