タクシア(株)は31日、事業戦略や提携概要、新製品などについて発表した。
タクシアの開発した“TSE(TUXIA Synthesis Environment)”の画面 |
同社は独タクシア(TUXIA)社の子会社で、組み込み用途のLinuxおよびその上で動作するミドルウェアなどを開発、販売する。
独タクシア共同設立者で販売部長のショーン・ルイ・ヴァンダー・ヴェルド(Jean Louis van der Velde)氏は「インターネット・アプライアンス向けのマルチメディアLinux」を提供すると語った。
独タクシア販売部長 ショーン・ルイ・ヴァンダー・ヴェルド氏 |
ヴェルド氏は、同社の組み込み型Linux“TASTE”が、スタンダードな、標準のライブラリーや技術を使用していることと、モジュール化されていることを利点として挙げた。それによって、サードパーティーなどがソフトウェアを開発・提供しやすいという。
たとえば、TASTEは『Mozilla』ベースの標準のウェブブラウザーとして同社の開発した『Nanozilla』を実装しているが、それをほかのブラウザーに変更したい場合、ブラウザーの機能はひとつのモジュールになっており、またプラットフォームが標準化されたものであるため、簡単に変更できるという。
モジュール化されたTASTEの構成図。細かいところは読みづらいが、だいたいのイメージはつかめるだろう |
ヴェルド氏はすべてがモジュール化されており、そのモジュールが標準仕様のものであるため、モジュールを組み立てるだけで新たな機能を追加でき、市場のスピードについていける、“Time to Market”を短縮できると語った。
また、同社にはイメージ作成ツール“TSE(TUXIA Synthesis Environment)”があり、GUI上でシステムの構築・カスタマイズが可能になる。そのTSEについて、代表取締役社長の關信彦氏は、TSEなら「3分で」システムの構築が行なえると強調した。
代表取締役社長 關信彦氏 |
従来はLinuxのシステムの構築やカスタマイズには、相当な経験・知識・時間が必要だった。特にモジュール間の関連などを整理するのに手間がかかり、それらが組み込み型Linuxがなかなか浸透しない理由だったという。しかし、TSEによって、通常ならコマンドを打ち込んだり設定ファイルを書き換える必要がある作業をGUI上で行なったり、自動的に不足するモジュールを追加したりといったことが可能になる。
また、TASTEはOSの主要部分を3分の1にまで圧縮して非常にコンパクトでありながら、一方で標準のLinuxライブラリーはすべて装備しており、デスクトップパソコン向けLinuxとの互換性も維持しているという。
発表にはナショナルセミコンダクタージャパン(株)のユーゲン・ヘルト(Juergen Heldt)代表取締役社長や、ぷらっとホームの本多弘男代表取締役社長も同席し、3社の関係の強さをうかがわせた。
両社長とも一言発言したが、このうち本多社長は「この3社で組み込みの世界を牛耳る」ことが可能だとし、強い自信を表わした。
“TSE TOASTER”。メカ好き心をくすぐる外観だ |
なお、会場の一角にはTSEを搭載した組み込みLinux開発専用機“TSE TOASTER”も設置されていた。ふたを閉じると普通の金属製アタッシュケースだが、ふたの背面にはカラー液晶ディスプレーが、その他にフラッシュROM用のソケットなどが装備されており、これ1台で組み込みLinux開発環境が構築可能だという。