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ダブルクリック、企業向けEメール配信サービス“DARTmail”を開始

2001年07月05日 19時23分更新

文● 編集部 佐々木千之

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ダブルクリック(株)は5日、東京の本社で記者発表会を開催し、企業向けの、マーケティングを目的とした電子メール配信サービス“DARTmail(ダートメール”を7月に提供開始すると発表した。

DARTmailは、米ダブルクリック社が4月に買収した、カナダの電子メール配信会社であるFloNetwork社の技術をベースとしたサービスで、ダブルクリックが5月8日に行なった発表会において、7月に日本でサービス開始するとアナウンスしていた。

“DARTmail”サービスの電子メールマーケティング市場における位置づけ
“DARTmail”サービスの電子メールマーケティング市場における位置づけ。大容量配信と高度なマーケティング機能を兼ね備えたシステムとしている

DARTmailは、顧客企業から配信先の電子メールアドレスの提供を受け、顧客企業に代わって電子メールの大量・高速の配信、メールの開封率やメール中のURLに関するクリック率のレポートなどのCRMサービスを提供するASP型サービス。これによって、顧客企業は電子メールシステムの開発、購入、メインテナンスなどを負担することなく、契約後数週間以内の短期間で、電子メールによるマーケティングを行なえるとしている。

DARTmailの主な特徴は以下の通り。

  • 1時間に100万通以上の大容量高速配信が可能
  • 顧客企業が持つユーザーデータベースと連動し、ユーザーごとに内容をカスタマイズしたメール配信が可能
  • 配信結果のリアルタイムな確認、メールの開封率(HTMLメールのみ)、URLのクリック率など確認可能で、ユーザーごとの個別データまで追跡できるレポーティング機能を提供
  • 顧客企業がすでに持っているデータベースと連動するためのXMLインターフェースを提供
ダブルクリックのテックソリューション事業部マーケティングディレクターの太田浩之氏
ダブルクリックのテックソリューション事業部マーケティングディレクターの太田浩之氏

発表会では、ダブルクリックのテックソリューション事業部マーケティングディレクターの太田浩之氏がDARTmailの機能説明やデモンストレーションを行なった。それによると、DARTmailの特徴である大容量高速配信に関しては、ここ数ヵ月の平均で月間およそ3億通のメールを配信(全世界)しているという。DARTmailは、テキストベースのメールのほかにHTMLメール、AOL形式メールにも対応しているが、HTMLメールを利用した場合は、そのメールをエンドユーザーが開いたかどうか、あるいは受け取ったユーザーがそのメールを友人などに転送した場合は、その転送されたユーザーがURLをクリックしたかどうかといったことまでも追跡、レポートが可能という。

DARTmailのレポート機能の1つ“Visual Reporting”機能
DARTmailのレポート機能の1つ“Visual Reporting”機能。実際に配信されるメール上で、URL(リンク)をクリック率によって色分けして表示する

エンドユーザーのHTMLメールへの対応は現在およそ8割以上になっているというが、DARTmailのシステムでは、エンドユーザーがHTMLメールを受け取れる環境かどうかを自動的に判断して、次回以降のメール配信に反映させることができるという。ただし、エンドユーザーがHTMLを受け取り可能かどうかを判断する方法については明らかにしていない。

DARTmailは米CNET Networks社、米Barns & Noble社、米プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)社、米L.L.ビーン社など150社以上の採用実績がある。米CNETでは60種類以上の電子メールを配信しているが、DARTmailの採用によって9ヵ月間に購読者数が200万から400万に増えたことなどが実例として示された。

現在日本でのサービス開始に当たって、既に数社で商談が進んでおり、試験的運用も始まっているという。サービス料金については現在は個別に見積もりをしている状況だが、メール配信サービスにおける料金は価格は下がってきており、DARTmailにおいても競争力のある価格にするとしている。なおDARTmailサービスは、ダブルクリックからの直接販売のほか、国内の電子メールサービスプロバイダーであるアフェクトコミュニケーションズ(株)とオプトメール(株)の2社と協力して販売する。3社あわせて初年度約90社の顧客企業獲得を目標としているという。

ダブルクリックは現在、ウェブサイトにおける広告サービス事業を柱としているが、電子メール関連事業をそれと並ぶ中核事業として育てたいという。米ダブルクリックでは、FloNetworkに続いて電子メール配信サービスを行なう米MessageMedia社を買収、これによって毎月7億通の電子メール配信が可能なシステムを保有し、世界で500社以上の顧客企業を持つことになるとしている。

インターネットマーケティングにおいては、ウェブサイトの単純なバナー広告などは、すでに効果が薄いとして、クライアントからも敬遠されつつある。ダブルクリックは“クッキー”を使った、エンドユーザーごとの細かい対応が可能な広告サービスを展開しているが、電子メールであればさらに細かい分析やカスタマイズが可能だ。同社は顧客企業に対してより付加価値の高いサービスとして、電子メールビジネスの拡大を目指す。

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