気になるIXY DIGITAL 300との画質の差は?
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撮影サンプル1。F8.0、1/500。反射光がハイライトとなっているがコントラストがあまり減少することなくくっきりとした画像となっているほか、ハイライト部の階調の飛びも目立っていない。元画像は1600×1200ドットだが、640×480ドットにリサイズして掲載。 |
画像に関しては、原色フィルタCCDへ移行した製品群(IXY DIGITAL 200/IXY DIGITAL 300/PowerShot A10)と同等の傾向にあり、自然かつ彩度の高い色あいを持っている。ただし、全機種に言えることだが、ノイズの少ないくっきりした画面は、かえって全体的に多少平板な印象も受ける場合もある。
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撮影サンプル1の画像の一部(中央上と右下)トリミングしたもの。同一条件で撮影したIXY DIGITAL 300の画像(F8.0、1/500)を並べてみた。 |
ほとんど同じ仕様のIXY DIGITAL 300との画質の違いが気になるところであり、コンパクトさ第一のIXY DIGITAL 300よりも余裕のあるレンズ設計による画像の違いは期待できる。レンズは口径など外観から見ても異なることがわかるが、実際IXY DIGITAL 300は5群7枚、A20は7群9枚と、まったく違うレンズを使用している。レンズ枚数が多いため、スペック的にもIXY DIGITAL 300のF2.7~4.7に比べ、PowerShot A10/A20はF2.8~4.8と、口径は大きいものの若干暗い。実際に撮り比べてみた結果では、中央部の解像感や画面全体の歪曲などに関してはあまり変わらないが、周辺部の解像感ではA20が良好という結果となり、やはり余裕あるレンズ設計がなされていることがわかる。
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撮影サンプル2。F2.8、1/420。マクロモード。日陰に咲く紫陽花の蕾。 |
PowerShot A20はA10と並んで「ベーシックモデル」(同社のカタログによる名称)となっており、入門機としての色彩が濃い製品だ。しかし、IXY DIGITAL 300と同程度以上の画質を持つなど、スタイリッシュ・コンパクトなIXY DIGITALシリーズよりもいっそう実用的なデジタルカメラとして利用できるだろう。スペックでも、IXY DIGITALは専用バッテリでの撮影枚数が最大約120枚なのに対して、A20はアルカリ乾電池で約200枚、ニッケル水素乾電池で約350枚(いずれも液晶モニタON)の撮影が可能であり、しっかりホールドできる大柄なボディ、さらにはワイドコンバータ(1万円)やクローズアップレンズ(7500円)といったオプションを装着できるのも魅力だ(IXY DIGITALシリーズにはこの種のコンバータレンズは装着できない)。
キヤノンのコンパクトカメラといえば“IXY”というビッグネームの影に隠れた感のあるPowerShot A10/A20だが、コンパクトデジタルカメラの中でも画質を含めた実用性は高い部類に入る製品だろう。唯一残念なのは(A10のレビューにも書いたが)、IXY DIGITALシリーズと同等の撮影機能に抑えられ、絞りやシャッター速度などをマニュアル設定することによる撮影の楽しみがないという点だ。
PowerShot A20の主な仕様
撮像素子 |
1/2.7インチCCD約211万画素(有効約202万) |
レンズ |
5.4~16.2mm(35mmフィルムカメラ換算:35~105mm)、F2.8~4.8 |
フォーカス |
TTL 3点AiAF方式 |
記録画素数 |
1600×1200/1280×960/1024×768/640×480ドット |
記録媒体 |
CFカード(TypeI)、8MBメディア付属 |
液晶モニタ |
1.5インチ低温ポリシリコンTFT |
電源 |
単3×4本、ニッケル水素充電池/アルカリ乾電池 |
本体サイズ |
110.3(W)×37.6(D)×71.0(H)mm |
重量 |
約250g(本体のみ) |