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2G携帯電話でもストリーミング配信を可能に――パケットビデオの“PVPlatform”

2001年07月17日 19時09分更新

文● 編集部 中西祥智

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パケットビデオ・ジャパン(株)は16日、プレスブリーフィングを開催して同社のワイヤレス映像配信技術“PVPlatform”の解説を行なった。

“PVPlatform”
“PVPlatform”の概念図

“PVPlatform”はMPEG-4に準拠した技術。同社独自の拡張によって、現行の第2世代(2G)および2.5世代(2.5G)の携帯電話や、PDAなどの機器で、映像のストリーミング配信を可能にするという。エンコードを行なうオーサリングツール『PVAuthor』、ストリーミング配信を行なう『PVServer』、映像を表示するプレーヤー『PVPlayer』などで構成される。

米パケットビデオ社アプリケーション&サービス・ディビジョンプレジデントのロバート・ターセック氏米パケットビデオ社アプリケーション&サービス・ディビジョンプレジデントのロバート・ターセック氏

同社の親会社、米パケットビデオ(PacketVideo)社アプリケーション&サービス・ディビジョンプレジデントのロバート・ターセック(Robert A. Tercek)氏は、ワイヤレス環境でのデータ配信利用者が、2004年までに世界で約8億人という巨大な市場になるとした。そして、第3世代の携帯電話の普及を待たずに、その市場に向けてマルチメディア配信を行なえるサービスとして、“PVPlatform”の重要性を強調した。

ターセック氏は“PVPlatform”の特徴として、エラー耐性の強いエンコーディングと、“FrameTrack”によって帯域幅が変動した場合にそれに合わせてフレームレートを動的に調節することを挙げ、ワイヤレス環境に適合した技術であるとした。“PVPlatform”はMPEG-4準拠のため、たとえば『PVAuthor』でエンコードした映像を、他社のデコーダーで見ることも可能。

“FrameTrack”
“FrameTrack”帯域幅が小さくなると、それに合わせてフレームレートを動的に変更する

また、ワイヤレスでのマルチメディア配信を行なうことは、通信事業者にとって、加入者あたりの収入を増加、かつ解約率を低減することになる。また第3世代携帯電話に先行してマルチメディア配信を行なうことで、初期のユーザー市場をとらえて流行を作ることが可能だとし、通信事業者の経営戦略面でも、大きな意味があることを説明した。

パケットビデオは同日付けで、ワイヤレス環境に対応したアプリケーション開発を支援する“PacketVideo Global Developer Network”の設立を発表した。同ネットワークでは、“PVPlatform”向けのワイヤレス・アプリケーションを開発するにあたっての技術情報や、さまざまなツールキットなどをメンバーに提供する。このネットワークを利用することにより、同社ではデベロッパーの“Time to Market”を短縮できるとしている。

そして日本においては、同社は日本のコンテンツ供給者やデベロッパーはストリーミング配信に深い興味を持っているが、コンテンツの見せ方に必ずしも精通していないとし、“PacketVideo Global Developer Network”によって日本におけるテストやデモの機会を提供するとしている。

もっとも、同日付で提供するサービスはテクニカルサポートを除けば英語版のみで、完全に日本語に対応するのは9月上旬になる。ライセンス料金は、スタンダード版で年間20万円、ゴールド版で50万円。初年度はすでに半ばを過ぎていることもあり、両バージョンとも半額となる。

ハードウェアやプラットフォームとなる技術が成長するには、いわゆる“キラーアプリケーション”の存在が大きなカギを握る。同社では“PacketVideo Global Developer Network”で、そのキラーアプリを開発しやすい環境を提供するとしている。

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