モーションキャプチャー以外に人目を集めたのは、3D立体視システムやフォースフィードバックグローブ、プロジェクターを連ねた大型スクリーンなど。
目の前にあるように見えるけれど
サミー(株)のブースでは、凹面鏡を2枚組み合わせた“ボルマトリクス”方式によって、実物に近い虚像を表示する装置のデモを行なっていた。
一見目の前にあるようだが…… |
手を伸ばしてもさわれない。実は虚像だったのだ |
これが“ボルマトリクス”方式。実は非常に単純な構造なのだ |
“ボルマトリクス”方式は、凹面鏡2枚を使用して、物体なり映像なりを浮び上がらせる。その技術自体は特殊なものではなく、広く一般に知れ渡っているものだという。DVDやパソコンからの画像・映像を立体表示することも可能。
この画面ではわかりにくいが、3D映像が浮き上がって見える |
同社によると、現在のところ博物館での展示用や、企業のプレゼンテーション用として導入されている。また、業務用ゲームへ導入したいという要望もあるという。価格は、映像などを入力できない最下位の製品で、約150万円からとなっている。
そのほかの3D立体システム
(株)美貴本が提供するのは、ヘッドマウント型の液晶ディスプレー。左右の液晶それぞれに違う映像を表示して3D立体視を行なえる。また、位置センサーを内蔵しており、頭の動きに合わせて画面表示を切り替えることが可能。
ヘッドマウント液晶ディスプレー。頭の動きに合わせて画面も激しく動き、酔いそうになる |
最大解像度はVGA(640×480ドット)。これまでは主に大学などの研究機関に納入してきた。価格は本体のみで30万円弱と、同社によれば「かなり安い」という。
一方で、(株)ソリッドレイ研究所の“プラグズ・システム”は、複数のパソコンとプロジェクターを使用して、1枚の大きな画像・映像にする技術だ。
“プラグズ・システム”。画面がボケているのは、ピンボケではなく、立体視用に2重に映像を投影しているため |
“プラグズ・システム”は最大で13台のパソコン、12台のプロジェクターによる大画面表示が行なえる。プロジェクターは2台ずつペアになり、それぞれが同じ場所に違う画像・映像を投影し、視聴者はそれを立体視メガネで左右の目に振り分けることで、3D立体視が可能になる。
プロジェクターの画面の重なる部分は、同社独自の技術によって重なり部分の輝度を下げるなどして、違和感のない画像にしている。デモは8台のプロジェクター、9台のパソコンによって行なわれていたが、画像のつなぎ目がわずかに分かるもののきれいな映像だった。
立体視メガネを使った3D立体視の展示はほかにもいくつかあり、立体視メガネをかけた人があちこちに見受けられた |
触覚をフィードバックするグローブ
旭エレクトロニクス(株)は、触覚をフィードバックするセンサー付きグローブ“CyberGlove”の体験コーナーを設置していた。
“CyberGlove”。画面内のテーブルや部品、エンジン本体をさわることができる |
これらは、センサー付きグローブ“CyberGlove”にオプションの触覚をフィードバックする“CyberGrasp”および“CyberForce”を追加したもの。実際に画面内の物体に触れることができ、つかむことも可能。それらの感覚も、手に伝える。センサーの測定位置が最大22点と細かく、微妙な動きも再現するという。
手の甲のワイヤーやセンサー。微妙な動きも感知し、また物をつかんでいる感覚を手に与える |
パソコンなどとはRS-232Cで接続する。サンプリングレートは18センサーの場合で100Hz以上、重量は“CyberGlove”だけで84g。価格はデモに使っていたセット一式で、約2000万円前後になる。同社では、主にメーカーの設計部門などに販売していくという。