午後のTechnical Keynoteでは、今後リリースが予定されている新技術に関する説明も行なわれた。主なものは、“JavaServer Faces”、“JAX Pack”、“WebService Pack”の3つである。
JavaServer Facesの概念図。ひっきりなしにパケットが行き来することになりそうな点がちょっと気になるが、ビジュアルでインタラクティブなWebインターフェイスを使ってサービスを実現したい場合には、面白い選択肢となりそうだ |
JavaServer Facesは、サーバサイドのGUIアプリケーションを実現する技術だ。GUIベースの開発ツールを使ってビジュアルにGUIアプリケーションを作成できるのはもちろん、実行時にもクライアント(Webブラウザ)とサーバ間でイベント情報をやりとりし、リアルタイムで画面更新を行なう点が特徴となる。
たとえばフォームのやりとりなどで、数字しか入力できないフィールドに文字を入れてしまったような場合、従来はフォームを送信したあとでエラーが判明し、再入力を求められる、といった処理になる。これがJavaServer Facesを利用すると、Webブラウザ上の入力フィールドにタイプした段階でサーバにイベントが送信されるため、その場で入力ミスのチェックなどが可能になる。
JavaScriptなど、Webブラウザ上のスクリプト言語を利用しても同様の仕組みを実現することは可能だと思われるが、JavaServer Facesを利用するとクライアントの種類を選ばないし、ビジュアルな開発環境を利用できることでコーディングの手間を大幅に削減できる点がメリットとなるだろう。
JAX Packは、今後リリースが予定されているXML関連APIをまとめてパッケージ化したものだ。JavaからXMLドキュメントを扱うためのAPIが今後次々とリリースされる予定だが、これをひとまとめにしたものがJAX Packである。JAX Packには、
- JAXP(Core XML Processing、既にリリース済み)
- JAXB(XML Data Binding)
- JAXM(XML Messaging)
- JAXR(XML Registry Support)
- JAX-RPC(XML RPC Support)
といったAPI群が含まれ、今年秋には提供が開始される予定である。
また、Web Service PackはWeb Serviceの実現のために必要な機能をひとまとめにパッケージングしたもので、
- Tomcat(Apache用のJSPエンジン)
- JAXPack
- JavaServer Faces
- JSP Tag Library
- ドキュメント類
などが含まれる予定である。こちらも、秋にリリースされることになっている。
今回発表された新技術は、主にWeb Serviceを実現するために必要なサポートをJavaに組み込み、Javaを使ってWeb Serviceを実装できるように環境を整えようとするものが多い。Microsoftの.NET構想もそうだが、現在もっとも注目されているキーワードが“Web Service”だと言ってよいだろう。この新しい市場に向けて、これまで蓄積してきたJavaの強みを活かして「Web ServiceもJavaで実現しましょう」というのが今回のJavaOneの中核的なメッセージである、という見方もできるだろう。