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「我々の目指すのは“BtoB”ではなく“BwithB”だ」――SAPMarketsアジア担当者インタビュー

2001年07月10日 19時14分更新

文● 編集部 佐々木千之/中西祥智

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7月5、6日の2日間、SAPジャパン(株)はユーザー向けのカンファレンス“SAPPHIRE”を開催した。期間中、ASCII24では独SAP社の企業間取引を扱う子会社SAPMarkets社のアジア太平洋地域担当マネージングディレクター、ツィア・ユサフ(Zia Yusuf)氏と、マーケティング・ディレクターのラメシュ・ラムチャンド(Ramesh Ramchand)氏に、日本での戦略についてインタビューを行なった。

[ASCII24編集部(以下編集部)] まず、SAPにとって、世界における日本の位置付けはどうか
アジア太平洋地域担当マネージングディレクターのツィア・ユサフ氏
アジア太平洋地域担当マネージングディレクターのツィア・ユサフ氏
[ツィア・ユサフ氏] 疑いなく日本はもっとも重要な市場のひとつだ。グローバルに展開するいかなるビジネスも、日本抜きには考えられない。このことはSAP社、SAPMarketss社、SAPPortal社にもあてはまる。
[編集部] その日本における、基本的な戦略は?
[ユサフ氏] まず、パブリックエクスチェンジ(※1)とプライベートエクスチェンジ(※2)に分けて考える必要がある。パブリックエクスチェンジでは、すでにジャパン・イーマーケット(※3)が大きな成功を収めている。しかし、パブリックエクスチェンジだけは大企業のすべてのニーズを満たせない。ある種の取引にはプライベートエクスチェンジが適している。

プライベートエクスチェンジは、規模が大きくていろいろな事業を行なっている、商社のような企業に適している。 それらの企業に対して、SAPジャパンがすでに持っている関係を基に、事業を展開していく。

しかし、たとえば6~9ヵ月といった短期的な期間で100のエクスチェンジができるとは思っていない。まずは、規範となる顧客“レファレンスカスタマー”というような企業を選び出して、これこそがわれわれの提供できる価値だということを一つの例として示し、ほかの企業にアピールする。
※1 B2B市場において特定のパートナー企業やサプライヤーだけでなく、バイヤーもサプライヤーも、広く参加することが可能な市場

※2 企業が、特定のパートナーや従来からのサプライヤーのみと取引を行なう市場

※3 全国の電力会社が出資して設立した(株)ジャパン・イーマーケットが運営するパブリックエクスチェンジ。主に電力関係の資材などの取引が行なわれる

[編集部] それらのパートナー企業などについて、具体的な話はあるのか?
[ユサフ氏] 3つか4つの業界のトップ企業が、パブリックエクスチェンジに関心を示している。パートナーシップについては、グローバルなパートナーとは違った日本限定のパートナーを検討している。たとえば、取引がきちんと完了することを確認してくれるパートナー、財務や支払い、コンテンツなど、それぞれの役目のパートナーを選んでいく。
[ラメシュ・ラムチャンド氏] 具体的な企業名は明らかにできないが、自動車、ハイテク関連などの製造業からオファーがある。
これがプライベートエクスチェンジだ
企業は複数集まって生態系を形成し、その中での効率化を図る。それがプライベートエクスチェンジだ
[編集部] 現在のおよび目標とする市場シェアは?
[ユサフ氏] 市場シェアについては、答えにくい。市場シェアといった際にどういう定義を使うか、数か、ボリュームか、金額かがあいまいで、現在のところ数字はない。

そもそも、日本ではまだコンソーシアムの数が少ない。ジャパン・イーマーケットはその最初のものとして、成功している。早い段階のこの成功をてこに、勢いを増していきたい。技術の大半を提供している会社として、そのことを自分たちに有利にしていきたい。
[編集部] だが、日本企業は現在不況にあえいでいる。新規の投資は難しいのでは?
マーケティング・ディレクターのラメシュ・ラムチャンド氏
マーケティング・ディレクターのラメシュ・ラムチャンド氏
[ラムチャンド氏] これは新しいことではない。日本の大企業はパートナーやサプライヤーと、いわば“生態系”を形成している。タイムリーに、革新的で、魅力的な価格の製品をどうやって市場に出すかが重要であり、そのためには生態系内外で、よりよい協業、プロセスが必要になる。

日本の企業も、そのことをよく分かっている。日本企業こそがニーズを感じている。価値が何であるかということを認識している。
[編集部] その生態系には、すでにレガシーシステムが導入されており、新しいシステムの導入は難しいのでは?
[ラムチャンド氏] レガシーシステムが多くの企業にあるということこそが、ニーズが存在するということなのだ。子会社やパートナーが多岐にわたる異種のシステムを保有していれば、それらを接続して外へつなげるために、プライベートエクスチェンジが必要になる。レガシーシステムがあるがゆえに難しくなるということはない。
レガシーシステムがあるがゆえに難しくなるということはない
レガシーシステムがあるがゆえに難しくなるということはない
[編集部] BtoBの今後の展望についてはどうか?
[ラムチャンド氏] BtoBやBtoCなどは、いわばキャッチフレーズだ。我々が目指すのは“BwithB”すなわち“Business with Business”であり、企業が共に協業する場となる。もはやひとつの企業がすべてを自己のみで完結することは不可能で、企業が何社か集まって初めて、ビジネスが成立するのだ。

ユサフ氏の例え話によると、企業は複数集まって生態系を形成し、その中での効率化を図る。それがプライベートエクスチェンジ。それら生態系をつなぐのがパブリックエクスチェンジになる。

日本の企業間市場はなかなか離陸しないと言われ続けてきた。SAPMarketsが本腰を入れることで、この状況に変化が生じるのかどうか、今後の展開が楽しみだ。

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