物作りに対する情熱を持てるかが重要
──次々に話題作を出すソニックチームという会社は、すごくスタッフに恵まれていると思うんですが……。
【中】それはまったくそうですね。ウチはいつでもチームという意識で仕事をしてます。そこがソニックチームという会社の名前の由来でもありますし。別に僕がいるからということではなくて、ウチのチームメンバー全員ががんばってますから。
──中さんにとってソニックチームの魅力とはなんですか?
【中】一生懸命にやっているということじゃないですかね。よく「ソニックチームに入りたいんですけど、僕じゃダメですかね?」という人が結構いるんですけど、ウチにいるのは、みんな普通の子ですよ。「優秀な人ばかり集めてますよね」とも言われますけど、決してそんなことないと思います。たしかによくできるヤツもいるかもしれません。でも、みんな一生懸命にがんばっている、物事に対して何でも一生懸命にやっているんですよ。人間なんてそんなに差が無いですし、優秀だとか、頭がよいから、なんて関係ないですよ。そんなこと言ったら僕なんか大学行ってませんし(笑)。どんな人でも、物作りに対する情熱を持っているかどうかが重要です。やっぱり、人生をかけた仕事ですし、僕はこの仕事にその価値があると思ってます。全世界に向けて大勢の人に遊んでもらえる物を作れるっていうのは、ものすごく素晴らしいことだと思います。
PSOでのゲームキューブへの参入は…!?
──E3で発表されたPSOでのゲームキューブへの参入について聞きたいのですが、これは今、どのぐらいのところまで話が進んでいるのですか?
【中】まだ実際、何も決まってないですねぇ。Ver.2自体、やっと終わったとこですし。これからスタッフがお休み取りますので、その後、追加要素を入れるのか入れないのか、どのような形にするか、キューブらしさを出すのにどうしたらよいかとか……。そういうことを決めていきます。何かもうちょっとできればいいな、というのはスタッフと話してますけど。
──ゲームキューブ版とドリームキャスト版のユーザーは同じ空間で遊べるんでしょうか?
【中】それはかなり難しいんじゃないですかね。現時点ではどうなるか分からないです。任天堂さんがゲームキューブでどんなビジネスをされるか、というのを僕らも教えてもらっていない状態ですし、任天堂さんはインターネットを利用しない、クローズドのネットワークサービスを提供される可能性もありますよね? ゲームボーイの通信機能も、KDDIさんのネットワークで完全にクローズドでやっていますし。それに、通信プロトコルの問題でそもそもネットワークに繋がらないかもしれない。本当に今は任天堂さんとの交渉途中で、どうなるかわからないんです。だから、今回のE3でも何も言及出来てませんし、ネットワーク自体もやるかどうかも決まってないです。もしかしたら「PHANTASY STAR“OFFLINE”」になってしまうかもしれないし……(笑)。とりあえず、オフラインで4画面同時プレイができる、というところまで発表したということ以上は、今は何もお話しすることはできないです。
──最後になりますが、PC版が発売される可能性はありますか?
【中】うーん、PCになるとネットワークは簡単なんですけど、今度はビデオカードがないと動かせないマシンもあるので。とくにノートPCとかスリムタワー型PCはほぼ全滅でしょうし、ものすごくユーザー層が限られてしまうでしょうね。PCユーザーは何千万人といますけど、3dfx社が潰れるのを見ても分かるように、3Dのビデオカードが飛ぶように売れているわけではないですよね? 出したいなという思いはあるんですけど、市場が非常に狭い。そういう意味では、PSOをドリームキャストで出すにあたって「これは市場の狭いPCでは出来ないだろう」というところで作ってますから。もっとも、NvidiaのGeForce3を搭載するビデオカードが500万枚売れたということがあれば「よし作ろう!」ってなりますけど(笑)。
まぁ、セガ的にもPCビジネスをもっと積極的にやろうと考えているようなので、将来的にはPCゲームもやってみたいですね。すべてが繋がれば、きっとおもしろいでしょうし。
――本日はお忙しいところ、どうもありがとうございました。
(C)SEGA/SONICTEAM,LTD.,2001.
【取材協力】