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DC版「PHANTASY STAR ONLINE Ver.2」発売記念! ソニックチーム中裕司氏の“オンラインゲーム論”に迫る!!

2001年06月07日 20時18分更新

文● 小嶋・澤村/スタジオ百哩

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ゲーム業界のネットワークへの関心は…?

──他のゲームクリエーターの方たちも、やはりネットワークゲームへの関心は高いのでしょうか?

中氏

【中】皆さんやりたい人ばっかりですよ。でも、投資効率がもの凄く悪くて儲からない。開発費は何千万、ヘタすると億単位でかかるのに、収入はゼロ、あっても100万円ぐらいとか、そんなレベルですから。かなり投資効率が悪いですよね。おもしろいのはわかるけれども、やっても儲からない、と。PCなら楽ですけれど、コンシューマでやるのは非常に敷居が高い。しかも、苦労分の費用の回収は見込めない状態ですから。そんな中でPSOは、初めて利益の出たネットワークゲームかもしれないですね。
 やっぱり非常に大きいのがサーバの問題で、どれだけサーバを用意しておけばいいのかなんて、最初は分からない。サーバ1台でさばける人数なんて、多くても3000人ほど。すごくいいマシンを使っている「ウルティマオンライン」でもその程度なんです。インターネットの現状を見ても、何十万人が同時に同じことをしたらどうなるか、というのはかなりわからない部分が大きい。「ドラクエ」とか「FF」がオンラインゲーム化したときに、PSOと同じパーセンテージでユーザーがネットワーク接続してきたら、と考えると恐ろしいですよね(笑)。そのかわり、ちゃんと課金ビジネスが成り立ってさえいれば、もうとてつもない金額が動きますから(笑)。やっぱりみなさんそこに目が行くとは思いますね。今、ゲーム業界全体が縮小傾向ですけど、「そこを捉えることができれば……」と思っていることは間違いないでしょう。



やっぱり世の中、最先端技術って1番楽しい

──PSOのヒットで、ソニックチーム内でもこのタイトルの存在が大きくなっていると思うんですが、中さんご自身の中で“ソニック”シリーズとPSOの位置づけはどうなってますか?

中氏

【中】難しいですねぇ。僕自身、今現在何本もの企画に携わってますけど、ふたつ柱が出来てくればそれはそれで良いかな、という感じです。ただ、このままこの2本を続けるかといえば、また違う物を作るかも知れませんし。その辺は分からないですね。

──たとえば1年前だったら、ソニックチームはまさにソニックシリーズが看板だったと思うんですけど、ファンはPSOで昔のタイトルが復活したと喜んでいるのでは……。

【中】いやでも、昔のタイトルだからという人は少ないんじゃないですかね。発売前に、BBSに昔のキャラが登場することを期待するような書き込みがあったんですよ。で、実際には登場したりしないから、きっと批判が出るだろうなと思ってたら、発売後、誰も気にしてませんでしたから(笑)。PSOは、マスターシステム版の前作とは別に、楽しんでもらえているようですよ。

──あまり過去にとらわれず、新しいことをしていこう、ということですか?



中氏

【中】そうですね。去年は「サンバDEアミーゴ」を出して空間認識という新しい技術にチャレンジしてますし、あの方向性も捨てたモンじゃないな、と思ってます。僕自身プログラマ出身だから技術はすごく好きですし、それを使った新しい遊びに興味がありますね。ゲームボーイアドバンスで「チューチューロケット!」を出したのも“1つのカートリッジでマルチバトルができる”というのが面白くてのことだったんです。NTT DoCoMoのiアプリにもゲーム供給させてもらってますけど、やっぱり世の中の最先端技術って1番楽しいですから。

――なるほど。



中氏の携帯電話
中氏の携帯電話。さりげなくソニックが!

【中】その携帯電話ですけど、よく携帯電話のおかげでゲームユーザーが減っている、と言われますよね。これはカラオケ業界や音楽業界の人たちも同じこと言うんです。だったら、新しいところで儲けかえせばいいじゃないか、と思うんですよ。携帯にも参入したというのは、そういう理由もありましたね。ずっと愚痴ってるばかりじゃどうしょうもないじゃないですか。時代は変わったんだ、という意識の切替をしなくちゃいけないと思いますし。それに、実際に携帯電話にゲームを供給してみると、ユーザー層は全然違っていましたね。既存のコンシューマゲームユーザーとはまったく違う。そうなると「ゲームユーザーが減ってるのは、ゲームがつまらなくなったからなんだ」って思うしかない。そこにはやはり、続編ばかり出てくるというゲーム業界の現状が関係してると思います。マニアはそれを望むかもしれないですけど、結局一般の人はもっと新しい物を求めているわけです。だから僕たちは、ファンからの続編を求める声が多くても、それとは違う新しいものを生み出さなければいけないな、と思っています。



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