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【TECHXNY/PC EXPO Vol.2】正式発表前のプロセッサーがコンパックのノートに

2001年06月28日 23時32分更新

文● 塩田紳二

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ニューヨークで26日(現地時間)に開幕した“TECHXNY/PC EXPO”の2日目のキーノートスピーチは、米インテル社のマイケル・スプリンター(Michael R. Splinter)氏。同氏はExecutive Vice President兼Sales and Marketing Group Managerで、次期社長候補の1人。

インテルは、今月から“MACROPROCESSING(マクロ・プロセッシング)”というキャンペーンを開始しており、市内にもPC EXPOにあわせたのか、その巨大な看板を見かける。

インテルのマイケル・スプリンター氏
インテルのマイケル・スプリンターExecutive Vice President。次期社長に最も近い1人

スプリンター氏のキーノートは、昨今の経済市場は厳しい状況だが、これまでIT技術への投資は景気に影響されずに伸び続けている、というあたりから始まった。まあ、簡単にいえば、ここでIT関連の投資に手を抜くなといいたかったのであろう。

MACROPROCESSINGのロゴが入ったパネル
ステージ背面のインテルロゴのあった布が落ちると後ろからMACROPROCESSINGのパネルが登場するという凝った作り

続いて、前述のMACROPROCESSINGに関するデモビデオを上映、最後にどーんとインテルのロゴが出ると、ステージの後ろにある布が落ちて、MACROPROCESSINGのロゴが登場するという仕掛け。かなり凝った舞台装置(このあとのデモも、ステージ脇の円筒形の壁が回転してデモンストレーターが登場するという作りになっていた)を用意していた。

インテルのMACROPROCESSINGの説明スライド
インテルのMACROPROCESSINGの説明スライド。今までのサーバークライアントシステムから、ウェブサービスを経て新しい使い方が始まるという

ただ、残念ながら、このTECHXNY/PC EXPOのキーノートスピーチは、満員御礼という状態ではなかった。昨年と合わせてみる限り、展示会の来場者は多いものの、あまりキーノートスピーチの客の入りはよくないのである。同じ会場で、冬には“Linux World Expo”が開催されるのだが、こちらのほうはキーノートスピーチに長蛇の列ができる。まあ、昨日も書いたように、このイベントはかなりコンシューマーよりで、来場者のほうも展示のほうに興味があるのだろう。そのせいか、メーカーのブースでは、まったく関係ない展示の係員に、たまたまそこに自分が注目しているノートパソコンがあるという理由だけで、えんえんとスペックを聞いたりしているのを見かける。こっちは、展示の話が聞きたくて結構待たされることもある。まあ、イベントは来場者の傾向に左右されやすいので、もともとこうしたイベントなのであろう。

インテルブースに『モバイルPentium III-M』が展示されており、このTECHXNY/PC EXPOが正式公開の場(発表ではないことに注意)となった。キーノートスピーチでは、動作クロック1GHz以上の『モバイルPentium III-M』を2001年第3四半期に正式発表する予定、とスプリンター氏は述べた。

スプリンター氏のキーノートの後で、インテルと米コンパックコンピュータ社主催のプレス向けミーティング(実際には昼食会)が開催され、筆者は単にメシを食うつもりで参加した。内容はコンパックの新しいノートPCである『EVO N200』の発表である。

米コンパックが発表した『EVO Notebook N200』
米コンパックが発表した『EVO Notebook N200』。後ろに見えているのは拡張バッテリー。本体は約1.3kg。クロック周波数は公開されないが、展示機は700MHzで動作していた
N200のキーボード
N200のキーボード。標準キーボードの90%のサイズとなっており、結構打ちやすかった。厚さもフタを閉じた状態で2.11cmとなかなか薄い仕上がり

しかし、配布された資料を良くみたらびっくり。超低電圧版(ULV)のモバイルPentium IIIが採用されているのだが、内蔵2次キャッシュメモリーが512KBなのである。つまりこれは、Tualatin(モバイルPentium III-M)なのだ。しかもULVの。業界のウワサでは、このULV Tualatinは、今年後半に登場する予定である。それをもうここで出してしまったのである。

標準内蔵バッテリーはリチウムイオンポリマー電池
標準内蔵バッテリーはリチウムイオンポリマー電池。底面の3分の1ぐらいを占めている感じ。バッテリー動作時間は公開されていないが、資料から推測するに増設バッテリーと合わせて8時間程度ではないかと思われる
N200のドッキングステーション
N200のドッキングステーション。接続部分は本体後方にあり、増設バッテリーを付けたままでも装着できるようになっている

もっとも、インテル自身がこれを『超低電圧版モバイルPentium III-M』と発表したのではなく、あくまでもコンパックが新しいノートPCを発表しただけで、スペック表のどこにもモバイルPentium III-M(Tualatin)とは書いてない。同席していたインテルの役員も今回はインテルからの正式発表ではないとしながら、モバイルPentium III-M(Tualatin)であることについて否定しなかった。

昨年のPC EXPOでは、米トランスメタ社がいきなり(株)日立製作所や日本電気(株)、米IBM社のCrusoe搭載試作機を公開。かなり話題を奪った感じなのだが、今年は、インテルがこうした“隠し球”的な手法を使ったわけだ。これに対してトランスメタのほうは、今年は意外に(?)普通のやり方。トランスメタブース中央には、Crusoeを採用した米RLX Technologies社のサーバーがどーんと展示してある。昨日、同社のチャップマン副社長に話を聞く機会があったが、インテルの発表の後でもう一度コメントを聞きたいところだ。

トランスメタが展示していた米RLX Technologiesのサーバーユニット
トランスメタが展示していた米RLX Technologiesのサーバーユニット。この筐体に“ブレード”と呼ぶサーバー(ボードにCPUやハードディスクを載せ、単独のサーバーとして動作可能なもの)を24枚装着できる
ブレードが24枚入るユニットを14台、合計で336サーバーがこのスペースに入っている
ブレードが24枚入るユニットを14台、合計で336サーバーがこのスペースに入っている

今年も、低消費電力を巡る争いは、かなり“熱い”感じである。

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