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日本科学未来館、深海調査船からTRONまで触れて学べる展示が充実

2001年07月10日 03時10分更新

文● 編集部 佐々木千之

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科学技術振興事業団は9日、開会式典に続いて『日本科学未来館』の展示を、10日の一般公開に先駆け、関係者に向けに披露した。フロアでの展示は、ロボット、超伝導、宇宙、深海、ゲノム、医療など、よく1ヵ所にこれだけと思うほど充実している。

『日本科学未来館』
『日本科学未来館』。ガラスを多用しており、フロアの天井の高さもあって、中は明るく開放的だ

日本科学未来館は、地上8階地下2階建てだが、展示は1階、3階、5階の3つのフロアに2階分ずつぶち抜きで、高い天井と広いフロアをゆったりと使っている。未来館の展示で気が付いたのは、説明員が多いこと。展示には、簡単な操作をしたり、触れてみるといったものが多いが、展示物いくつかに1人という割合で説明員がおり、補助的な説明をしたり、来場者の目の前で実験の実演をしたりしてくれる。

展示は好きな階から見て回れるが、フロアガイド(小冊子)にある「常設展示は5F→3F→1Fの順が、ご覧になりやすいコースです」との注意に従って、上から下に見ていこう。

宇宙と深海、生命科学が同居する5階

5階の展示スペースエントランス
5階の展示スペースエントランス。フロア内には壁はなく、通路スペースも広々

5階の展示テーマは“地球環境とフロンティア”と“生命の科学と人間”の2つ。地球環境とフロンティアでは、主に宇宙や深海に関わる展示を行なっている。目を引くのは未来館の展示物の中でも最大級の、潜水調査船“しんかい6500”の実物大の複製。しんかい6500の操縦室や、潜水調査で判明した深海の生命(ユノハナカニ)の水槽を見ることができる。宇宙関連では、未来館館長である毛利衛氏が、スペースシャトルでの実験任務の訓練で使った操作パネルや、2003年に打ち上げ予定の日本の月探査機から打ち出される、月面探査プローブの模型などを展示している。

深海調査船『しんかい6500』
深海調査船『しんかい6500』。有人調査船としては世界で最も深く潜れる。この模型は本物の設計図から作ったもので、素材(実物はチタン合金)を別にすれば大きさなどは同じという
しんかい6500の操縦室
しんかい6500の操縦室。赤い円に見えるのは外を見るための窓枠
太陽X線観測衛星『ようこう』
'91年に打ち上げられた、太陽X線観測衛星『ようこう』の構造・熱試験に使われたモデル。このほか海洋観測衛星『もも1号』も展示
日本の月探査機『ルナーA』で、月面に打ち込まれる探査装置
2003年に打ち上げ予定の日本の月探査機『ルナーA』で、月面に打ち込まれる探査装置『ペネトレーター』の模型(長さ148cm)
スーパーカミオカンデで使われている、世界最大の光電子増倍管
岐阜県吉城郡神岡町の神岡鉱山あとで、太陽ニュートリノの観測装置“スーパーカミオカンデ(チェレンコフ宇宙素粒子観測装置)”で使われている、世界最大(直径50cm)の光電子増倍管

生命の科学と人間では、ゲノム、脳、医療の3つに分かれた展示を行なっている。ゲノムでは最近急速に進んだゲノム解析の方法の解説や、顕微鏡でヒトの染色体を見たり、アサガオやイネの交配に例をとった遺伝の仕組み、といった展示が行なわれている。また脳については、シアター型の展示によって右脳、左脳、脳幹といった脳の各部分の機能を説明したり、アルツハイマー病の脳と健康な脳の比較を展示している。

ヒトの染色体を、実際に顕微鏡で見ることができる
生物の教科書などでは知られた、ヒトの染色体を、実際に顕微鏡で見ることができる
江戸時代に作り出された、交配によるアサガオの変種(1代雑種など)
江戸時代に作り出された、交配によるアサガオの変種(1代雑種など)
脳の構造をいろいろな見方で見ることができる展示
脳の構造をいろいろな見方で見ることができる展示
人体を5cmおきに輪切りにして構造を見ることができる人体模型人体を5cmおきに輪切りにして構造を見ることができる人体模型。来場者が自由に動かして見ることができる
超音波断層検査装置
超音波断層検査装置。模型を使った内視鏡手術の体験展示もある

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