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アマゾンがDVDとCDの取り扱い開始──5000円以上で500円割引&送料無料

2001年06月13日 20時38分更新

文● 編集部 佐々木千之

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アマゾン ジャパン(株)は13日、都内で記者発表会を開催し、本日から日本語の書籍オンラインストアー“Amazon.co.jp”において、CD、DVD、ビデオの取り扱いを開始したと発表した。5000円以上購入すると送料が無料になるが、6月30日まではさらに500円が割り引かれる。

米アマゾン・ドット・コムのジェフ・ベゾス社長兼CEO
米アマゾン・ドット・コムのジェフ・ベゾス社長兼CEO

Amazon.co.jpは2000年11月1日に開設し、和書110万点、洋書70万点を取り扱っている。アマゾンによると日本国内からの登録ユーザー数は、日本サイト開設の時点で約20万人(amazon.comの登録者)おり、7ヵ月語の現在は約40万人に倍増したという(全世界では3200万人以上)。米国のamazon.comでは書籍、DVD、CD、ビデオのほか、コンピューター周辺機器や家電、育児用品、薬、化粧品、クルマなど多くの商品を扱っている。

Amazon.co.jpのトップページ
Amazon.co.jpのトップページ。“音楽”、“DVD”、“ビデオ”のカテゴリーが追加されている

Amazon.co.jpのサイトのトップメニューには、これまでの“ブックストア”に加えて、音楽CDを扱う“ミュージックストア”、“DVDストア”、“ビデオストア”の3つのカテゴリーが追加された。取り扱うタイトル数は、音楽CDが国内盤13万、輸入盤23万。DVDが国内盤7000、輸入盤5000。ビデオは国内版7万、輸入版2000となっている。

送料はCD、DVD、ビデオの購入総額が5000円以上の場合無料(一括配送)、5000円以下の場合は1配送につき240円で、書籍と同様の扱い。タイトルごとの価格については以下の通り(6月30日までは、キャンペーンとして、5000円以上購入すると、500円が請求金額から差し引かれる)。

  • 国内盤音楽CD……定価
  • 輸入盤音楽CD……最大30%引き
  • 国内盤DVD……定価(一部10%引き)
  • 輸入盤DVD……すべて10%引き
  • 国内版ビデオ……定価
  • 輸入版ビデオ……すべて10%引き

発表会に出席した、米アマゾン・ドット・コムのジェフリー・ベゾス(Jeffrey Bezos)社長兼CEOは「現在40万人以上いる日本のユーザーの多くから、いつになったらCDやDVDを扱うのかという要望をいただいていたが、それに応えることができた。アマゾンはユーザーにとって世界で一番使いやすいeコマースサイトを目指してきた。この実現のためには、ユーザーの声に耳を傾けること、ユーザーが使いやすいサービスを発明すること、ここのユーザーごとにパーソナライズすることの3つがポイントだ。アマゾンは今後もユーザーにとって使いやすいサービスを目指す」と挨拶した。

ワールドワイドでは今年のQ4に黒字に

発表会では新サービスの紹介は短めで、質疑応答の時間が長く取られた。以下にその要旨を列記する。

[Q] 音楽CDやDVDでは、すでに日本で展開しているタワーレコードやHMVとどうやって差別化するのか。
[A] amazon.comで培ったサイトの使いやすさ、購入のしやすさがポイントになる。
[Q] 書籍や、国内盤CDなどは日本では再販制度があり、定価で販売するということだが、セールスがやりにくいということはあるか。
[A] 割引はできないが、それがデメリットとは考えていない。5000円以上購入すれば送料は無料になるわけで、これはユーザーにとって本当のメリットを提供しているとも考えられる。アマゾンが考えるユーザーにとっての価値とは、1番目に実店舗と比べてのタイトル数の多さ、2番目に店舗まで行って商品を探す時間と手間が省けるという利便性、3番目が価格だ。
[Q] 日本のオンライン販売サイトの多くが、コンビニエンスストアでの受け取りや支払をサポートしている。支払い多様化の計画はあるか。
[A] クレジットカード以外の支払については検討中。
[Q] CD、DVD、ビデオ以外のカテゴリー追加の予定は。
[A] 新しいカテゴリーについては検討しているが、いつ何を追加するかということについてはコメントできない。
[Q] 日本での事業の見通しはどうか。
[A] ワールドワイドでは今年の第4四半期には事業利益が出ると予想している。日本には投資する価値があり、現在は堅調に成長しているが、まだ先行投資の段階だ。
[Q] 音楽や映像のストリーミング配信など、デジタルコンテンツについて計画はあるか。
[A] 将来、音楽は(CDという形でなく)ダウンロード中心になると考えているが、いまのところアマゾンで取り扱うかどうか具体的な計画はない。デジタルコンテンツでは現在、電子書籍のみを扱っている。これに関しては米マイクロソフト社や米アドビシステムズ社と提携している。
[Q] 欧米市場と違って、日本ではeコマースは根付かないのではないかという意見もあるが、どう思うか。
[A] 米国で5年前、amazon.comを立ち上げるために資金調達をしているとき、同様の質問を受けたが、結果はこの通りだ。日本はまだeコマース普及の初期の段階なのだと考えている。いずれ日本も大きな市場になる。日本は人口が密集しており土地の価格は高い。これはeコマースにとって良い条件であると考えられる。アマゾンだけでなく、いくつものeコマースサイトが成功する可能性がある。
アマゾンの幹部スタッフ
(右から)米アマゾン・ドット・コムのインターナショナルシニアバイスプレジデント兼ジェネラルマネージャーのディエゴ・ピアチェンティーニ(Diego Piacentini)氏、アマゾン ジャパンのプロダクトマネージャー・エンターテイメントの原田卓氏、CEOのジェフ・ベゾス氏、アマゾン ジャパンのジェネラルマネージャー・エンターテイメントのローレン・川崎氏、アマゾン ジャパンのカントリー・マネージャー代行兼ファイナンス・ディレクターのジャスパー・チャン(Jasper Cheung)氏

アマゾンは書籍の販売に続いて、またも、CD/DVDという他社が先行している市場に進出したことになる。eコマースサイトでは、ちょっとでも使い勝手が悪ければ、ユーザーが他のサイトにすぐに移ってしまう市場だと言われる。アマゾンは、一貫して“世界で一番顧客サービスの良い会社”を目指すとしてきたが、再販価格制度により、ほかのサイトと単純な価格競争になりにくい日本こそ、そのサービスの良さが問われる市場だと考えられる。

ベゾス氏が登場するビデオを上映した
ベゾス氏は挨拶の冒頭、「私は今日日本に着いたばかりですが、朝から忙しく働いています」と述べて、ベゾス氏が(アマゾンの配送を受け持つ)日通ペリカン便のドライバーの格好をして、アマゾンからの荷物を配送するというビデオを上映した。受け取った日本人の女性は驚きつつも「Are you Mr.Amazon?」と応対していた。

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