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シスコと鳥取三洋、共同開発したIP多機能電話機『IP-フォン』を発表

2001年07月23日 23時50分更新

文● 編集部 中西祥智

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シスコシステムズ(株)と鳥取三洋電機(株)は23日、両社で共同開発したIP多機能電話機『IP-フォン』を発表した。

『IP-フォン』
『IP-フォン』

『IP-フォン』は、VoIP(Voice over IP)によってIPネットワーク上で音声通信を行なう端末。3.8インチモノクロ4諧調液晶ディスプレー(320×240ドット)、10/100BASE-Tポート×2などを実装している。『IP-フォン』は、シスコの提唱するIPネットワーク上で音声、映像、データを統合する“AVVID(Architecture for Voice、Video and Inregrated Data)”に対応しており、すでにシスコが販売しているIP電話機『Cisco7960』と下位互換性がある。

“Inline Power”機能によって、LANケーブルから電力を供給可能なため、ACアダプターなどは必要ない。もっとも、未対応のHubを経由する場合など、イーサネットポートから電力供給が無理な時には、ACアダプターを使用することも可能。

また、『IP-フォン』はCompactHTML対応のウェブブラウザーも搭載しており、インターネットへのアクセスのほか、グループウェアなどの利用が可能になる。実際、記者発表会ではサードパーティーのソフトウェアベンダーが、グループウェアなどのデモを行なっていた。

シスコシステムズ代表取締役社長の黒澤保樹氏は、鳥取三洋の持つ電話、製品技術と、シスコのネットワーク技術を合わせれば、競争力があり、かつ使いやすい端末を作れるとした。そして、政府のEジャパン構想について、2005年までにPBXをIP機器に置き換えるのが、実のあるIT革命だと強調した。

シスコシステムズ代表取締役社長の黒澤保樹氏シスコシステムズ代表取締役社長の黒澤保樹氏

また、今回の製品は日本法人が設計・開発を行なった初めての製品であることを示し、今後は日本での研究・開発にも重点を置いていくことを表明した。

鳥取三洋電機の専務取締役ネットワーキング事業本部本部長の井植敏彰氏は、「『IP-フォン』は新しいオフィス端末だ。今後さらに、液晶のカラー化、コードレス化を推進する」。そして当面は企業向けに販売し、将来は一般家庭も視野に入れていることを明らかにした。

鳥取三洋電機の専務取締役ネットワーキング事業本部本部長の井植敏彰氏鳥取三洋電機の専務取締役ネットワーキング事業本部本部長の井植敏彰氏

両社は、今回の『IP-フォン』は東日本電信電話(株)および西日本電信電話(株)の“Lモード”とは違い、LAN経由であるために通信速度が速いことを強調した。PBXは不要になるため、社内で引越しなどがあっても、簡単に電話機を移動できる。

しかし、ほとんどの企業はパソコンを導入しており、そこにさらに『IP-フォン』を導入する余地があるのか、という質問に対しては「日本人が1人1台、パソコンを持っているわけではない」ため、簡単な『IP-フォン』がオフィスに浸透していくと答えた。実際にどれほど伸びるか、ニッチで終わるか、あるいはパソコンの市場を食うことになるかは今後の展開次第だと両社も認めている。

出荷は9月末を予定しており、価格は未定だが6~8万円くらいになる見通し。鳥取三洋では、販売目標台数を3月までの今年度で約1万5000台、来年度は10万台と見込んでいる。

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