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『Oracle Linux Summit 2001』開催

2001年06月21日 04時40分更新

文● 阿蘇直樹

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6月20日、『Oracle Linux Summit 2001』がロイヤルパークホテル(東京)で開催され、Linuxを用いたエンタープライズシステムの具体例や、まもなく発売される予定の『Oracle9i Database』を用いたソリューションの紹介などが行なわれた。

『Oracle Linux Summit 2001』受け付けのようす。

朝10時30分からは『LinuxによるSpeeds E-Busines戦略』と題した基調講演が、引き続いて『ビジネスプラットフォームとしてのLinuxの可能性は? Yes or No』と題したパネルディスカッションが行なわれた。午後にはAトラックとBトラック2つのセッションで、それぞれプレゼンテーションが行なわれた。

『Oracle9i』

この日は『Oracle9i Database』も話題に上がっていた。日本オラクル(株)は、米Oracleが14日に『Oracle9i Database』を発表したのを受け、秋頃には国内での販売を開始する。来月上旬には具体的な発売日や価格といった情報が提供される予定だ。『Oracle9i Database』は、IA-64に対応するほか、クラスタリングへも完全に対応し、メモリ上で排他制御を可能にするなど、より大規模でミッションクリティカルな使用を想定しているという。

Linux導入事例紹介

ターボリナックス ジャパン(株)

午後から開始されたプレゼンテーションでは、Linuxシステムの導入事例などを聞くことができた。ターボリナックス ジャパン(株)では、同社フィールドマーケティンググループの吉政忠志氏が、今後の法人向け販売戦略と導入事例について説明した。吉政氏は『Turbolinux』が豊富な導入実績を持つことと、実績のあるパートナー企業とのアライアンス関係があることによって、顧客からの信頼を得ている点を強調した。またクラスタ市場を立ち上げるための戦略として、さらなるサポート力の強化と、販売実績のあるパートナー企業への特別支援を行なうと発表した。

ターボリナックス ジャパン(株)フィールドマーケティンググループ 吉政忠志氏

導入事例として、『Turbolinux』と『Oracle』を組み合わせた、ミッションクリティカルな構築例を紹介。モバイルからLANへアクセスするサービスや課金システム、大規模データベース関連として、サーバを全2重化し、耐障害性を高めたシステムなどを紹介した。ターボリナックス ジャパン(株)では、「このような運用事例に裏打ちされた信頼性のあるサポート体制を武器に、これまでUNIXを利用し、十分な投資を行なってきたようなところから」Linuxを用いた高可用性クラスタシステムの普及に努めると説明した。

NTTコムウェア(株)

NTTコムウェア(株)は、同社Linuxセンターチーフアーキテクトの大木一浩氏が、これまでのLinuxへの取り組みと導入事例を紹介した。

NTTコムウェア(株)Linuxセンターチーフアーキテクト 大木一浩氏

同社では、1999年頃からLinux導入の有効性検証や導入範囲の検討などを行ない、トータルソリューションとしての『PROgART』を提供している。『PROgART』は、システム開発の受注から導入、保守、各種研修、またLinux対応製品の開発、販売までをトータルにサポートするサービスを提供する。これまでの受注例では、主にECサイトやシステム開発を目的としたものが多いといい、これからは基幹システムへのLinux適用が進むと分析している。導入事例としては、同社内ネットワークの構築をはじめ、顧客からの注文に対し、受け付け、点検、進捗情報管理などを行なうシステムを紹介。24×7のミッションクリティカルなシステムでの信頼性の高さをアピールした。また、システム開発時のトラブルにも言及し、Linuxだからといって特別なトラブルがあるわけではなく、UNIXと同様にシステムを開発できると述べた。

(株)ホライズン・デジタル・エンタープライズ

(株)ホライズン・デジタル・エンタープライズでは、同社事業開発本部 エンタープライズソリューショングループ プロダクトマネージャ 川下真氏が、同社のメール配信システム『HDE Lightning Messenger』や『HDE Linux Controller』を用いたメール配信システムを紹介した。

(株)ホライズン・デジタル・エンタープライズ事業開発本部 エンタープライズソリューショングループ プロダクトマネージャの川下真氏

メール配信システムは、回線容量のほかにメールサーバのハードウェア/ソフトウェア性能、サーバ構成によって性能が大きく異なる。『HDE Lightning Messenger』は、1時間に20万通以上のメールを配信できるメール配信エンジンで、エラーアドレス処理サーバを分けることにより、可用性の高いシステムを構築することができるという。また、システム拡張に際しても『HDE Linux Controller』を用いることで一括管理が可能になり、メンテナンスコストを削減することができる。

日本オラクル(株)

日本オラクル(株)では、『Oracle9i Database』を利用した今後のソリューションとして、『Oracle Parallel Server』を紹介。同社製品本部システム製品マーケティング 9iマーケティンググループの北嶋伸安氏によると、これまでのネットワークは、サーバを全2重化することでコールド・フェイルオーバーを行ない、システムの信頼性を高めてきたが、『Oracle9i Database』ではさらに複数のノードを追加し、クライアントの処理を動的に負荷分散することが可能になるという。これにより、可用性とともに拡張性に富んだシステム構築が可能になる。

日本オラクル(株)製品本部システム製品マーケティング 9iマーケティンググループの北嶋伸安氏

今回の『Oracle Linux Summit 2001』では、LinuxがWebサーバやファイルサーバといった用途だけでなく、業務基幹系のハイエンドシステムに用いることも可能なことが盛んに強調されていた。Linuxビジネス全体の方向性として、信頼性が高く安価に構築できるLinuxシステムのメリットを生かした展開が、今後も進むものと思われる。

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