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COMPUTEX TAIPEI 2001 Vol.4

COMPUTEX TAIPEI 2001 Vol.4

2001年06月07日 12時46分更新

文● 小板

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 COMPUTEX TAIPEIレポートの第4弾では、PCケースメーカーを特集してお届けする。日本国内では星野金属工業などが先駆者として活躍しているアルミケース。最近では台湾メーカーも低価格のアルミケースを日本市場に投入し、随分と利用者も増えてきているようだ。
 台湾のケースメーカーとして、自作ユーザーに知られているところと言えば、SongCheer、LIAN LI INDUSTRIAL、CHENBRO MICOMなどが挙げられる(今回のCOMPUTEX TAIPEI 2001ではSongCheerのブースを見つけることはできなかった)。はたして、これらのメーカーはアルミケースの製造に積極的なのか? 上記メーカーを含めて、めぼしいところをブースで直撃してみた。

LIAN LI新ケース
LIAN LIのサーバー用アルミケース。
 オウルテックが代理店になっているため、国内では“OWL-××”といった型番が付くことの多いLIAN LI INDUSTRIALでは、サーバー用のケース「PC-76」や1Uラック用ケースにもアルミを採用した製品を展示していた。しかし、アルミケースは日本市場のみの特別なブームではないかとのことだ。「ヨーロッパで火がつけば、もっと注目されるのだろうが……」との印象を持っている。



ファンレスケース
CHENBRO MICOMのブースで見かけたヨーロッパ向けのOEM製品。
 もっと否定的だったのがCHENBRO MICOM社。アシスタントマネージャーのTony Chang氏は「アルミケースはコストがかかり、リスクも大きすぎる。柔らかい素材のアルミニウムを衝撃で変形しないよう設計するには、それなりの技術力が必要。板も、もっと厚めに設計することが重要だ」と話す。また、放熱性能については、注目されているほど効果があるのかどうか疑問だという意見。大量生産はできないとしている。
 同社では、ヨーロッパ向けに写真のようなファンレスのアルミケースを展示しているが、これはメーカー向けオーダーメイド(OEM)製品のプロトタイプ。サイドに凹凸をつけることでヒートシンク構造に仕上げている。サイズは366(W)×390(D)×105(H)mmで、3.5インチベイ×1、5インチベイ×1、シャドウベイ×1を持つ。



ケースサイド
ファンレスのため、代わりにサイドをヒダ状にしてヒートシンク(放熱)効果を持たせている。

フロント
ケースの前面にはUSBとIEEE1394ポートを装備している。

MicroATXのアルミケース
左が従来のYY-A101-X03、右が新たに投入されるアルミバージョン。
 一方でいくらか積極的に見えるのが、YEONG YANG TECHNOLOGY社のブース。このメーカーを知っている人はほとんどいないだろが、MicroATX用のベアボーンシステムとして秋葉原のショップに展示されている同社の製品を見た人は多いかもしれない。同社がこれから市場に出そうとしている新製品が「YY-A101-X03」のアルミ筐体モデルだ。基本仕様は、YY-A101-X03と同一で、3.5インチベイ×1、5インチベイ×1、シャドウベイ×1、サイズは136(W)×340(D)×329(H)mmとなっている。フロントのカバーを開けるとCD-ROMドライブ用のスペースが用意されており、その下にはUSB用のコネクタが確認できる。


ケース背面
ケース背面はこうなっている。
 ただし、彼らも一番のネックはコストだと話す。セールスアカウントマネジャーのChrles Wei氏は「アルミケースの問題はコストだ。当然売値は高く設定しなければならなくなり、台湾ではほとんど買う人がいないだろう」。ここでは詳細な数値を紹介できないが、「このコスト差をどう思うか?」と出された数値を見ると、通常のケースの3倍のコスト差があった。



i-Teeシリーズ
ユニークな形状のi-Teeシリーズ。一部にアルミが使われている。
 LOPE Computerでは、総アルミではないが一部にアルミを採用したユニークなケースを展示していた。実はこのメーカーは、SUAVEIIというユニークな筐体を日本市場に出荷していた経歴をもっている。
 写真でおわかりのようにケースの形がTの字になっていることから、“i-Teeシリーズ”と呼ばれているもので、カラーはイエロー、ブラック、シルバー、ゴールドに近いものまで6種類。マザーボードの設置面とドライブベイが向き合う構造になっているのが特徴的だ。5インチ×3、3.5インチ×1、シャドウ×1というドライブベイ構成になっているようだが詳細は不明だ。



ケースの開閉方法
マザーボード取り付け面を倒したところ。

ドライブベイドライブベイはマザーボードと向き合う形になる。

 以上のように新製品の展示はポツリポツリとあるものの、総じてアルミケースは日本市場向けの限られたマーケットでしかないという意見が多く、大量生産はしないというメーカーがほとんどだった。「日本ではアルミケースの限定販売を行うことが多いが、大量生産に向いてないのだから当たり前だ(笑)」というメーカーもあれば、「ケースにあんなに金をかけるくらいなら、他のパーツを購入したほうがいいのではないか?」と率直な感想を述べる担当者もいたほど。ちなみにCOMPUTEX TAIPEI 2001のパンフレットの製品別メーカー索引のページには「アルミケース」の欄が設けられ18社が記載されているが、実際にはそれほど製造に積極的ではない。ただ、星野金属工業のネームバリューは台湾でも高いようで、各社とも注目はしているようだった。

 

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