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日本科学未来館、深海調査船からTRONまで触れて学べる展示が充実

2001年07月10日 03時10分更新

文● 編集部 佐々木千之

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ロボット、ナノテク、超伝導とコンピューターの3階

3階では、“技術革新と未来”“情報科学技術と社会”の2テーマにそった展示が行なわれている。技術革新と未来では、毛利館長と開会式典に登場したヒューマノイドロボット『PINO』や、東京工業大学の広瀬・米田研究室で研究中のロボットの展示、光硬化型樹脂によるマイクロマシン作成、超伝導の実験といった展示が行なわれている。

東京工業大学 広瀬・米田研究室のロボット『TITAN』
東京工業大学 広瀬・米田研究室のロボット『TITAN』。この状態では4足歩行で移動速度は遅い
ローラースケートをしているようにスムーズに移動できる
TITANは足先にローラーが付いており、足を広げたり狭めたり水平方向の動きをすることで、ローラースケートをしているようにスムーズに移動できる。移動速度は少しゆっくりと歩くくらいで、4足歩行時の3倍程度
6本足のロボットを遠隔操縦するデモ
ステージの6本足のロボットには画像センサーが2つ取り付けられており、別室から、その映像を見ながらまるで乗り込んだようにして操作できる
光硬化樹脂を使ったマイクロマシンを、実際に目の前で制作して見せてくれる
光硬化樹脂を使ったマイクロマシン(大きさ1~2mmほど)を、実際に目の前で制作して見せてくれる。画面中央がその制作装置
全長30mのレール上をゆっくりと走る超伝導リニアモーターカー“みらいCANマグレブ”
全長30mのレール上をゆっくりと走る超伝導リニアモーターカー“みらいCANマグレブ”。この画像では分からないが、1~2cm浮きながら走っている
液体窒素で冷やした超伝導体によって、手に持った永久磁石の磁束を固定するという実験
これは液体窒素で冷やした超伝導体によって、手に持った永久磁石の磁束を固定するという実験。逆さまにしても落ちない

情報科学技術と社会では、TRON OSを利用した“デジタルミュージアム”や、ボールを情報に見立てた“インターネット物理モデル”などを展示している。会館式典に出席後、デジタルミュージアムの様子を見に訪れていた東京大学の坂村健教授によると、デジタルミュージアムのスペースは坂村教授がプロデュースしたとのこと。

東京大学の坂村教授
東京大学の坂村教授。「この(デジタルミュージアムの)展示はどんどん進化させます」という。まずはTRON OSを使ったICカード(eTRONカード)や、TRONの多文字が取り扱えることを利用した、漢字クイズなどを展示
5つのターミナル同士で、“物理的に”メッセージを送りあう“インターネット物理モデル”
白と黒の球を1bitのデータに見たてて、5つのターミナル同士で、“物理的に”メッセージを送りあう“インターネット物理モデル”

“エコ”がテーマの1階、特別展も開催

1階は“地球環境とフロンティア”(5階テーマ)のうち、環境関連の展示と、特別展が行なわれている。植物を砂漠に植えて空中の炭素(二酸化炭素)を固定しようという壮大なプロジェクトや、ガソリン車に劣らない高性能電気自動車“KAZ”、環境共生型住宅などを展示している。

ユーカリで空気中の炭素を固定しようというプロジェクトの展示
オーストラリアの砂漠地帯の、非常に堅い岩をダイナマイトで砕いてユーカリなどを植えて緑化し、空気中の炭素を固定しようというプロジェクトの展示
慶應義塾大学環境情報学部の清水浩教授が開発した電気自動車“KAZ”
慶應義塾大学環境情報学部の清水浩教授が、科学技術振興事業団の補助金を得て開発した電気自動車“KAZ”。時速300km以上を記録している
環境共生型住宅の実物大模型
涼しい風を取り入れたり、屋根に草を植えるなどして、自然と調和して暮らすための工夫をしたという、環境共生型住宅の実物大模型

またこれまで紹介してきた常設展示のほか、特別展(企画展)として科学技術振興事業団、日本経済新聞社、フィレンツェ科学史博物館が主催して、レオナルド・ダ・ヴィンチを初めとするルネサンス期のエンジニアの業績を、木でつくった模型と共に展示する“ダ・ヴィンチとルネサンスの発明家たち展”が9月2日まで開催されている。

有名なダ・ヴィンチの“飛行機械”の実物大模型
ダ・ヴィンチとルネサンスの発明家たち展の展示より、あまりにも有名なダ・ヴィンチの“飛行機械”の実物大模型
円柱を立てるための機械
こちらは、円柱を立てるための機械

開会式典で尾身幸次科学技術政策担当大臣が「ここで展示を見たことがきっかけとなって、何十年か先にノーベル賞を受賞する子供たちが出てきてくれれば」と述べていたこともあり、なんとなく子供向けの優しい科学解説といったものを想像していたが、そうではなかった。植物を利用した環境技術や、光スイッチなどのナノテクノロジー、ゲノム関連の展示などは、かなり高度な技術を扱っており、見る側にもある程度の知識を要求されるものもある。確かにロボットの展示や、インタラクティブな操作でパソコンと遊ぶような、一見分かりやすい展示もあるが、そういったものでも結構奥が深い技術を紹介している。

半球状のスクリーンを持つ“ドームシアターガイア”
約16mの半球状のドームに、レーザー光線や35mmフィルム、6台のプロジェクターで迫力のある映像を投影する“ドームシアターガイア”。オーロラの成り立ちを解説する科学ドキュメンタリーを上映

また、各テーマにおいて先端の研究を行なっている研究者へのインタビューが聞けたり、3階の“サイエンスライブラリー”で、科学技術振興事業団や宇宙開発事業団の記録ビデオが閲覧できるなど、記録としても充実している。さらに今回は関係者のみということで機能していなかったが、設備の整った実験室や工作室があり、実際に体験して知識を得るということにも注意が払われているようだ。じっくり見て回るにはとても1日では足りない盛りだくさんの内容で、設備の充実度を見ても入館料500円は安い(ただし、特別展“ダ・ヴィンチと~”は別料金。大人1300円、18歳以下600円)。オープン時にはまだ準備中の展示がいくつかあるほか、展示も“進化”していくという。大人も子供もリピーターが大勢出そうな印象だ。“アクアシティ お台場”や“パレットタウン”などお台場地区にはエンターテイメントスポットがたくさんあるが、もう1つ、知的なエンターテイメントスポットが加わった。

売店コーナーには、宇宙食などが売られていた
売店コーナーには、宇宙食やPINOのマスコット、科学おもちゃなどが売られていた
日本科学未来館の利用案内
開館時間 日~木曜 10:00~17:00(入館は16:30まで)。金、土曜 10:00~19:00(入館は18:30まで)
休館日 毎週火曜日(祝祭日は会館)
入館料 大人500円、子供200円
最寄り駅 新交通ゆりかもめ船の科学館駅、テレコムセンター駅

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