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欧州連合、ヨーロッパの中小企業の技術を日本に紹介する商談会を開催

2001年07月03日 21時40分更新

文● 編集部 佐々木千之

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駐日欧州委員会日本代表部は3日、欧州連合(※1)の対日輸出促進キャンペーン“EU Gateway to Japan”の一環としてEU情報通信技術使節団の展示/商談会を開催し、10ヵ国22社が自社技術をアピールした。

※1 現在の欧州連合加盟国は、オーストリア、ベルギー、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、アイルランド、イタリー、ルクセンブルグ、オランダ、ポルトガル、スペイン、スウェーデン、イギリスの15ヵ国。欧州委員会は加盟各国の委員からなる欧州連合の行政執行機関。

EU Gateway to JapanはEUの対日貿易促進を目的として、EU加盟国の企業で日本市場への熱意と技術を持つ中小企業を対象に、使節団という形で来日させ、日本でビジネスパートナーを得るチャンスを提供するというもの。通産省(現、経済産業省)の支援を受けて'94年に開始した。キャンペーンでは、食品、飲料、建設資材、環境技術、情報通信技術、船用機器などいくつかのカテゴリー別に商談会(トレードミッション)を開催しており、2001年には今回を含め6回開催の予定。

以下、今回の展示/商談会の各社ブースから国別にいくつかの企業を紹介する。

デンマーク

デンマークのAtentia(アテンシア)社は、2000年春に設立されたばかりの企業。ウェブのホスティングサービスを提供しているISP(インターネットサービスプロバイダー)やASP(アプリケーションサービスプロバイダー)向けに、それらのホスティングサービスを利用するユーザー自身がウェブサイトを簡単に制作できるソフト『SiteBuilder』を販売している。

SuiteBuilderのウェブサイト構築画面
SuiteBuilderのウェブサイト構築画面、ウィザード形式でオンラインで簡単に作成できるという

SiteBuilderプログラムはJavaで書かれており、ISP/ASPのサイト上に置かれ、利用するユーザーはウェブブラウザーを使って操作する。ウィザード形式で、必要事項に入力していくだけで、ウェブサイトの知識が少ないユーザーでも利用できるというが、クレジットカード利用によるEコマースサイトも構築可能な多機能なもの。現在デンマークをはじめ、フィンランド、カナダ、米国、ドイツ、エストニアにおいてISP/ASPパートナーを通じてサービスを行なっている。

Atentia社CEOのエリック・ジェンセン(Erik Jensen)氏とテディー・ニールセン(Teddy Nielsen)氏
Atentia社CEOのエリック・ジェンセン(Erik Jensen)氏(左)とテディー・ニールセン(Teddy Nielsen)氏(右)

フィンランド

フィンランドのArcus(アルクス) Software社は、'96年に設立した企業で、3D地図をもとにしたナビゲーション技術を持っている。同社の製品には、来客の多い企業などで、ウェブサイト上で訪問客に3D地図とアニメーションを使って本社やオフィスへの道案内をする『VisitGuide』、ホテルの宿泊客にホテル周辺のガイドを行なう『HotelGuide』、携帯電話やPDA上で3D地図による道案内を行なう『MobileGuide』の3つがある。

『VisitGuide』の次期製品となるVersion2の画面
『VisitGuide』の次期製品となるVersion2の画面。右のウインドーに滑らかに道筋のアニメーションが流れる
iモード携帯電話に表示した『MobileGuide』
iモード携帯電話に表示した『MobileGuide』。道筋のポイントとなる地点の3Dビューを表示する

このうちMobileGuideは、カラーの大型ディスプレーを持つ携帯電話向けに、日本でサービス提供することを意識したもので、iモード携帯電話のディスプレーに道案内のポイントとなる地点における町並みの3Dビューを表示するデモを行なっていた。東京駅や大手町周辺の3D地図を作製中で、日本で9月に行なわれる“World PC Expo”で披露する予定としている。

Arcus社の社長兼CEOアリ・アキフ氏
Arcus社の社長兼CEOアリ・アキフ(Ali Akif)氏。左手のPalm機では、3Dグラフィックスがアニメーション表示されていた
MatchEm(マッチェム)社は、携帯電話を使ってテレビのインタラクティブサービスを提供するシステムを開発したフィンランドの企業。MatchEm社のシステムは携帯電話のSMS(ショートメッセージサービス)を利用して、テレビ番組中の投票などに参加できるというもの。番組からは、視聴者に向けて次回の予告などを送信する。
MatchEm副社長のサミ・インキネン氏
MatchEm副社長のサミ・インキネン(Sami Inkinen)氏

フィンランドのほか、フィリピン、香港、マレーシア、シンガポール、スペイン、イタリア、ドイツ、イギリスのテレビ局にこのシステムを納めている(一部の国はこれからサービス開始)。

ドイツ

ドイツのS.E.H. Computertechnik(エス・エー・ハー・コンピューターテヒニク)社は、プリンターサーバーの専業メーカー。ヨーロッパ市場において、京セラ(株)、セイコーエプソン(株)、富士通・シーメンス・コンピューターズ社などに向け、プリンター内蔵タイプのプリンターサーバーをOEM供給しているほか、自社ブランド“InterCon”として、米ヒューレット・パッカード社のプリンター向け内蔵プリンターサーバーや、外付けタイプのプリンターサーバーを製造販売している。

S.E.H.社が開発中のIEEE802.11b対応のPCカードを利用する無線LAN対応内蔵型プリンターサーバー
S.E.H.社が開発中のIEEE802.11b対応のPCカードを利用する無線LAN対応内蔵型プリンターサーバー

次期製品として、PCカードスロットを装備し、IEEE802.11b無線LANカードを使った無線LAN対応プリンターサーバーを展示していた。

アイルランド

アイルランドのParallelGraphics(パラレルグラフィックス)社は、VRMLベースの3Dグラフィックス技術を強みとする企業。VRMLコンテンツの作成ツールや、動画化のためのオーサリングツールなどを開発している。

ParallelGraphics社、社長のコーネル・ギャラハー(Connell Gallagher)氏
ParallelGraphics社、社長のコーネル・ギャラハー(Connell Gallagher)氏

同社の歴史は複雑で'88年に当時のソビエト連邦のプログラマーによって手書き認識技術を開発する会社Paragraph社として設立された。Paragraphの手書き認識技術は米アップルコンピュータ社がPDA『Newton』で採用したという。'89年にはソ連と米国のジョイントベンチャー企業ParaGraph社となり、その後米国資本のParaGraph International社を経て、'97年に米シリコングラフィックス社(現、米SGI社)が買収して、VRMLブラウザー『COSMO Player』などを開発した。さらに'98年には米Vadam社が買収したのち、同じ年にVRML関連のパテントを保持しつつスピンアウトしてParallelGraphics社を設立、'99年に本社をアイルランドのダブリンに移して現在に至っている。

Jornada 720上で動作するVRMLブラウザー
Jornada 720上で動作するVRMLブラウザー。この3Dモデルはスタイラスペンの操作で、回転したり、引き出しが出たりと滑らかに動いていた

展示会ではVRMLブラウザーの3D表示を生かした、フィールドエンジニア向けの機械製品マニュアルや、PocketPC向けのVRMLブラウザーを展示した。Windows CE上で動作するVRMLブラウザーは同社だけだとしている。ヒューレット・パッカードの『Jornada 720』(StrongARM-206MHz)でのデモだったが、パソコンに比べ非常に貧弱なグラフィックスアクセラレーション機能しか持たないWindows CE機にもかかわらず、スタイラスペンの操作に応じて滑らかに3D画像が動いていた。

このほかには、ベルギー、フランス、イタリア、ポルトガル、スウェーデン、オランダの企業が、ICの試験装置や企業パソコンのセキュリティー管理システム、エデュテイメントシフトなどを展示していた。

欧州と日本の企業連携のカギはモバイル関連技術か

IT関連において、日本の企業が海外の企業と提携して新しい事業を始めたり、あるいは海外企業の優れた製品を日本で販売するということ自体はめずらしくない。米国企業が相手の場合は大手からベンチャーまで非常に多くの事例があることはいうまでもない。米国外でも、イスラエル、韓国、インドの企業、特にソフトウェア分野で日本企業とのつながりが非常に深まっているという。ところが、一部の大企業とのものを除いた欧州企業とのそうした事例、特に中小企業相手ではそれほど多くないのが実情という。

EU Gateway to Japanで最も成果を上げているのは、商品がアピールしやすい食料品や衣料関係と聞くが、情報通信機器分野でもなかなか面白いと思える技術を持った企業がいる。特にモバイル関連技術では日本と欧州が米国をリードしている分野であり、こうした展示会をきっかけとして、欧州企業と日本企業の協業が進むのではないかという印象を持った。

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