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理経など3社、VDSLベースのホテル向けビデオ・オン・デマンドサービスを提供

2001年06月29日 22時44分更新

文● 編集部 佐々木千之

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(株)理経、(株)エヌ・ティ・ティ エムイー(NTT-ME)、(株)東洋コミュニケイションズの3社は29日、VDSL(Very-high-bit-rate Digital Subscriber Line)技術を使ったホテル向けのインターネットやビデオ・オン・デマンド(VOD)サービスの提供に関する協力で合意したと発表した。

報道陣に公開したVOD/インターネット接続サービスシステム
報道陣に公開したVOD/インターネット接続サービスシステム

3社が提供に合意したVODシステムは、敷設コストが低く、大きな工事をしなくても済む点が特徴。従来、このようなインターネットサービスやVODサービスを提供するには、ケーブルテレビのように同軸ケーブルを各部屋に敷設するといった大がかりな工事が必要で、コストも高いものだったという。これに対し3社のシステムでは、各部屋に引かれたアナログ電話線に重畳する形でVDSLモデムを接続してネットワークインフラとし、部屋のテレビを端末のディスプレーとして利用することで、コストと工事の手間を省いた。

NTT-MEのセットトップボックス“わくわくステーションBB”
NTT-MEのセットトップボックス“わくわくステーションBB”。赤外線を使ったリモコンやワイヤレスキーボードで操作する

このVODシステムは、米TUT Systems社のADSL機器『IntelliPOP』を使って米EnReach社が開発したシステムで、通常の2芯の電話線を使い、上り下り共に15Mbps(電話としての音声通話機能は損なわない)という高速通信が可能という。15Mbpsの速度が保証されるデータ伝送距離は600mであるため、ホテルや旅館、マンションなどの利用に関しては十分だとしている。このVDSLシステムの局側モデムは、使用する帯域を細かく管理可能な“QoS(Quality of Service)”機能を備えているため、ビデオ画像の視聴の際、送信に必要な帯域を保証することで、スムーズな再生が行なえるという。

今回のシステムに使われている米TUT Systems社のVDSLモデム
今回のシステムに使われている米TUT Systems社のVDSLモデム(上が端末側、下が局側)。局側モデムは1台で12端末(回線)が収容できる。端末側モデムは2つのEthernetポートを備えており、宿泊客にパソコン接続サービスの提供も可能

3社が報道関係者向けに公開したテストシステムで、MPEG-1(2.4Mbps)の動画像のデモが行なわれたが、VHSビデオよりは明らかに鮮明で、テレビ放送並みの画像に見えた。

このシステムを提供するにあたっては、理経がVODシステムとVDSLモデムの販売、NTT-MEがセットトップボックス“わくわくステーションBB”やネットワークの設計施工や管理、インターネット接続環境の提供、東洋コミュニケイションズが映像コンテンツの供給を担当する。

東洋コミュニケイションズの福澤隆夫社長
東洋コミュニケイションズの福澤隆夫社長。同社はホテルや旅館向けの映像コンテンツを提供している

第3四半期からシステムの販売を開始する予定。費用は約50室程度の既設ホテルに導入する場合約2300万円程度(コンテンツや機器の設置、管理費用は除く)という。2002年3月末までに全国のホテル、旅館、マンションなどに20システム程度(約5億円)、3年後までの累計では150システム程度(約30億円)の売り上げを見込むとしている。

米国では、景気の後退もあってか、ホテル向けにインターネット接続サービスを提供している企業の業績が不振で、サービス規模縮小や撤退などの事態になっているところもある。これについてある説明員は、「米国ではあまりインターネットの利用がされないようなホテルまで広げすぎたのではないか。日本ではインターネットをホテルでも利用したいというニーズはまだこれから広がっていく。すでに興味を持った顧客からの問い合わせも入っている」と述べた。

あまりコストはかけられない(かけたくない)が、インターネットやVODサービスを提供したいというニーズは、中小規模のホテルや旅館に多いとのことで、ビジネスホテルなどでの採用が進みそうだ。

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