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パイオニア、コンテンツ制作者向けに“DVDワークショップ2001”を開催

2001年07月18日 00時14分更新

文● 編集部 佐々木千之

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パイオニア(株)は17日、東京・品川区の本社において、デジタルコンテンツ制作者を対象に“DVDワークショップ2001”を開催した。DVD-R/RWの技術情報セミナーや製品デモなどが行なわれた。パイオニアはこのワークショップを'97年から毎年開催している。同社の製品情報やDVDフォーマットに関する情報を提供し、DVDの普及を進める目的で行なっているもの。今年はすでに大阪で12日に開催済みで、東京では17、18の両日に開催する。

セミナーは、“デジタルコンテンツビジネスの市場トレンド”、“クリエイターズアイテムとしてのDVD-R for General”、“DVD-R/RWについての最新情報”という3部構成で行なわれた。

DVD-R、DVD-RW規格の発表時期とバージョンアップの動き
セミナーで示されたDVD-R、DVD-RW規格の発表時期とバージョンアップの動き

まず、デジタルコンテンツの再生環境としてのDVD市場規模(国内)が紹介された。それによるとPlayStation 2が3月末で累計475万台、DVDビデオプレーヤーが累計200万台(5月末)、DVDカーナビが61万台(2000年度)、パソコン向けが200万台と、930万台以上に達する大きな市場に成長しているという。

DVDタイトルのオーサリングツールは、以前は米SGI社のワークステーション向けなどの高価なものしかなかったが、パソコンレベルで利用できるものが登場してきた。制作されるタイトルも映画タイトルなど大量生産するものから、雑誌の付録、会社案内や販促ビデオなど、少量配布目的のものや、子供の成長記録といったパーソナルなものまで利用が広がりつつあるという。

コンテンツ制作現場におけるDVD-Rのメリット
コンテンツ制作現場におけるDVD-Rのメリット

デジタルコンテンツ制作現場で利用することから見ると、保存、管理、移動など、DVD-R/RWの持つ大容量性、耐久性、可搬性、コストパフォーマンスなどの特徴が発揮できるとしている。

用途で見たDVD-R for Authoring/for General、DVD-RWの違い
用途で見たDVD-R for Authoring/for General、DVD-RWの違い

パイオニアが進めているDVDの記録フォーマットには、“DVD-R for Authoring”、“DVD-R for General”、“DVD-RW”がある。DVD-RとDVD-RWの違いはCD-R/CD-RWと同じく、DVD-Rが1度だけ書き込み可能なのに対して、DVD-RWは1000回程度書き換えができる。容量はいずれも4.7GB。DVD-R for AuthoringとDVD-R for Generalの違いだが、DVD-R for AuthoringがDVDタイトルのマスタリングディスク制作のための規格でディスクアットワンス(※1)記録のみに対応するのに対し、DVD-R for Generalはディスクアットワンスに加えてインクリメンタルライト(※2)に対応している。DVD-R for Authoring規格とDVD-R for General規格では、記録の際のレーザー波長が異なり、メディアとドライブはそれぞれ専用のものとなる。

※1 ディスク全体を一度に書き込んでしまう方式。記録可能容量の一部しか使っていなくても、追加して書き込むことはできない。

※2 少しずつデータを書き込む方式。基本的には記録可能容量が余っていれば後から追加することができる。

DVD-R for AuthoringとDVD-R for Generalドライブの使い分け
DVD-R for AuthoringとDVD-R for Generalドライブの使い分け

パイオニアではDVD-R for Authoringをマスタリング用途、DVD-R for GeneralとDVD-RWを一般用途向けと位置づけており、量産タイトル制作にはDVD-R for Authoring、少数配布などにはDVD-R for Generalという使い分けを呼びかけていた。

記録方式で見たDVD-R for Authoring/for General、DVD-RWの違い
記録方式で見たDVD-R for Authoring/for General、DVD-RWの違い

なお、DVD-RではDVD-ROMディスクと記録面の反射率が近いため、DVD-RWよりも再生互換性が高く、ディスクアットワンスで書き込めば、DVD-R/RW登場以前に発売されたDVDドライブでも再生できる場合が多いとしている。DVD-R for Generalでは、追記もサポートするが、現在のパソコン用OSでは追記したディスクの読み取りにはドライバーソフトを入れる必要があり、コンテンツ制作においては注意が必要だとしていた。こうしたドライバーソフトはDVD-RWにおいても必要だが、パイオニアはDVD-R規格を進めるほかの企業を協力して、米マイクソフト社などOSメーカーに対し、あらかじめOSに組み込むよう働きかけを行なっているという。

米Tribeworksの『iShell』を紹介した、BS技術部の雨矢氏
米Tribeworksの『iShell』を紹介した、BS技術部の雨矢氏

ワークショップの最後に、米Tribeworks社が開発したマルチメディアタイトルのオーサリングツール『iShell』を紹介した。パイオニアは米Tribeworksと協力して、iShellでDVDビデオタイトルのオーサリングができるプラグインソフトを開発中だという。iShellを使うことで、DVDプレーヤーで再生したときはDVDビデオタイトルとして、パソコンで再生(DVEビデオプレーヤーではない)したときはマルチメディアソフトとして、同じ映像データを利用するハイブリッドタイトルが制作できるとしている。現在は正式バージョンを開発中ということだが、来場者に対し、評価バージョンを試用してフィードバックをしてくれるよう協力を求めていた。

パイオニアが参考出品していた、DVD-R for General対応のDVD-R/RW外付けSCSIドライブ
パイオニアが参考出品していた、DVD-R for General対応のDVD-R/RW外付けSCSIドライブ。発売時期は未定としている

パイオニアによれば、このワークショップを始めた'97年頃はオーサリングツールなどもほとんどそろっていない状態で、来場者もメディアメーカーやハードウェアメーカーの技術者が多かったという。しかし、現在はほとんどがデジタルコンテンツ制作者とのことで、DVDを使ったゲーム、ビデオ、マルチメディアタイトル制作人口の広がりを反映しているようだ。セミナー終了後、オーサリングツールの展示コーナーで熱心に質問する姿が見受けられた。ビデオデッキの置き換えとしては、DVD-RAM、DVD-RW、DVD+RWとフォーマットが乱立している。パソコンでもやはりフォーマット乱立が予想されるが、少なくともコンテンツ作成プラットフォームとしては、既存ドライブでの読み取り互換性や、書き換え型メディアと比べて安いと言われるメディア価格から考えて、DVD-Rが本命になりそう。特にDVD-R for Generalは、ドライブとメディアの価格次第では、現在のCD-Rを置き換える可能性もある。

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